拝啓、お師匠様。

お師匠様は、ハロウィンのことを知っていますよね。
そう、あのハロウィンです。

この世界にハロウィンがあるかはわかりませんが、この世界でハロウィンをやってみるのもいいかもしれないと思っています。

この世界には、多くの異世界からの人が訪れています。
ならば、彼らがハロウィンを知っていることもあるかもしれない。

あるいは、同じハロウィンという言葉であっても、別のものに変化しているかもしれません。
私たちの知っているハロウィンとは、また別のものに。

世界は、近いもの、似ているもの同士が引き合う。
これは私の想像ですが、言葉が近いのであれば、その言葉から生まれる文化もまた近いのではないかと思うのです。
実際、料理の類は驚くほど近い。

言葉から文化が生まれるのか、文化から言葉が生まれるのか、実際のところはその両方だと思いますが、ハロウィンというイベント、あるいは祭が、収穫祭にその端を発することを考えると、収穫というのは、もちろん食べ物を収穫することです。

ならば、ハロウィンに類するイベントを知っている世界は相当に多いのではないのでしょうか。


話は変わりますが、この世界にも神はいるのかもしれません。
そう思えるようになったのは、とある礼拝堂を教えてもらったからです。

意外とリスキーな事を言い出す。

　そこまで深刻な変貌を遂げる性格では無さそうじゃな、と薄く笑みを浮かべ。

　えーと、と額に汗を掻きながら尋ね。
　

　かといって、それが元で容易く命を落とされても困るがの。と、嘯いた。

　いや格好よかったとか颯爽としていたの方が良いかの、と真剣に検討している。
　しかし再び向けた瞳は、穏やかな色に満ちて。

　くすくすと、悪戯っぽく笑った。

のろのろと顔を上げるクラガの腕から赤黒い焔が立ち上る。それは獣へと姿を変え、具現化した。

「―――。」