<Days20>


「ほんとにここにあるんですか？」

　街から少し離れた川辺で少し不安げにルシエ・ソルブランシェは周囲を伺う。

「うん、たまたまこの辺をパーティで探索していて見つけてね。見た感じ周囲に人の手が入ってなかったし、誰も知らない秘湯って奴だと思うよっと、あったあった、あそこだよ」

　私はそう言って草むらの影に隠れて湯気の上がっている池を指さした。
　その指さされた先を見てルーシェちゃんはその瞳を輝かせる。

「だから嘘なんて言ってなかったでしょ？」
「そうですね……でも……」
「でも？」
「更衣室はどこですか？」

　私はそのどこかとぼけた質問の思わず苦笑してしまう。

「ここは天然の温泉だからそんな物は無いよ」
「え？それじゃ……」
「だからぁ、ここで脱いじゃえ！！」

　私はそうやってルーシェちゃんの服を脱がせに掛かった。

「あ、ちょ、そ、そこはやめて……擽った……」
「動いたらボタンが外せな……あ……」

　勢い余って私達はその場に倒れ込んでしまう。
　ついつい彼女を押し倒す形になってしまった私達はそのまま視線が交錯する。
　思わず数瞬、見つめ合ってしまったが急に恥ずかしくなりどちらからともなく視線を逸らすとゆっくりと距離をとった。

「ひ、一人で脱げますから……だ、大丈夫です」
「そ、そうだよね」

　どうにもばつが悪くなった私は自分の服を脱ぎ始めたのだった。


　§§§§§§§§§§§§§§§§


「ひどいですよ……祀さん……」

　ルーシェちゃんはその柔らかそうな頬を膨らませながらゆっくりとお湯に浸かる。

「ごめんごめん、何かルーシェちゃんの事を見てたら、つい、ね？」

　私は彼女の後にゆっくりと温泉に浸る。

「それにしても……こんなに場所に温泉があったなんて、今でも信じられないですね」
「ははっ、そうだね、私も最初見つけたときは驚いたよ」
「でもこうやって新年を温泉に浸かって迎えられるって、何か贅沢ですよね」
「確かにそうだね、私のいた世界だと年を越すときはお寺で突かれる鐘の音を聞きながら過ごすのが風習だったんだけどね」

　私はつい少し前まで自分のいた世界の事を思い出していた。
『お父さんやお母さんは元気かな……？やっぱり心配してるよね……』
　そんな事を考えていると自分を呼ぶ声が聞こえてきた。

「……つりさん？祀さん？」

　私を呼んでいたのは隣にいたルーシェちゃんだった。

「あ、な、なに？」
「急に黙り込んじゃってどうしたんですか？のぼせちゃいました？」
「そう言う訳じゃ無いけど、ちょっと考え事を、ね？」

　私は家族の事を考えていた事を話せば彼女に心配をさせてしまいそうな気がして、言葉を濁した。

「そう、ですか……、私はちょっとのぼせちゃいました」

――ぱしゃ――

　柔らかい水音を立っててルーシェちゃんがゆっくりと立ち上がる。

　波紋が広がる水面に彼女の白い裸体が映り込む。
　うっすらと朱に染まったその白い身体に私は思わず見とれてしまう。
　月明かりに身体をつたう水滴が反射し、その身体が艶めかしく照らされる。

　自分を見る私の視線に気が付いたのか、彼女が不思議そうに私の事を見る。
　私は何故か急に恥ずかしくなってすっと視線を逸らす。
　のぼせたわけではなかったが、朱に染まったその顔を隠すように私は思わずその顔をお湯に沈めていた。
　ルーシェちゃんは火照った身体を冷まそうと、タオルで身体を隠しながら近くにあった岩場に足を湯につけたまま腰掛ける。
　私は顔をお湯で隠したままその近くまで移動すると、お湯から上がり彼女から顔が見えないようにその隣に座った。
　そして月明かりが映る水面から上がる湯煙に当たりながら二人はぼんやりと夜空を眺めていた。を二人で

「こうやっていると一揆なんてやっているのが信じられないですね」
「そうだね、私のいたの国ではそういう争い事は遠い物だって思って育ってきたから余計にそう思うよ」
「争いが遠い……、きっと幸せな国だったんでしょうね」
「よく判らないや。それでも辛い事もたくさんあったよ、楽しい事もたくさんあったけどね」
「どんな国なのか、一度見てみたいですね」
「機会があれば私が案内するよ」

　わたしはルーシェちゃんの言葉に思わず笑みを浮かべていた。


――カーン――

　そんな会話をしていると年が明けたことを伝える鐘の音が夜空に響き渡る。

「ああ、私の国とは違うけど、ここでも鐘が鳴るんだね」
「そうみたいですね」

　私はそんな会話をしていて大事な事を思い出した。

「新年おめでとう、今年も宜しく」
「私の方こそよろしくお願いします、祀さん」

　私とルーシェちゃんはそう新年の挨拶をしたのだった。


　§§§§§§§§§§§§§§§§


「わ、私……どうかしてたのかな……？」

　私は自分のベッドで目を覚ますと、昨晩のことを思い出して気が動転し心臓の鼓動が早くなるのを抑えられなかった。

「ルーシェちゃんは可愛いし……、でもだって……」

　私は動転したまま、その頬が赤くなるのを抑えられなかった。

「こんなんじゃ、合わす顔がないよぉ……でも……」

　思わずベッドの布団にくるまって、私は動悸が収まるのを待つしかないと思ったのだった。
　だがそうしてもばかりはいられなかった。
　私は今度ルーシェちゃん達の一揆のお手伝いに行くことになり、その相談をしなければいけなかったのだった。

「こ、こうしてても仕方ないよね、行かないと……」

　私はベッドから立ち上がり、ルーシェちゃんの部屋へと向かったのだった。


　§§§§§§§§§§§§§§§§


「ルーシェちゃんいる？」

　私はそろそろと彼女の部屋の扉を開ける。

「あ、祀さん、おはようございます」

　そこにはいつもと変わらない、繊細な笑みを浮かべるルーシェちゃんの姿があった。

「お、おはよう。き、昨日は楽しかったね？」
「そう出すね、またいつか行きたいですね」

　動悸が止まらない私とは違いルーシェちゃんはいたっていつもの通りで、それが余計に私をドキドキさせた。　そんな私の事を彼女は不思議そうな顔で見つめる。

「それで今日はどうしたんですか？」

　一瞬彼女に何を言われたか判らなかったが、はっとした私は慌てて答える。

「こ、今度、一緒に行動する事になったじゃない？だからその事で少し話をしておこうと思って……」
「あ、そういう事ですか、そうですね。少しまとめておきましょう」

　私と彼女は、そう言って今後の事を話し始めたのだった。


TobeContinued……

今回の日記はルシエ・ソルブランシェさん(2010)をお借りしました、感謝！！
絵日記がルシエさんの方にあるかもです、よかったらみてください。

ハハハ、と明るい感じの笑い声を出してそちらの言葉に対して応える。
祀が手に取った商品を見て会計を出しそちらの額を告げる。
決して安い額ではないが、高くもない。
仮に個人で注文し購入する事を考えれば安い方ではある。

現代世界のモノと思われるサテンやシルクなどの下着がいくつか出てくる。
いくつかある中でライアーは無作為にツーウェイトリコットの下着の上下セットを一つ取り出す。
袋に入って未開封のものだ。

作製依頼受け付け中
Lvは15、依頼の際は詳細をホームで確認した後
ホーム、もしくは伝言にお願いします。

（ひよこが一羽、てくてくと歩いている）

（どうやら同行者を捜しているようだが・・・？）