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空を見上げ、
ただじっとしている女、映美莉。
特に何か思いにふけっていたわけでも、
考えていた訳ではない。
ただ単に何かする気持ちがもてず――
ぼんやりしていただけである。
どうしてぼんやりしていたのか。
その答えは……明白ではあった。
時が満ち、
全てが終わりを告げようとしている。
その時が間近に迫っている。
焦りはない。
なるようにしかならないのだから。
でも……
終わりを迎えてどうするか。
どうすればいいのか。
映美莉には分からない。
分からないのだ。
何が真実で何が偽りで。
偽りなんか何もなくて、
ただの気の迷いかもしれないけれど、
それでも――
「えみり。」
と、映美莉がそこまで思考したとき、
親しい女性の声が映美莉の名前を呼んだ。
――この長くも短き戦いを共に歩み、
苦楽を共にした友人、
兎乃のものだ。
「ん？どうかしたか？」
視線をそのままに、兎乃の方を見ずに、
何かあったのか問いかける映美莉に対し、
兎乃は――
「空をずっと眺めてるけど、
　何か面白いものでも見つけたの？」
なんて聞いてきたので、
ゆっくりと映美莉は兎乃へと視線をやり、
まっすぐ見つめ――
「いいや、
　何もないさ。
　何もない。
　失礼。
　麗しきレデイを見ている方が有意義だし、
　声をかけてくれたんだ。
　ちゃんと目を見て話さないと失礼だね。」
おどけたように肩をすくめ微笑む映美莉。
「ううん……
　その辺りは別に気にしないというか、
　えみりだってそうしたい気分の時もあるでしょ？
　無理しないでくれたらいいと思うわ。」
だけど、そんな様子をみて心配そうに兎乃はいう。
映美莉本人は元気なつもりでも、
どこか上の空なところを感じ取り、
調子が悪いか疲れているかと思ったからである。
まぁ、当然、
映美莉本人は、
思うところがあるのは確かだが、
調子が悪いとか疲れているなどという感覚は全くない。
だから――
「いや、何もないさ。
　心配するようなことはなにもね。
　ただ、そうだな。
　ちょっと考えていたことは――ある。」
「考えていたこと……？」
安心するように少し軽く首をふって否定しながらいう映美莉に、
それでも心配な気持ちは消えないのか、
突っ込んでくる兎乃。
「……ま、そうだな。
　もし、何かをいうなら終わってからでは遅すぎる……
　という事もありえるか。
　何。
　戦いもそろそろ終わる。
　終わった後……どうなるかをちょっとな。
　今までも兎乃とは話してきた事でもあるが……
　――私は、覚えていられるのだろうか。」
「――何、を？」
その言葉に言葉が続かないのか、
思うところがあるのかは分からないが、
真剣な目で映美莉を見つめる兎乃。
何をか、と聞かれると、
映美莉にも答えにくいのだが――
「そう、だな……
　どういえばいいのかは難しい、
　いや言葉にすれば簡単なのか？
　――兎乃との事を覚えていられるのか、と少し不安になった。
　覚えていられる――
　と断言できるはずだったのに、
　自分の記憶がちょっと信じられなくなる出来事があってね。
　――恐らくは、
　今後の不安がなんらかの形になって現れてしまっただけで、
　気にする事ではないし、
　だからこそ気を強く持って否定すべきことなのではあるが……」
いささか心細くなっていたようだと笑う映美莉。
そんな映美莉の様子をみて、
「うーん……」
少し考えるしぐさをした後に、
兎乃は軽く抱きしめるように近づき、
映美莉の頭をなで――
「……いつもありがとう、えみり。
　えみりが抱えてる不安がどんなもので、
　悩みってほどじゃないかもしれないけど、
　いつだって支えてくれたし、
　こうして一緒に戦ってくれた。
　だから、
　たまには弱音を吐きだしてもいいと思うわ。
　支えてもらったんだもの。
　私だって支えてあげない……
　ううん、違うわね。
　私だって支えてあげたいんだから、
　こういう時こそ支えてあげないと、ね♪」
優しく子供に対するように頭をなでる兎乃のやわらかな香りが、
映美莉を包み、思わず顔が緩みそうになる映美莉だが、
一つ息を吐くと、
「――いや……
　我の方こそいつも支えてもらっている気がするんだが、な。
　しかし、そんな風にされると、
　嬉しいような気恥しいような感じがするな。
　……まぁ、うん。
　気持ちはちょっとおちついたし、
　もう少しこうしていたいって思うあたり、
　嬉しいんだろう。きっと。多分。」
ちょっとドキドキしながら落ち着いて返す映美莉。
そんな映美莉の様子にくすくす兎乃は笑って、
「じゃあ、しばらくこうしてあげましょうか？
　なんてね♪
　でも、えみり。
　本当に無理したらダメよ？
　えみりの事は信頼してるし、
　無茶をしても大丈夫なのも分かってるっていうか、
　そういう所も何度も見てきたけど……
　だからって、
　負担とか疲れがたまってないわけじゃないと思う。
　体に現れるものもあるけれど、
　それだけじゃなくって、
　心にのしかかるものだってあるんだから。
　……えみりは……
　もっと、弱音を吐いてもいいと思うわ。」
優しく、とろかすようにつげてくる。
実際甘えてしまうのもいいだろう。
そのまま流されるのもいいだろう。
幸せは幸せのままに浸る権利は誰にだってあるのだから。
けれど――
「……十分、吐いているつもりだし、
　十分甘えてるつもりだよ。」
それでよしとしないのも映美莉である。
誰よりもそれを望んでも、
望むからこそ、
誰よりも守りたい、助けたい、支えになってあげたい。
まるで姫を守る騎士のように。
頼りにされる存在でありたいし、
甘やかされるのではなく、甘やかしてあげたいのだ。
求めるからこそ、
与えたい。
だから――
「とても心地よくてこのまま兎乃に甘えていたいが、
　でもね。
　それじゃあ、ダメなんだ。
　もちろん、
　弱音だって吐くこともあるし、
　甘えたい気持ちはいつだってある。
　でも、
　まだ、まだ終わっていない。
　最後の最後の瞬間まで――
　我はやはり、
　折れず曲がらず朽ちぬよう、
　君を護りぬきたいな。
　だから続きは――」
言葉をつづけながら、
するりと兎乃の腕の中から抜けて少しばかり距離をとり、
映美莉はきりっとかっこつけて、
ウィンクしながら、
「全てで終わってからゆっくりと、
　日常の中でやってほしいな。
　その時は遠慮なくいわせてもらう……かもしれないな？」
なんて茶目っ気をつけて笑う。
突然腕の中から抜けられて、
兎乃はちょっと残念そうにしつつ、
本当かな？と言いたげな表情を浮かべ――
「もう……
　本当にえみりは……
　無理なんてしなくてもいいのに。
　それに、今だからこそ必要だと思うんだけど、だって――」
おっと、
それ以上は言わせないよといいたげに自分の唇の前に人差し指をたてて、
静かにと言いたげにウィンクしながら、
兎乃の唇へともっていき――
「それ以上はいわない約束、
　というものさ。
　もちろん、分かってはいる。
　分かってはいるとも。
　でもね。
　分かってはいるからこそ、
　そうしたくはないものさ。
　――その時が来るまで、
　しっかりと我が我の役目を果たした。
　そんな見栄くらいは張らせてくれ。
　君の笑顔を守りたいから。」
なんて茶目っ気たっぷりにいう映美莉。
そんな映美莉の様子に、
思わずため息をつく兎乃。
こうなってしまっては、
映美莉は自分を曲げないだろうし、
自分にできる一番の事は笑顔なのだろうと、
ちょっと苦笑交じりに兎乃は笑って、
「えみりは本当に……
　まったくもう……
　でも、確かにそうね。
　言葉に出してしまっては本当になってしまうかもしれない。
　私達の一番の望みはきっと一緒。
　それが嘘にならないように、
　それが訪れるように……
　あともう少し、
　気合いを入れて頑張りましょうか。
　それじゃ、いこ、残りあと少し、
　よろしくね♪えみり♪」
すっと手を差し出した。
一緒にいこうと誘うかのように。
その手をしっかり握り返し、
映美莉は――
「ああ、あと少し。
　一緒に最後まで頑張ろう。
　――何が待ち受けていても――」
兎乃に言葉を返しつつ、
少し瞳を閉じる。
不安はまだ完全には消えていない。
この素晴らしい想い出の数々が、
これからもずっと覚えていられるのか、
平和な日常が偽りの記憶なのではないかという不安も、
つないだ手のぬくもりと、
そこにある重さを実感しながら吹きとばし――
「兎乃との事は絶対忘れないし、
　それに、
　今日の続きをぜひとも終わった後にしてもらわねばな。
　楽しみだ。
　気合いが入りなおしたぞ。
　――それじゃ、いこうか。
　こちらこそ、残り少し、
　最後までよろしくな。兎乃。」
手をつないで二人は向かう。
最後の最後、時を迎えるその時まで、
二人共に戦う為に――

――二人の未来に幸あらん事を――

ItemNo.22 カツゥオォ を舐めました！
　体調が 2 回復！（26⇒28）
　今回の全戦闘において 活力43 敏捷43 強靭43 魔力28 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

魔術LV を 2 UP！（LV38⇒40、-2CP）
具現LV を 3 UP！（LV40⇒43、-3CP）

ユイノ(388) とカードを交換しました！

感情顕現：拒絶と蔽目 （クリエイト：ピッチダーク）


ディーヴァ を研究しました！（深度0⇒1）
ディーヴァ を研究しました！（深度1⇒2）
ディーヴァ を研究しました！（深度2⇒3）

メルト を習得！
ドラゴンヘッド を習得！
サモン：プロメテウス を習得！
クリムゾンブレイズ を習得！
ソーサリーノート を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

兎乃(223) は 尾花 を入手！
えみりん(1239) は 尾花 を入手！
えみりん(1239) は 銀の光焔 を入手！
兎乃(223) は 金の光焔 を入手！

▼エイド化候補（基本行動にてエイド化可能）
えみりん(1239) のもとに ベンケイ が空を見上げなから近づいてきます。
えみりん(1239) のもとに シンデレラ が興味津々な様子で近づいてきます。

特に移動せずその場に留まることにしました。

声が響く。