［基本］OK.　［戦闘］OK.　

---

■え、座談会やるんですか？　※ちゃんとした日記はこの下にあります。



企画説明コミュニティです。
　http://lisge.com/ib/act_comu.php?c=261










PLが喋るよりサクマ同士で喋ったほうが盛り上がるのでは？



では、考えたけどやれなかった・やってみたかったロールや企画があれば語ってください。




ごめんなさい。

---

Update
　http://lisge.com/ib/k/36/r17.html

---

■ハザマ　ワールドスワップ発動前

　戦いが終わった後に起こった、やり残した戦い。
　http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=6188&dt_s=0&dt_sno=3453066&dt_jn=1&dt_kz=100

---

■イバラシティ　ワールドスワップ発動後

少し先の話。














早朝。

慌ただしくキーボードを叩いて文面を書き上げ、
印刷し終えた紙を店先に張り出し、部屋に戻ってきたところ。



営業時間になったらテナントのオーナーと業者に電話をかける予定。
彼らがアンジニティだったのなら、問題なく繋がるはず。

さすがに引っ越し作業をすべて自分で行うわけにもいかない。
チトセの蓄えを使って、ゴミ収集業者を呼ぶことになるだろう。



チトセの持っていたバッグや籠の中でとびきり丈夫なものを選び出すと、
少しの着替えと、細々としたアイテムを詰め込んでいく。


……いつでも店を畳めるよう、荷物をあらかじめ整理しておいたチトセを褒めてやりたい。


たくさんの写真が納められたスマホやタブレットと充電コードも、念のため持っていく。
アンジニティの中で電気使いを見つけ出せば、いつか充電できるかもしれない。




足りないものをリストアップし、買い物へ行こうとして……おなかがグゥと鳴った。
そういえばまだ朝食を食べていない。





『トラマルマート』
　http://lisge.com/ib/talk.php?p=178

食べ物を探して、近所のコンビニへと駆け込む。

ここで働いていた高校生の南くんとは、いつも顔をあわせていて、たまに他愛もない話をしていた。
それでこっちのお客さんにもなってくれて……やがてめでたく大学生となった彼は……


わたしと同じアンジニティで、イバラシティ陣営に加担していた。
悪竜ナンディナ。アンジニティに城を構える、強大な吸血鬼。
　http://lisge.com/ib/k/now/r44.html


今頃、大切なパートナーと共にアンジニティの居城に戻っている頃だろうか？
彼とは、いろいろな約束をとりつけている。戻ったら、会いに行こう。




サーモンマヨの手巻き寿司をかじりながら自分の店に戻りつつ、どこへ行くか考える。
挨拶して回れるひとは少ない。


単に時間がないというのもあるが、
イバラシティ陣営として戦いに参加していたひとたちは、
すでにアンジニティへと送られてしまっているはずだから。

南くんも、そう。

コメットちゃんに、ニフリートさん。
五月に、キキメちゃん。
キャット。
黒浦くん。
健作くん。
フィンちゃん。
瑠璃子ちゃん。
白楽ちゃんに、透ちゃん。
ハナ子。
園華さん。
梨花ちゃん。
……りりぃちゃんはどっちだろう？

他にも……挙げきれないくらい、たくさんの名前と顔がよぎる。
一度だけ話した人や、お店にお客さんとして来てくれた人。
名前も知らない、ただハザマで戦っただけの人たちも。



一緒に旅をした仲間も、いまは離れ離れだ。

エリカは、一足先にアンジニティへ。おなかすかせてなければいいけれど。
ペーターくんは、わたしが願う限り、また次の世界で出会えるかもしれない。
シズクは……今、この町のどこかで新しい生活を迎えているのだろうか。






店の裏手からバイクを引っ張り出す。

チトセがこの町に来るときに乗っていたものだ。
――――そういう、過去が与えられていた。

しばらく乗っていないが、乗り方はちゃんと覚えている。



ハザマのシモヨメサーキットで、ケイくんと一緒にバイクに乗って遊んだっけ。
　http://lisge.com/ib/k/now/r157.html

あの子もイバラシティ出身のはずだから、今はアンジニティにいるのだろう。
再会できたら、きっとキャンディを買ってくれるだろうか。
でも、ちょうちょを見つけて追いかけて、迷子になっていないかしら。




道路はほとんど空いていて、とても走りやすかった。

早朝ということもあるだろう、通勤ラッシュまでには余裕がある。

園華さんの会社のタクシーを探しながら走っても、見当たらない。
　http://lisge.com/ib/k/now/r88.html

そもそも、アンジニティたちが運転する自動車で、道路が混雑するだろうか？




（……ひょっとしたら、律儀に通勤通学するアンジニティたちの姿が見えるかも？　なんてね。）



交通事情に勝てないアンジニティの姿を想像して、くすりと笑った。







『硝子工房 Gallé』
　http://lisge.com/ib/talk.php?s=101


バイクを停め、古風な木造の硝子戸をトントンと叩くと、
ばたばたと揺れて大げさな音が鳴る。

しばらくすると目当ての人物が眠そうな顔で現れた。



「……バイクの音がしたと思うたら、なんじゃアンタか。」



戦国の世《アズマ》の鎧武士、真柄信繁。
ハザマで多くの敵を打ち破り、最終的に影響力1位の座についた猛者。
一人の少女と一匹の猫ために、共に心を折り続けた青年。
　http://lisge.com/ib/k/now/r94.html


今はもう甲冑を外し、腰元の刀も佩いていない、ラフな私服姿。
硝子職人を目指す学生、皆のよく知る　真柄信　そのもの。

だが顔の火傷痕、一部が白く変色した髪、なにより硝子で作られた右腕が、
これまでの戦いの激しさを物語っていた。




「義手同士、お揃いだねぇ。」

「なんで嬉しそうなんじゃ。」



いままでのこと。
これからのこと。
互いの知り合いのこと。
アンジニティに送られたひとたちのこと。


短い時間だったが、夢中になって話した。
戦いが終わり、アンジニティの檻からも解放され、
ようやく肩の荷を下ろして気楽に話すことができた。

わたしが飴屋『千歳佐久間』の生き方を捨てないのと同じように、
彼もまた硝子職人『真柄信』の生き方を捨てずに進むのだと。

やがて、イバラシティから旅立つことについて話し始める。
彼は、もうしばらくここに留まるらしい。



「そうか、もう行くのか。
　何ぞ餞別になるものがあればいいんじゃが……」

「大丈夫、もう貰ってるわ。」


籠から硝子ペンを取り出して見せる。
以前、彼の店を訪ねた時に買い求めたものだ。

飴屋『千歳佐久間』と、硝子職人『真柄信』を繋ぐ証のようなものだと言うと、
大袈裟じゃ、と笑っていた。



「いつか、会いに来てね。
　アンジニティで待ってるわ。」



お土産に大量の飴玉をプレゼントして、彼に別れを告げる。
食い切れるか、という文句が背後から飛んできた。






『こねこのケーキ屋さん』
　http://lisge.com/ib/talk.php?p=661


お店を訪ねると、タイミングよく目当ての少女が入口から現れた。
ちょうど看板を『営業中』に変えるところだったらしい。
声をかけると、気兼ねなく駆け寄ってきてくれた。



「おはよう、こねこちゃん！」

「チトセさん！いらっしゃいです！」



子子子子こねこ。か弱い『少女』の姿をした、アンジニティ。
異形『ライオンハート』の疑似餌として作られた姿。
しかしそれがやがて意思を持ち、二つに分かれ……
　http://lisge.com/ib/k/now/r597.html



少し背伸びた？髪もちょっと長くなったね。
そんな他愛ないやり取りとスキンシップをしていると、あることに気づく。



――――ハザマでの記憶がない。
ワールドスワップが起こる前の、あの『こねこ』と話しているようだった。



ふと店の中に視線をやると、『彼女の母』の姿はなく、代わりに見知らぬ店員が働いていた。
そのことを尋ねると……母親は先日亡くなったばかりなのだと教えてくれた。
ずっと前から分かっていて、悲しいけど頑張るのだと、気丈に答えた。



きっと『大丈夫』ではないはず。
『大丈夫』ではないけれど『頑張る』と、前を向いて生きる意志を見せてくれた。
その健気さに、抱きしめて髪を撫でることしかできなかった。
悲しい報せを伝えなければならないことに、胸が痛んだ。



「……こねこちゃん、ゴメンね。
　わたし、イバラシティから出て、これから遠くに行くの。
　もう会えなくなっちゃうんだ。
　連絡もできないくらい、すごく遠いところ。
　今日はそのことで、さよならを言いに来たんだ。」

「えっ！？　そんな……チトセさんまで、いなく……」


がーんという音が聞こえそうなくらい、ショックを隠せない表情。
手の内を離れ、ふらふらと後ずさりしていく。



「わ…………わかりましたっ！
　えぇと、ちょっと待っててください！」



バタバタとお店の中へ……そして小さなポーチをぶら下げて戻ってくる。
中から取り出したのは、以前プレゼントしたヘアブラシ。




「チトセさんからもらったこれ、
　形見だと思って大事にしますから……！
　遠くに、行っても……どうか、お元気でぇぇ……」

「……ありがとう、こねこちゃんも……！」




涙声。つられて、わたしも目が潤む。
衆目を気にする余裕もなく、最後はお互いに涙ぐんで、お店の前で抱きしめあっていた。



ひとしきり泣き終えると、黒猫がこちらを見上げていた。

見覚えのある桜の飾りに気付くと、その意味を悟った。



――――そうか、この子は。



わたしと、真柄君と、彼女と関わった多くのひとたちが心を砕き続けたこと、
『こねこちゃんたち自身』の生きることへの戦いが、意味を成して結実したのだとわかった。




手を伸ばすと、人懐こく顔を摺り寄せてくれた。




「こねこちゃん……それにねこちゃんも。それと――みんな、元気でね。」




手を振って、別れを告げる。
こねこちゃんはめいっぱい大きく腕を振り返し、黒猫は小さくしっぽを振る。
そして上のほうで、オバケ少女もふわふわと小さく手を振ってくれていた。
　http://lisge.com/ib/k/now/r103.html





　………


　………


　………



『マシカドリームビーチ』
　http://lisge.com/ib/talk.php?s=607


最後のイバラシティの姿を見て回り、
とうとうチナミ区の正反対、マシカ区の果てまできてしまった。
ここは常に温暖な気候で、水もビーチも綺麗で、ひとりになるには最高のスポットだった。


駐車場にバイクを停め、ぶらぶらと砂浜の上を歩き、ぺたんと座り込む。
目を閉じて耳をすませば、潮風に運ばれて波の音が心地よく耳のそばを駆けていく。







美しい世界だ。

春は花が咲き乱れ、夏は緑が生い茂り、秋は収穫された幸に舌鼓を打ち、冬は身を寄せ合い祝う。

美しくて、暖かくて、食べ物も資源も豊富で、社会と秩序があって、

そのなかで多くの人々が一生懸命に生きていた。

チトセがずっとずっとここで暮らしていきたいと、永住したいと考えていたのも、よくわかる。

わたしもすっかりとイバラシティの虜になっていた。




ワールドスワップは、実行された。

この世界の住人は掃きだめの世界アンジニティへと移され、

アンジニティに閉じ込められていた者たちが支配する世界となった。

まだ混乱の兆しは見えないが、少しずつ、少しずつ、混乱が起こり始めるのだろう。

破壊と諍いによって荒廃の一途を辿るのか、

変化を繰り返し怪物たちを受け入れられる新しい社会が構築されるのか、

それはまだわからない。




できることなら、見守りたい。世界の終わりを。世界の変化を。

わたしがこの世界で出来ることも、きっとたくさんあるのだろう。





それでも。

それでも、わたしは。





アンジニティに、待っている人がいる。

愛おしいひと、守りたいひとがいる。

自分の自由を、人生を、すべて捧げてもいいと思えるひと。









アンジニティも、変化する。

厳しく、冷たく、無法の地。

だが町があり、人が力を合わせて生きていくだけの余地はある。

イバラシティの異能者が集えば、新しい秩序を築くことができるかもしれない。

もちろん簡単な道ではない。

だが、少なくとも方向を示せるヒーローがいる。きっと彼なら……。
　http://lisge.com/ib/k/now/r24.html














もう二度と見ることのできない景色を十分に目に焼き付けて、立ち上がる。
隣に黒浦くんがいれば、とびきりの景色を写真にしてくれたはずだと、少し惜しんだ。









『ミラクルドロップス』チナミ本店
　http://lisge.com/ib/talk.php?s=78


ホームセンターやイバモールで必要なものを入手して、わたしは自分の店に戻ってきた。

各所に電話を済ませ……繋がったところもあれば、繋がらないところもあった……

いよいよ、片付けの時間だ。



ふっ、と手をかざすと、店中の飴が次々と消滅し、空気に掻き消えていく。

壁一面にあった瓶の中身の飴玉も、

スタンドに差した棒つきキャンディーも、

御鏡神社に納品していた千歳飴も、

飾られていた大小さまざまな飴細工も、

りりぃちゃんの発案で作った、フラワーキャンディも。
　http://lisge.com/ib/k/now/r85.html


すべての飴が消えていく。



商品がすっかりなくなり、看板を畳めば、

この建物はついにキャンディーショップとしての役目を終えた。




椅子に座り、寂しくなった店内を眺めながら、五月から貰った紅茶を一杯だけ飲む。



慣れ親しんだお店。
チトセがひとりで作り上げたお店。
わたしの夢だった、自分のお店。








さようなら、わたしのお店。
さようなら、イバラシティ。
たくさんの思い出をありがとう。













力を抜いて意識を集中すると、そこはもう家の中ではなかった。


穴の中を滑るように落ちてゆく。


やがて上下の感覚がなくなり、一瞬の間、多元宇宙に広がる久遠の闇を浮かんでいた。


泡のように漂う世界が視界を横切っては光に消えていく。


思い描いていた向かうべき方向に降りてゆくと、


わたしはその地に足を踏みしめていた。

---

ENo.24 バケツヘルム卿 とのやりとり


ENo.94 真柄 とのやりとり


ENo.125 翔華/舞華 とのやりとり


ENo.279 サツキ とのやりとり


ENo.374 キキメ とのやりとり


ENo.597 こねこ とのやりとり


ENo.968 名も無い白花 とのやりとり


ENo.975 ユイ とのやりとり