私にとって、このメルンテーゼという世界は不思議なことばかりだけれど――。

　それなら逆に、この世界の人々とか。
　私と同じようにどこか別の世界から来た人にとっては、私はどう見えるんだろう？

　……普段から不思議な人たちと関わってることは、とりあえずおいといて。
　そんな疑問が思い浮かぶきっかけとなる不思議な出会いが、今日はあった。

　■

　最近は何だかんだで、普段とは違う人たちと一緒に行動することが多い。
　今日もそんな一環で、私はというと庭師を倒した少し先の道で佇んでいた。待ち合わせ。
　――それにしても、あの庭師を変態だと思う私が変なのか。
　なんてことを考えていると、待っていた人たちがやってきた。
　一人は、ネズミの姿をした少年（だと思う、実際の所年齢はわからないけれど）。
　此方は面識がある。以前キラーウルフを捕獲しに一緒に森へ入ったスチュさんだ。
　あとの二人は、初めて会う人。
　一人、清楚さを感じさせる物静かな振る舞いでスチュさんの隣を往く女性。
　ただし耳は、白猫のそれだ。亞人、というものだろうか。
「動物の姿をとっているけれど普通に喋る」人は何度か見かけたことがあるけれども。
　人の姿に＋αして、という意味での亞人は初めて見る気がする。
　そしてもう一人、此方は蒼い髪の中から鹿の耳が出ている少年。
　あ、さっきの定義だとこっちも亞人の人になる…けど、白猫の人とはなんかこう、何か違う。
　…なんだろう、うまく表現できないけど…こう、「成り立ち」みたいな。
　……いや、今はそれはいい。
　実のところ、４人で、というのは一番最初の予定にはなかった。
　……待っている途中で「仲間とはぐれた人と合流する」ということは聴いていた。彼がその人というわけだ。

　って。
　あれ、なんだろうこれ。
　純粋な人間（っぽく見える人）、私一人だ…。

　とりあえず自己紹介を済ませる。白猫の人がアリスさんで、青髪の人がアマドさん。
　スチュさんはアリスさんともコミュニティであるらしく、紹介に関しては割とスムーズに終わった…と思う。
　最初のうち、アリスさんから向けられる視線に微妙に警戒心を感じた…のは、気のせいなのかな。
　もちろん私自身には全く見に覚えのないことだけれども、過去に何かあったのかな…。

　いや、気にしてもしょうがないし、気にされたくもないだろう。きっと。

　ともあれ、一堂に会したわけだけれども、目的はそれぞれ違う。
　私の目的は――タナボタ的な遭遇で、どうにも変わってしまいそうだった。

無言で相手を睨み付ける。

アマドはそっとしゃがみこむと、もそもそと土を食べ始めた。

しかしそれは赤土ではない。

手中に爪を隠し、何事もなかったかのように手指を払う。