［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　

“――アンジニティの勝利のようで。”



時計の針が三周して、淡々とした結果発表。
わからないことは、わからないまま。
反映は約120日後だなんてずいぶん悠長なことを言われたのもあって、
どう受け止めるかを考えそこねた、ぼんやりとした心地。


……いや、ぼんやりとするのはもしかしたら、自分に向けて使ってきた異能のせいもあるかもしれない。
この36時間、さじ加減と使い続けないように気をつけてはいたけれども、
最後の方は制限を緩めてしまうことも多くなっていたから。

話さないで誤魔化した“リスク”は、“嘘とほんとうの境目がわからなくなって、感覚が麻痺すること”
まぁ言ってしまえば、麻薬に溺れてしまった人の末路のような。
それに近しいものがあるのではないかと思っている。

そうなれば、いつもどおり振る舞うことなんてできなくなって、きっとお手を煩わせるばかりになる。
だから、先輩の手も払うようなまねをした。悪いことをしたなとは思う、けど……


“お守り”とも称したのはこわさや痛みも手放すことができるから。
そのまま、閉じることもできるだろうと考えたから。


もちろん、リスクはリスクでしかなく、必ずではない。
そっとしゃがんで手近な石や枝に触れる。見た通りの感触。
まだ、大丈夫。これ以上続けて使ったりしなければたぶん、平気。

でも、そうできるかの自信はなくって、そのままぺたりと座り込んで目を伏せる。
もう最初の頃みたいにワールドスワップなんて作り話だと全面的に信じてはいない。
だけど、この騒動がなければよかった、とも思えない。
だって、そうじゃなきゃ会えなかった人たちがいたのかもしれないのだから。


街のあちらこちらに訪れて遊んだこと、
学校での日常やクリスマスパーティや天藍祭で騒いだこと、ここで話したこと。
そのどれもにイバラシティ、アンジニティ、両方のひとたちがいて。
ひとつひとつを振り返って顔を上げる。

またあとでの約束をしたこと、また会える世界がいいと思ったこと。
それはたしかなこと。先がどうなるかだって、起こってみなければわからないこと――



――そう、起こってみなければ、わからない。


まだやれることだってあるかもしれないし。
お守りはまだ手の中に。それでも、先を憂いて可能性を狭めたり決めてしまうにはきっとまだ早い。


息を吐いて立ち上がる。手や服についた土を払う。




だいすきなひとたちと、もっと一緒に居たいから。

ENo.528 ひさめ とのやりとり


ENo.709 隼田院 とのやりとり