何が怖いって？　当然すべてだよ。
僕は怖いんだ。彼女に捨てられるのが。見捨てられるのが。
群れでは意気地なしといわれ続けた。それを変えたくて、誰かが来るたびに襲い掛かった。
何度も返り討ちにあっても挑み続けた。そしてそのうち、群れに見捨てられた。

そういって、僕は群れから追い出された。つまはじきにされた。
だから――

彼女は強い。小さい身体で、大きな武器を振り回し、他の人を庇うように前に出る。

だから、その強さにあこがれた。僕も一緒に戦えば、その強さがなんなのかわかるかもしれない。
どうして強くいられるのかが、わかるかもしれない。

だから――


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弱虫と呼ばれて返事をする狼の後姿を見ながらそんな事を思案する。
少なくとも、この私についてこれるだけでも弱くはないだろう。
強い、とまでは決して言い切らないが。調子に乗られても困る。

やれやれ、とも思う。私も連中に感覚を引っぱられているのだろうか。

強くなる故の弊害だというなら、踏み潰して進むだけだ。


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声は響かず。聞こえない。