「スー。今日はあんたとあの子の二人組になるけど、いい事？
いつもみたいにからかいすぎないようになさいね」
少人数で分かれて砂漠を進むことになった日の朝。
ひっそりとレイに呼び出されると、そんな事を告げられた。

突然そんな事を言われれば理由を尋ねられずにはいられない。
「ん？そりゃどういうこった。」
「あの子最近不運続きでちょっと落ち込んでるのよ…言い過ぎないようにね」
不運続き、の内容にさて心当たりは無かったが、レイが言うならそうなのだろうと納得し、
とりあえず頷いておく。
ひとまず別れたあと、のんびりと歩き始めた。

件の少女に、さて何と声をかけたものかと考え始めた矢先に、当の本人と出くわしてしまった。
思わず瞬き一つ。
ちら、とこちらを見る視線に若干気圧されながら、些か慎重に言葉を捜す。

「よ、よう、フィー。ええと…」
何と声をかけようかと言葉に詰まったところに。
「何、急にそんなしおらしく。気持ち悪い」
思いもよらぬ見事なカウンターである。

「人の顔みて気持ち悪いたぁ何事だこんにゃろう！」
前言撤回だ。何を遠慮することがある。
「だって気持ち悪い態度だったもん」
と、明らかに嫌そうな顔して。
いつも思うが、ころころと良く表情を変えるなと感心する。褒めてはいない。
「お、お前なあ…今日一日は俺と共同戦線はるって解ってんのか…」
「あーーーそうだった。楽しみにしてたんだよ」
「げ。」　
思わず身構えた。
「お前、何か企んでねえだろうな・・・？」
「べっつにー昨日はそんな暇なかったし」
と口をとがらせる素振りを半眼で見下ろして。
「ほう。昨日そんな暇がなくても今日思いついたからって実行すんじゃねーぞ…」
「………ﾌｯ。ま、がんばろーねーー」
とすごくいい笑顔で手を振り、見事な高笑いを残して立ち去る背中へと向けて
「その笑みはなんだよ！！頼むから背後から狙い撃ちとかやめてくれよな！？」
そんなことはさすがにしないと思いつつ。
“悪戯”であればその限りではないだろうな、とも思いつつ。



所変わって、トキサメと遭遇した時のこと。

「なんだあの黒尽くめ。暑くねえのか砂漠だろここ」
「眠っていてもらうだってー。ほら、スーノ布団いきなよ」
「こんな暑苦しい場所で誰が寝られっかよ。ほれ、お前こそ寝ていいんだぞ？ん？？」
「僕寝る必要ないし？スーノってどこでも寝れると思ってた意外ー」
「ばっかやろうどこぞのお前と違って俺は繊細なんですーーーー繊細だから傷ついたなーあー傷ついた

これじゃ戦えねえなあ」
頭の後ろで手を組んで拗ねた風を装いくるりと踵を返して見せると
「そうか、ならば君の今日の夕飯の肉もなしってことだね」
悪戯っぽい風に、しかし恐らく有限実行するであろうその言葉に
悔しいながらもくるりと振り返った。


※今日の日記・メッセージなどは同ＰＴ、ENo.1352ミルフィアさんと合わせさせて頂いております！