しゃらり。


杖に結ばれた組紐が乾いた風を受けて揺れている。
蒼銀色の、よくよく見れば銀と淡水がより合わさっているのだが――涼やかな色合いは強い日差しに熱せられた砂礫の大地には些か似つかわしくないが、それに負ける事なく確かな輝きを放っている。


しゃらり。


「ちゃんとした素材からではないから、本当にただの装飾品でしかないけれど」

同行者の一人、レイからそう言って先日手渡された手編みの組紐は成程、確かに特別な付加は施されていないように感じるが――
魔術的な付加とは違う持ち手を護ろうとする意思、無事を願うような祈りのようなものも仄かに感じられてどこか心地よい。


しゃらり。


三たび蒼銀の紐が揺れたところでぴん、と引っ張られるような感触。
何事かと思い横を向くと、白い虎が前足で引っ掻くように紐の端をつついているのが見えた。


「こりゃ、それは友人から貰った大切な飾り紐じゃ。気になるのは判らぬでもないが、あまり悪戯をしてくれるでないぞ？」
「がぁう」

杖を持たない方の手で軽く頭を小突くと、虎は未練がましげに小さく鳴いた。

「……なんじゃ、おんしも欲しいのか？」
「がぅ！」
「あれも忙しいじゃろうし、手が空くかどうかは判らぬが……」
「ぐるぅ……」
「……手隙きの時に編んでもらえぬか頼んでみるゆえ、そのような情けない声で鳴くでないわ」


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レイさん（ENo.1455）に前回いただいた組紐は大好評のようです(´゜ω゜)ありがとうございましたっ

ぴん、と丸い輪ゴムを伸ばしてみせ、その張力でスーパーボールをパチンコよろしく構える。

（手袋を着用する