結局、奴らの目的を知ることはできなかった。

俺はいきなり重傷を負い戦線から離脱。残った3人が何とか賞金首達を撃退したらしい。
賞金首達は辛うじて逃げ去り、噂では2人が捕まったというが、俺には関係のない話である。

それにしても敵は強かった。
火術使いの女に一瞬で焼かれた俺は、一人に軽いキズを負わせた後早々に戦闘から離脱するはめになった。

おそらくチハヤやアルヴィン、紗智がいなければ
俺は追いつかれ身ぐるみを剥がされていただろう。

デュエルのプレッシャー、狩る者と抵抗する者の争いは
一揆参加者とエンブリオとの争いと似て非なる。

あの重圧は二度と味わいたくはない。だからといって怯えて誰も居ない場所を彷徨うわけにもいかん。
強くならねば。強くて泣くことはないが、弱くて泣くことはある。
強くて困ることなどこの世界にはないのだから。

今は、勝利したという一時の安らぎに身を任せながら、
明日以降のことを考えるとするか。








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この痛みも、思い出の眩さも、敗走の歯痒さも――



そういうことじゃなくて――



思い出さなくちゃいけないような――



外から――



中から――





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痛みから目を覚まし、ふっと水の入ったコップを取る。


取る……いや、浮いている？　よくわからないが、飲む。


自分でもよくわからない言葉をぼやく。
離れたところにあるランプが灯り始める。
山の強力なエンブリオを倒し、賞金首達を退けたことによる急激な力の流入か？
思考のままに物が動く。重いものまでは動かせない。

体の痛みを忘れたように、一心不乱に力を試し続けると朝がきていた。

エンブリオの力を使わずに火が使える。見える範囲の軽い物が動かせる。
自分の武器も動かせる。これは自分が触れ続けてきたからなのだろうか。
今までは体全体で握るようにして支えていたガラス棒が、自由に動く。


ふと、日差しを浴びる。灼けた身体にしみて痛い。この光は…どこか嫌だ。
カーテンをすぐに閉じて、浅い仮眠をとった。次に向かう場所は決まっている。

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