夢を見た。
小さい頃、まだ村にいたころの夢だ。
俺は槍の訓練が嫌いで、しょっちゅう、隙を見てはサボっていた。
俺は同じ年頃の奴らの中ではそれなりに強いほうだったし、練習試合でもそれなりに勝てていた。
何より、ばーさんの訓練が痛いわうるさいわで、あまり好きではなかった。
そのことについて、ばーさんがひどく怒って俺に無理やり訓練をさせることはなかったように思う。
いや、顔を合わせるたびにいろいろ言われたっちゃ言われたけど。

ある日、村の外に仕事に行っていた人が帰ってきた。物言わぬ身となって。
その人は村の中でも実力がある人だった。そして、村長……ばーさんの息子さんだった。
葬儀が一通り終わっても、ばーさんが泣くところは見なかった。
でも、最後にぽつりと一言こう言ってたのだけは覚えている。

「私たちは、何においても生き残らなきゃいけないんだよ」

「生き残ること」というのは、ばーさんがよく言っていたことだった。
傭兵という仕事をしている以上、村の人が死ぬことは多いし、そのこともあってよくそういうんだと思ってたけど、多分、それ以上の何かもあったんだと、そのとき思った。




寝覚めは最悪だった。
頭がどうにもすっきしない。このところ無茶ばかりしていたせいだろうなぁ。
釣れたうなぎでも食べてがんばるか。

　身内の者は発明の方が性に合っていそうなので
　そんな事を考えつつ、ヴァルからの紹介状を受け取った。

そう言ってから、彼の問いかけに対しては。

やたらとテンション高く凄いだの何だの言われると複雑だ。
しかも自分が一応、その「武器なんかも作れる職人」だったりするのだから。
……言わないのだが。

嬉しい気分云々の説明には、小さく頷く青年。
そのとおりだ、よくわかっている。
そんな風に言いたげな眼差しであった。

くるくる周るヴォルカンにちょっかいをかけて遊んでみたりしている。