■A hunter [ being confused ]...

どうして皆と同じじゃないの？　出来るはずの事が出来ないの？
……どうして？　どうして？　どうして――




涙なんて出ないから、ただ、微かに困った顔をする指導役達に、ありったけの感情をぶつける形で八つ当たりしか出来なかった子供。

周囲が揃って息をするように自然に習得できるはずの魔術類は、どんな手を尽くしても初歩の初歩でさえ始終発動しないか、暴発する始末。
そもそも本来備えているはずの魔力量すら、周囲と比べれば微々たるものしか持って居ない。

自分自身が誰よりも思っているのに、どうしてこんな欠陥のある子供が、だとか、異端児、だとか。
どこまでもひそひそと囁く声が、責めるように追ってくるような気がして。

広い“城”の内部を、誰も居ない場所、誰も来ない場所……一人になれる場所を探してふらふらと彷徨っていた折に。

“其処”の扉を、呼ばれたような気がして開いたのが全ての切欠だった。

清涼な気に満ちたその部屋には、シンプルな台座の上に幾つかの武具が飾られていた。
主に、長剣、槍、弓、魔法杖、短剣……武器類が圧倒的に多い。
然程華美な装飾を施されていないものばかりだったが、よく手入れされて磨きこまれている形跡のある品々。

しかし、それら全てをよく見てみれば“何かが足りない”。
ぽっかりと穴が開いたようにして“あるべきものが欠けている”ように感じる部分がある。

“それ”が何だったのか。
知る事になったのは、そう遠くない先の事。

その部屋に在ったのは、歴代の“狩る者”としての役割を担い、その武具を手にした者と共に在って戦場を駆け抜けた末に、何らかの形で役目を終えたモノ達。
己を手にした主を見送ったモノ達が、静かに目覚める事なく眠っている場だった。


“狩る者”は滅多に一族では出ないとされる。
大体当代に１人だけ、役割から次代が出る前に命尽きる事も多いので常時居るというわけでもない。
そしてその全てが総じて魔術に適正がないというわけでもないらしい。

が、その部屋の扉が“開いた”事で、適正を見込まれて次代の“狩る者”としての育成が始まった事で、やっと居場所が出来た。
やっぱり他の皆と違うのは変わらないし、奇異の目で見られるのも変わらなかったけれど。

それでも自分だけにしか出来ない事があるのだと。
必死に剣術武術、魔術とは魔逆の資質を磨き上げる事。
それだけに夢中になっていれば、色んな雑音は忘れていられたから――。


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「嫌いだ苦手だ息苦しい、そう言いつつも故郷も役目も捨てて自由に旅にでも出ない理由？　……さぁね。私自身にもそれは良くわかってないかもしれない。ただ……多分、やっぱりあそこが“帰る場所”なんだろうと思うし、他の連中と違ったって私は私の担う役割に多分、誇り……いやそんな立派なものじゃないか。そうだな、自負みたいなものがある、ってトコか。魔術はからっきしでも、剣術武術のみの模擬戦なら、故郷じゃ誰にも私は負けない。そういう場所まではたどり着いたしね」


「戦闘狂みたいに思われても困るけど、戦うのは好きだよ。強いヤツとやりあうのも。剣や、体でぶつかり合いながら、自分を研ぎ澄まして研ぎ澄まして……もっと鋭く磨き上げていく、そんな感覚が好きだ。ま、命の取り合いすんのは“混沌”相手だけで十分だけどさ」


「“剣”は私の生き方の象徴でもあるから、誓いは大抵剣に立てるんだよ。剣筋は誤魔化せない。虚偽もない。だから一番私自身に近いものに誓うのさ」

それが本当に　全て“本心”なのか
存在意義が“戦う事”だと　無意識にでも言葉にしてしまう危うさに
気付く事は出来ていないし　気付けるのかどうかもわからないし
その必要があるのかすら　未だ誰にも判らない――

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■　番外編　■

奇特な名前にさらりと返してのけるのも、珍しい。

たじっ

謙遜とか出なく本意から。ただ一緒に戦ったシェリィと自分、どこまでやれるか気になるところではあった。

(PL)アップロードがうまく行っていれば今回分から念願の、となっているはず、です。
ちょうど同エリア！と思ってメッセ突撃させて貰っちゃいました……！

…ふと、思い当たった様子で顔を上げる。

（綺麗な所作で腰に下げた鞘から長剣を抜き放ち、片手で構えを取る）

（綺麗な挙動で長剣を鞘に収め）

（綺麗な所作で腰に下げた鞘から長剣を抜き放ち、片手で構えを取る）

綺麗な所作で腰に下げた鞘へ長剣を戻しつつ）