歩き、下から、飛んで、上から。
身体を治してからというもの、レイは休みなくセシルを探しまわっていた。

途中、兎人の情報を掴んでは王城に向かい、
あの立ちはだかるブランチマンすらねじ伏せたものの、
その姿を見つけることは叶わず･･･。

そう呟くも、無言でレイについて行くカゲ。


人に聞いて回って、街でも聞き込みをしていると、
とある場所で知り合った、闇豹、ウィトサーレ達に出くわした。
一揆中の知り合いの中でも、特に親交の深いこの相手には、
レイも緊張しきりだった精神を、ほんの少し解く。

話を聞いてくれた闇豹は、一緒に探すと言った。
ウィトサーレもまた、声にはしないものの、探すことを提示した。



『ウィト君はこんな感じだし、ロッシ君もそんな人見知りするほうじゃないし。
　…ウチのティーチェがちょっとアレだけど、一緒に探すのはどうなの、レイレイ』



誰かに心配される感覚。



無言ながらに、レイに触れ、撫でるウィトサーレ。



誰かに触れられる感覚。


思い出す過去の痛み、母の顔。
夢に見たせいだろうか、こういうことに酷く敏感になってしまっている。

そしてそれらがないまぜになり、彼女達の提案を拒否しかけるも

『話した時点で既に巻き込んでいるのだから同じだ。』

というカゲの言葉によって、一緒の探すことを承諾する形になった･･･。

狂歌は紡ぐ、人々の繋がりを。

生まれを否定された子供の行く末を。

狂歌は紡ぐ、愛を求めて泣く幼子を。

背中の桃色触手羽根を、軽く広げる
…つやつやウネウネであった…

人前じゃなきゃ角触ってやるのに！
という、殺意の思考が芽生えている

ティーチェには、ちょっと分かりにくいようだ

何かを呟いたようだが、聞き取る事も読み取る事もできない。
ウィトサーレはぽふ、とレイの翼に顔を埋めた。

だが続けられた言葉にひょこっと顔を上げ、視線をカゲの方へ向ける。
この男も影にエンブリオを抱える身だからか、気配には敏感なようだ。

自前のギリースーツなんか作るからですよウィトサーレさん。
てか完成度高いですねウィトサーレさん。
でも何でそのまま普通に立ってるんですかウィトサーレさん。
逆に目立ってますよウィトサーレさん。

闇から声が聞こえる―――

雛が闇に近づく、闇は姿を形成する。

会心のドヤ顔ですねウィトサーレさん。