話をしよう

そうあれは先日の話

ウサギの氷売りの話だったと思う


「この辺りにウサギの氷売りなんて居ないよ」


そういう話になった。

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さて、

面倒なことになった。

ウサギは賞金首でもあるらしく、これはもう完全に黒。
なんとかせねばなるまいと思うのだがそうそう人狩りはボロを出さない。

もう一度逢うなどとなれば既にばれている危険もあるだろう。
ゆえに姿を現すはずが無い。はずだったのだが。

進む道にウサギがいる。
少々ゆらりゆらりとこころあらずにこちらへ向かってくる。

それはもちろん厄介です。
十分な力もないのにエンブリオと契約すればこうもなる。

おそらくあの氷のエンブリオは今回の事に関わりがある。
例えば氷の製造、貯蔵のために大量のネクターでエンブリオの大群を無理やり契約されたとか。
如何に人がエンブリオから恩恵を受けているとはいえ、それが強制ともなれば。

…もっとも確かな話ではないので推論に過ぎないのですが。

エンブリオはあくまで契約者に従っているだけ。
エンブリオに操られているとはいえエンブリオを狙っても意味は無い。

どうにかするには契約を止めさせるしかない。
しかし操られている状態では望めることではない。

エンブリオの干渉を受けない状態…
高位の契約者はエンブリオを召喚することもできるが、今の状態はある意味それに近い。
本質的に受肉しているわけではないから倒す事は出来ないとしても物理的に封じる、
それこそ遠くに離すなどで支配から脱することはできるはず。

溶かすことが出来るのであれば苦労は無い。
その状態にもっていけるということはエンブリオにとっては死に等しい。

エンブリオはエンブリオであるハチに任せよう。
こちらはエンブリオの力を十二分に発揮できる━━というかエンブリオそのものと言える━━ウサギをなんとかしなければ

視界一面に氷の矢が無数に放たれたところで戦闘がはじまる



（もうちょっと続くんじゃぞ）

そう言うと、4人の前に躍り出る。
アウラルの実から無数の触手が伸び、蜘蛛の巣の様に壁を作り出した…！