Melntese冒険日記 十九日目 「星屑の小川に流れ着いたラムネ瓶」


　拝呈

　時下益々御清栄、慶賀奉り候。

　陳者、予てより御通達の、エンブリオ研究用と覚しき赤封蝋付きの麦酒瓶、
　拾得次第、届け告げ仕へる様、水辺流域住民一般に申し渡し置き候 処、
　此程、星屑小川西岸に、赤封蝋付きのラムネ瓶が三個漂着致し居るを発見、届け出申し候。

　右は何れも約半里、乃至、一里余を隔てたる個所に、或は砂に埋もれ、
　又は岩の隙間に固く挟まれ居りたる物にて、余程以前に漂着致したる物らしく、
　中味も、御高示の如き、官製葉書とは相見えず、雑記帳の破片様の物らしく候 為、
　御下命の如き漂着の日時等の記入は不可能と存ぜられ候。

　然れ共、尚、何かの御参考と存じ、三個とも封瓶のまま、村費にて御送付申し上げ候間、
　何卒、御落手相ひ願ひたく、此段、貴意を得 候。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

　　　　月　　　日　　　　　　　　×××××村役場(印)


　　エンブリオ研究所　御中



＊第一の瓶の内容


【部外秘】　××計画に関する第一次報告書


一、この計画は少女を対象とする。

二、年齢は十五歳程度であれば望ましい。

三、被験体候補は以下の通りである。解析班の報告に基づき、順位付けを行った。


　第 1 位　　　Citizenship：Japan / U.K.　　　Age：15

　第 2 位　　　...

　第 3 位　　　...


＊第二の瓶の内容


先程、実験対象となる少女との接触を図った。

既に解析班が分析した通りだった。
目論見通り、無限の可能性を秘めていそうな少女である。

しかも、既に秘術が封刻されているではないか。
これは些か予想外だった。

少し尚早に過ぎると思ったが、この機を逃す訳にはいかない。
上の指示を仰いで、私も早速少女の額に新たな刻印を施してきた。

その幼き身体に、その幼い心に、どれだけ施す事ができるか今から楽しみである。


＊第三の瓶の内容


※但書：×××××村役場職員　　×× ××

第三の封書は風化して解読できぬ場所多々有り　御参考の為、其儘御送付致し候
以下、本文也。


　注：

　但し、此の◆◆◆実験は、被験体◆◆◆侵蝕◆◆可能性◆◆◆◆◆◆故、
　扱いは厳重◆◆◆◆。尚、副作用◆◆◆◆◆◆◆◆◆処分◆◆◆。



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参照引用：夢野久作「瓶詰地獄」：http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/2381_13352.html

アルさんの方を見ながら不思議そうな顔をしている。
少し何かしらを感じとったかもしれない、気のせいかもしれない。
意外と機微には敏い少女のようだ。

そう言いながら腰に備えられたポシェットにつけられたボタンをカチッと押した。
直後ブォンという起動音がした、と思った直後にエルの周囲に無数の
ホログラムディスプレイが現れた！

エル自体は何も動かしてないように見えるが、周りのホログラムはせわしなく動き
めまぐるしく表示が変わる。まるでオンラインゲームの各種ウィンドウのようだ。

それにしても窓が閉まる時兎が跳ねたり、花びらが舞ったり、すごくファンシー。

エルの言葉と同じくして、数枚のスナップが表示される。
のどかな田園風景や、風車小屋…石造りの町並みに山を中心にした市街地等、
たしかにヨーロッパの古き町並みにどこか似ているようだ。

そういって、ウィンドウがひとつメグの前に現れた。
町並みの写真の横に「5さいくらい」「アカデミー」「お兄ちゃん」というボタンが見える。
どうやら触れるようだ。

（急だったが特に気にする様子もなく名乗って挨拶する）

（他と違う出で立ちと言われたのが気になるようだ）

少女は振りかざしていた杖を下ろし、一息つきます。