［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　［スキル］OK.　

……遠くで煩わしい小型犬の吠え声がする。

あれは最早どうでもいい。

信念も、覚悟も何もかもが壊れるさまは見てて心地がいいものだったが、もう興味は失った。



やっと……追いついたぞ。















蓮が咲く、黒い黒い泥の池。







沈め、このまま——

---

夏の早朝、蝉が耳を騒がせ、白い日差しが世界を満たす。

俺は庭を見ていた。



「あれっ兄貴、なに見とるん？」



……庭の蓮。



「あ、ほんまに。咲いとるねえ」



美しかった。

---

俺は播谷神社に生まれたが、跡取り息子ではなかった。

それはいい、播谷の跡取りは女子がやると決まっている。

事実、霊能力は女子の方が強く適性が現れやすい。

ただし俺は男子でありながら、霊力が強すぎた。



「あ〜！修行なんて最悪！兄貴は気楽でええな！」



妹の霊能者としての才は、無ではないが、秀でてもいない。

ゆえに修行もつらいものとなるのだろう。日々愚痴を溢し、俺の立場に文句を言っていた。

それはいい、只でさえ妹は遊び盛りの齢、俺の方が気楽な立場というのも、本当のこと。



「道宗朗さん、しっかりしとるねえ」

「お兄さんだものねえ」

「美千代ちゃんのことを支えたげてね」



妹のため。

播谷家のため。

それはいい。全て当たり前のことだ。

人として、播谷の男子として当たり前のこと。



だが、なぜか。

なぜ俺の足取りは重くなったのか。

あれは、いつの夏だったか……



「コジマ〜お前よう食うねえ」

「ぶにゃぁ〜」



その日、妹……美千代は修行をさぼってやたら肥えた野良猫と遊んでいた。

問い詰めたら、何かと言い訳を言われた。詳しくはよく覚えていない。

言い合いになって、妹は泣き出した。

それで、大人たちに見つかって……



俺は、美千代が修行をさぼったことを大人たちに弁明しようとした。

そうしたら美千代が……



「兄貴が無理やり連れ出したの！」



俺はその後……どうしたか。

俺を見下ろし何か語気を強める大人を、ぼんやりと見ていた気がする。



その夜、縁側ですれ違った美千代から何かを言われた。

確か……



「兄貴、昼間はごめんねえ。怒られるの怖くてつい。謝ったっさかい許して！」



許したつもりはなかった。

後ろに消えていく軽い足音を聞きながら、俺は蓮の蕾が並ぶ庭に視線を移す。



やたら肥えた野良猫が、臓腑を剥き出しにして倒れ伏しているのが、目に入った。



その日以来、俺の周りでは異変が起き始めた。

物が壊れ、動植物が死に、人は怪我をする。

俺は恐れた。

俺のせいではないと、言うことを聞かないと、頭を悩ませても……逆効果だった。



俺の怒り、苛立ち、些細なものから大きなものまで、あらゆる感情に反応したものが、勝手に手を降していく。

これは、祟り……なぜ俺は生きながらに祟りを？

そのさまを、俺は震えて見ることしかできなくて……

大人たちに問い詰められた。



悪いものが憑いている。

祓わねば、あるいは力を封じねば危険だと。

わかっていた。俺は、俺の危険性を自覚していた。

俺は自分が、恨みを抑えることのできない弱い人間であると、知っていた。

だから、縋るしかないと。



……そう思った日の夜、唐突に、俺は病に倒れることになる。



己の力で解決できないのは恥だ。

だから俺は、俺を呪ったのだ。



病床の中、満たされる。

病は、熱は、苦痛は、やっと訪れた安堵。



俺は俺の手で、永遠に光差さない泥の中に眠るのだと——


























「道宗朗！……無事ですか」



——俺はなぜか、目が覚めた。

塞がれるはずの俺の視界に、朝日が差し込んだ。

おふくろ……播谷沙矢子、現当主が……俺の病を祓った。



なぜだ？

なぜ俺を生かした。

問い詰めた。

俺はあのまま死ねたのに、俺は俺の意志でこの闇を葬ることができたのに……！



「命助けてやったっちゅうに何やそん態度は！沙矢子様に感謝しろ！」



それは、否定——

























母を称え、俺に詰め寄った男は、その夜……川に足を滑らせ、どこぞへ消えた。

翌日、騒ぎの報告を受けた父が神社に戻る。

父は現代の世にも関わらず、何故か忍びなんぞをやって、留守にしてばかりだった。



「お願いします、道夢様……

　あの子の闇が深うて、深うて……こんままじゃあきまへん。もはや、封をするしか……」



「沙矢子、まずは俺に任せろ。俺は……道宗朗と話さなあかん」



母は父を前にすると、決まって縋るようにその手を握る。

母はそれで大層安堵するという。



……お前たちはそれでいい。

お前たちはそれで満足だろう。

だが播谷道夢。

お前はその自惚れた手を俺にも差し出すのか？



「道宗朗……お前の気持ちを、話を、聞かせてくれ。」



甘言を。

戯言を。

打算だらけの忍びの言葉など受け取る価値もない。



本当に俺を思っての言葉なら、俺の望みをきいてくれるなら、おふくろを置いて死んでくれるよな？



頷けまい。

堕ちろ、堕ちろ、堕ちろ堕ちろ堕ちろ堕ちろ堕ちろ堕ちろ、己の軽口を後悔しろ！

俺の願いはひとつ、その自惚れた手を降ろせ！



願い、それに全て答える。忌々しい、俺の苦痛の根源。

だが……これだけでもあるのだ。万能。これだけが唯一、俺の"思い通りになる"。



差し出された父の腕は俺の望み通り……

呪われたように腐り落ちた。



「道宗朗……！

　俺はずっと、お前の苦しみを理解でけへんかった。

　それでも、俺は——」



父はしつこかった。腕を押さえたまま、戯言をやめないこの男が不愉快極まりなかった。

なら次は喉を潰そうか。価値のない言葉を紡ぎ出すその喉を……



「道宗朗ッ！！」



——その前に、母が怨霊のように怒り狂った。

























父の姿を嘲る俺の右目は、母の怨念で瞬時に燃やされた。

父は、怨霊のようなそれに縋って、手を伸ばした。

片方腐り落ちたその手で、母の手を引き寄せて、しかし……

それでも安らぎは戻らなかった。



その時の母はもう、俺に致命的な傷を負わせることでしか己を救うことができなかったのだ。

恨みに囚われた播谷の霊能者は皆、こうなるのだ。

どれだけぬるま湯に浸かろうと、己を律し塗り固めようと、俺たちの本性は、変わらない！

恨みだけに囚われた母の姿を見て……俺は心底嬉しかった。



「もうやめてぇ！」



……だが結局、その事態を止めたのは、美千代だったか。

よくアレを止められたものだ。さんざ文句を言いながらも、修行を積んだということなのか。

お前はいつも、俺の邪魔ばかりだな……

























俺は結局、強固な封を施されたのち他所にやられた。



だが、無意味だ。

この燻った恨みの数々は、封を解くことすら容易い。

この呪われた血筋に意趣返しをする。

俺の血を分けた者に、俺が受けたものをそのまま与える。

ひとつ手折って、またひとつ手折って、逃げ道を奪って、奪って……



その上で選んだお前の道を——

























　

ENo.16 狐嵐華丸 とのやりとり


ENo.27 Spencer とのやりとり


ENo.76 キバ とのやりとり


ENo.464 エンシャクシュ とのやりとり


ENo.512 アルカロス とのやりとり


ENo.736 めーて とのやりとり


ENo.885 産姫 とのやりとり


ENo.978 杏里 とのやりとり

ItemNo.22 肉切り包丁（戦闘用） を破棄しました。
ItemNo.7 保冷剤 を破棄しました。

ItemNo.35 怨嗟の薬 を使用しました！
　魔香のため、体調は回復しなかった。
　今回の全戦闘において 復活50 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

時空LV を 14 DOWN。（LV14⇒0、+14CP、-14FP）
使役LV を 1 DOWN。（LV24⇒23、+1CP、-1FP）

制約LV を 20 UP！（LV20⇒40、-20CP）
料理LV を 5 UP！（LV89⇒94、-5CP）

ユウタ(446) とカードを交換しました！

勢いを剥がす力 （イクスクレイム）


カンタレラ を研究しました！（深度0⇒1）
カンタレラ を研究しました！（深度1⇒2）
カンタレラ を研究しました！（深度2⇒3）

イディオータ を習得！
博打付加 を習得！
有為転変 を習得！
ドゥームトラップ を習得！
ワロップ を習得！
大山鳴動 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

葵(548) は 楪 を入手！
葵(548) は 銀の光焔 を入手！

タニモリ区 F-19（森林）に移動！（体調20⇒19）
タニモリ区 F-20（森林）に移動！（体調19⇒18）
マシカ区 F-1（森林）に移動！（体調18⇒17）
マシカ区 F-2（道路）に移動！（体調17⇒16）
マシカ区 F-3（沼地）に移動！（体調16⇒15）

［805 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［432 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［476 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［204 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［400 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［330 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［267 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［194 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［118 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［143 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［151 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［306 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［48 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［222 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［102 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［108 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［107 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［56 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［86 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［75 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［14 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［38 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［84 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［100 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［100 / 100］ ―― 《黒い渦》不運
［18 / 100］ ―― 《線路》駆逐



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

時計台が映る。

　

　

　

秒針が静かに進む。