［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

　遠く、遠く。
　耳元を伝う嫌な汗を拭って。浅くなってきた息継ぎを繰り返して。
　天命を悟った猫が、旅の終わりを目指すように。──少女が猫の多い場所に好んで足を運んでいたのは、はじめについた嘘を保ち続けるためであったが。

　ざわめきが背後に遠のく。往来する者も少ないあたりへとやってきた少女は付近を見回す余裕もなく、頭を垂れて両膝に手をつくと、大きく息を吐き出した。荒い呼吸とともに髪が揺れ、汗が頬を伝う。
　時計の針はもうじき36回目の"XII"を指す。そうしたらまた初めてこのハザマという世界に来たときのように、始まりを告げられたイバラシティの夕暮れ時のように、案内役からアナウンスがあるのだろう。少女はそう考えていた。


体の奥が焼けていくような激しい痛みの中、かすかに水の音が聞こえる。


　キャンプ内でも人の密度が高い通りを過ぎてやってきた目的地は、人気のない草地だった。背丈の低い雑草がぽつぽつと生え、かつてこの場所に人の生活があったことを示すいくつかの瓦礫が辺りに転がっている。
　キャンプ自体、面積はそれほど広くない。外を探索するのに比べたら、さほど歩かずともそこに到達する。
　北東に面した、海に。

「はっ……、……っ」


まともに声を発することすら難しくなってきた。
霧中のようにぼやけた思考と、その中に時々稲妻のように走る鋭い痛みで脳内がぐちゃぐちゃになりそう。
けれど、まだ。
まだここでは、倒れたくない。


「……っ～～……！」


歯をくいしばって前へ進む。波の音がゆっくりと、近く、大きくなってくる。
一歩足を踏み出す度に、数時間前に異能で治してもらったはずの傷口が服を赤く濡らしていくのを感じていた。

重い。
服が。足が。
意識が。
腕が、肺が、胃が。
自分の体を構成している、すべてのあらゆる器官が。


　持ち手を握っていた手の力を緩めた途端、肩にかけていたスクールバッグがドサリと重い音を立てて地面に落下した。ほどなくして少女もその場に崩れ落ちるように倒れ込む。

「…………っ」

　手を伸ばせという脳からの命令に体がついてこない。受け身を取れずに転ぶのはもう何度目だったか。
　小さな呻きが唇から漏れ、涙を浮かべながら痛みに身をよじる。そこに混じるかすかな波音。独特の匂い。


………………もう、すこし。


　体のそこかしこから感じる痛みに顔を顰めながら、時間を掛けてよろよろと体を起こす。地面には派手な赤色がべったりと付着していた。


……どうしよう。


　人目につかないとはいえ、休憩場所も兼ねているキャンプ内に血痕を残すことは憚られた。誰かが今後この場を訪れる可能性もあり得る。

「……、……ぐ……っ！！」

　悩んだ末、近くに落ちていたコンクリート片に手を伸ばす。が、見た目の割に重さがあり、瀕死の身では余計に力が入らず、なかなか持ち上がらない。

「───…………は……、……ふぅ……」

　悪戦苦闘の末、血痕の上にコンクリート片を置くという雑な証拠隠滅を図り終えると、少女は息を吐いて瞼を伏せた。このまま体を投げ出したい、早く楽になりたい──。自分の体が訴えてくる懇望を無視して、近くに転がったままのカバンに視線を移す。
　高校に入学してから使い始め、この少女にとってはまだ一年半ほどしか使用していない、紺色の一般的なスクールバッグ。
　灰色の持ち手にくくりつけた寸胴のうさぎのキーホルダーと、触ると柔らかな感触のドーナツ型のスクイーズ。どちらもお気に入りで、イバラシティでは大学に進学してからも別のカバンに付けていた。
　カバンの表面はところどころひどく汚れている。それでも破れていない頑丈さに僅かな誇らしさを覚えながら、少女はコンクリートよりも比較的軽いそれを自分の傍に引き寄せ、チャックを開ける。

　ペンケース、教科書、ノート、袋入りの菓子、目立たない色合いの化粧品と応急手当のための道具を入れたコスメケース、ペットボトル──詰め込まれている品々の中から、目的のものを探し出す。すべて取り出すのに時間はかからなかった。
　地面に重ねておかれたそれらは、一冊のスケッチブックと水彩絵の具、筆にパレットといった画材用品。スケッチブックに描かれた絵はどれも鉛筆による素描で、色がついているページは一枚もない。主に部活で活動する際に描いた下描きや走り書きのみで埋め尽くされている。

　絵の具を溶かすための水なら、目前にある。筆ならおそらくまだ、どうにか持てないこともない。細かいコントロールが効くかどうかは怪しい。
　気を抜けば途切れそうになる意識に、腕に、足に、指先に、四肢に力を込める。


ずっと、遠くへ行くことを望んでいた。
どうしようもない世界が嫌で、憎んで、憎み続けて、いつか許せていないままの問題に終止符を打って、そのまま私自身も世界からいなくなろうと考えていた。

ここでしか話せなかっただろうこと、話せていないこと、向き合えていないままのこと。
最後までどうか無事で居てほしいという願い。結果がどうなろうとこれからも笑っていてほしいという祈り。
破ってしまった約束。またひとつ増やしてしまった、さいごについてしまった嘘。

貪欲で、強欲で、嫉妬深くて。
きっと、まだ、
まだまだ、足りない。ハザマでも。イバラシティでも。

これから一緒に出掛けたい場所もあって、成長を見守っていきたい後輩と作品もあって、また遊びに行きたいお店もあって、作りたい料理もあって、謝りたいことも、話したいことも知りたいことも尽きなくて山積みで──
なにも要らないと手放して、突き放して、最後の一歩だけは踏み込まないようにと遠ざけていたはずなのに。

………………なぁんだ。

いつのまにか未練、いっぱいに膨らんでる。

見つけてもらわなくてもいいから。

もし、見つけてもらえたのならば。

この世界だからこそ言えたこと。
まだどちらの私でも伝えられていない、ほんとうのこと。
たくさんのこと。
どうか。


──どうか、



──────あなたは。

ENo.428 晴 とのやりとり


ENo.546 不幸喰らい とのやりとり


ENo.789 無名 とのやりとり


ENo.968 緋染の白花 とのやりとり

ItemNo.9 雪融けの知らせ を使用しました！
　魔香のため、体調は回復しなかった。
　今回の全戦闘において 耐疫43 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

ふらふらと、ゆっくりと立ち上がる男。





　





突然エディアンが現れ、割り込んできた。

　

　

　






　






酒瓶をぶんぶんと振り回す。

　







顔が青くなり、バタリと倒れる男。

　





男を強く踏みつける！




踏みつけたと同時に、ふたりの姿が消えた。

時空LV を 5 DOWN。（LV25⇒20、+5CP、-5FP）

呪術LV を 10 UP！（LV60⇒70、-10CP）
合成LV を 1 UP！（LV0⇒1、-1CP）
料理LV を 4 UP！（LV95⇒99、-4CP）

泥蘇光悪渡(150) の持つ ItemNo.21 良いお肉+1 から料理『ジューシー唐揚げと玉子焼き弁当』をつくりました！
　⇒ おいしくなあれ♪！［ 2 4 1 = 7 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
晴(428) の持つ ItemNo.12 ビーフ から料理『肉巻きキムチおにぎり』をつくりました！
　⇒ おいしくなあれ♪！［ 3 5 1 = 9 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
悠吏(526) の持つ ItemNo.15 雪兎 から謎飯『雪兎から作った猫顔のかき氷』をつくりました！
　⇒ おいしくなあれ♪！［ 5 2 5 = 12 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
　⇒ 謎飯チャレンジ！［ 1 6 4 = 11 ］成功！なんかそれっぽい気がする！！

えみりん(1239) とカードを交換しました！

眷属召喚 （サモン：スペシャルゲスト）


ステイクオール を研究しました！（深度0⇒1）
ダークミスト を研究しました！（深度0⇒1）
ダークミスト を研究しました！（深度1⇒2）

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

晴(428) は 朱の光焔 を入手！
泥蘇光悪渡(150) は 錆の光焔 を入手！
泥蘇光悪渡(150) は 錆の光焔 を入手！
ユイノ(388) は 朱の光焔 を入手！
悠吏(526) は 不思議な硬貨 を入手！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『リュウジン区 L-3：チェックポイント《果物屋》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - ユイノ(388) の選択は リュウジン区 L-3：チェックポイント《果物屋》

MISSION!!
ミナト区 Q-6：ミナト海浜公園 を選択！
　　 - ユイノ(388) の選択は ミナト区 Q-6：ミナト海浜公園

声が響く。