わりとまんぞくしました。

ヒトとのちがいの良さ、というのは、もちろん分かります。
お母さまから受け継いだ蜘蛛の特徴のおかげで、ヒトより優れている部分もありますから。

わたしの触角は、ぷにぷにしていない、というだけです。

言葉のことについては、考えても仕方のないことですね。
そういうことは、世界にはいくつもあることですし、しょうがないと思います。

……そういえば、お二人は、なにか一揆とは別の目的があるんですか？

おおー…？魔法につよいボディーガードってことだよね。それができたらすごく便利そう！

…あの男も、ローバルにはまだ無限の可能性が…とか言っていたな。　たしかに、完全に制御できると考えれば、敵にも味方にもなりそうだ。

うーん、雷の妖精王かあ。大妖精さま達とは違うんだよね？王ってことは。

雷の妖精か…それほどの能力を持つ妖精ならば、どこかで騒ぎを聞きつけることもあるかもしれないね。

……変化。
ああ、気に留めておくよ。

――呑まれるのは、俺だって嫌だからな。

……アイツ？
言いたくないことなら構わない。聞いたからって力になれる保障は無いけれど……。
『急がなきゃいけない理由』、よければ教えてくれないか。

あ……悪い。
そうか、実質お前だけの力ってわけだな。
って、そんな勢い良く飲んで大丈――

あっ

ふーん……それなのに成り立ちや目的は理解してるんだ。
キミが今持ってる情報はどっから聞いたもんなのよ？

もーいっそ、使命とかほっぽって遊び呆けちゃったらいいんじゃない？
キミずっと仕事一辺倒で、ろくに友達も作らなさそうだもんなー。

疲れないんだ…じゃあなんでいつも寝てんだろこの人？

でもホラ、アーマーナイトとグレートナイトとでは
移動速度が雲泥じゃないですか。ビバ・移動速度！！

まあ正直言えば脚に結構来そうなので、やめとこうかなー。
騒ぎも当分続くと思いますし、万一めんどくさい事になるのもヤですしね

…

…生殺与奪の権利を握られていると、そういうことですか。
…お心は分かりました。

そのうえで、お聞きいたします。
…『マルチアイズ』の消失は、貴方の消失と同意義ですか？

『マルチアイズ』というものがどういった存在かは分かりません。
…しかし、終わりを迎えない存在などないということはわかります。

貴方は、死なないとおっしゃった。
…成程、確かに死ねないのであれば、生きていないともいえるでしょう。
ですが、私には…貴方が本当に死ねないとは思えない。

死ねないということは、『死』を望んでいないということ。
…単一の目的のみを成すことを望むならば、確かにそんなことができる機能など与えないでしょう。

同じように、観測という目的だけからすれば、私の問いに答えるという行為は無益…いえ、益があっても、貴方がする必要性はないでしょう。
『マルチアイズ』という上位の存在の視点から考えれば…盤面に干渉することを望むなら、『マルチアイズ』がそれ専用の機構を作り出して、貴方にその機構が答えるのを観測させれば事足りるのですから。

一つの機構に機能を集中させるよりも。
役割とそれを果たす機能を分担するほうがよほど効率よく目的を達成できる。
より効率の良い手段があるのなら…わざわざ効率の悪い手段をとる必要はない。

にもかかわらず、貴方は私の問いに答えてくださった。
…観測という目的から外れた行為にもかかわらず。

そこからは、二つの可能性が推測できます。
一つは、『マルチアイズ』が何らかの理由で貴方を他の機構と違い『特別視』している可能性。
そしてもう一つは…『マルチアイズ』の力不足によって貴方が完全には『マルチアイズ』に縛られているわけではないという可能性です。

完全に縛られていないのであれば、それは『マルチアイズ』から自立できる可能性とイコールになりえます。
貴方はそれを望まないかも知れません…ですが。
貴方が『死ねる』可能性は…全くの0ではないと、そう考えます。

もっとも、ここで最初の問いに戻るわけですが…
仮に『マルチアイズ』の消失が貴方の消失と同意義の場合、実質
自由に生きれる可能性はほぼ０となります故。

…愚考をお許しください。

私は、その声からにじむ苦悩を取り除きたいと
…その行為の成否を別にして、貴方に生きていてほしいと、そう思い始めています。
…貴方の主が、どのような思いで貴方を作ったのか、それすらも知りはしないというのに。

中身のない鎧から「ジョーク」なんて台詞が聞けるなんてな？
あんたが鎧だからってジョークという言い方がおかしいという理由にはならんが…、そうだな、少し意外だ。

ほう。力の塊…エンブリオではなく…

生命のないあんたが、エンブリオが全てのこの世界で闘う為の手段という訳か。

・・・そうだな。俺の『魂』はきっと本物に引き摺られてるんだろうな。
人ではないあんたには、俺はただの『命』にしか見えないかもしれない。

だが、俺は俺の自身の命に『価値』を求めている。

与えられた時間が他人より短いこの命が、何のために在るのか。
答えを見つけ出すこと・・・それ自体が俺の命の在り方なのかもしれない。

だから俺の命は、それ以上であっても、それ以下じゃあない！！

…霊樹。再生の力、頂くぞ。

進む道に迷いはありませんか？