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◆どくにんじんの日記

トリーのおかしな点
・どくにんじん固有の記憶共有機能を欠損、あるいは壊れている（忘れっぽすぎる）
・エンブリオの性質に従わない（ネクターを食べない）
・いつまでたっても人間の姿のままだ（にんじんをたくさん食べさせてるのに）

僕のしたこと
・本当のことを教えた（怒ってむくれた、しばらく僕の話を聞かなくなる）
・何度もネクターを食べさせた（ご馳走なのに食べない、勿体無い！）
・毎晩にんじんになるように念じた（ちっとも効果が見えない）

トリーはどくにんじんなのにどくにんじんじゃないと言う。
それならばトリーを苗床にしたらどんなにんじんが生まれるんだろう？

多分そういう意味ではないが、そういうことにしておいた。

[>ハナガサは小さな腕でにんじんをしっかりと掴んでいる。

[>と言うと、アサミは地面にあぐらをかき、ごほんと1つ咳をした。

なんだこれみたいな顔で看板を見ていた。

よくわからないけど擦り付けられているようで、
視線をにんじんに移してからトリーを見て、首を傾げる。

色んな意味で意味が分かってない顔でそう問いかけた。
気分を害してはいないようで、止めることは別にしない。

焔詠はその場を後にしようと歩き始めた…

メルンテーゼに来てから確かに人型というのは見ていないのも事実ではあった。

しかしトリー少年。

にんじんをエンブリオと認められる寛容さがあるなら人型を認めても良いのではないか？

あれがOKなら、もうなんでもエンブリオでいいだろうが。

トリー少年がこの言葉を聞いて震え上がる。

それはそうだろう。俺のタックルはすべての生きとし生けるものを魅了し、ヴァルハラへの扉を開く唯一の可能性を秘めた、そういうタックルである。

どういうタックルだ。

俺は羽織ってるマントを渡そうとする。
その裏地には「タックルを使え」の文字が。

拒否された。
悲しい。

往生際が悪いので、とりあえずベルを担いでそのままぶん投げる。

ぽふっ



トリー少年にぶつかってはじかれた。
なんだその威力のないタックルは。

ベルの掌底を喰らう。
おもわず変な声で鳴いた俺は地面に倒れた。

トリーとにんじんに梨香はぺこりとおじぎをする。

少女はにんじんをじーっと見ながら何かを考えている。
そしてやはりトリーには目もくれない。それはそれで問題である。

頑張って、頑張って一つの答えを出したような顔をしている。
少女の記憶には『ポトフをくれる(自分を食べさせようとする)にんじんさん』がいるようだ。

内心でぼやきつつひっそりと冷や汗。
想像するだに恐ろしい光景が脳裏によぎったのを振り払う。

ぱっと手を話しつつ、穏やかに。
続く問いには軽く小首をかしげつつ、