［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

「トーコは好きな人っているの？」

いつもの仲良しメンバーじゃないけれど、それなりに会話もする友達×2+私。
何のときだったか、その三人で話していたら、一人が好きな人の話をしはじめ、もうひとりが追従した。
そうして満を持して私に話が振られた。

「う～ん……墨田のお兄ちゃん、かな……」

秘密をほとんど強制的に共有されたうえで、断りにくかったので適当に答えることにした。
墨田はクラスメイトで、小学校からの友達だ。
中学に上がった今も、時折他の男子と一緒に家に上がってゲームをしている。
事実、高校生のその人は大人びて見え、背が高く、顔がよくて、単純な言葉で言えば格好良かった。
だから、適当ではあったけれど、気になる人リストの上位にいつもいたから、すぐ出てきた。
それに、二人のようにクラスメイトや同学年の男子の名前をあげる気がしなかった。

わかる～、とか、そうなんだ～、とか会話がぱらぱらと続いては散っていった。

*


いつものように、私は墨田の家に、クラスメイトの男子と一緒にマイコンを持ってお邪魔した。
パーティーゲームをみんなでやるためだ。
墨田のうちは少し古く、床がなんだかぺとぺとしているし、壁もちょっとくすんでいたりリビングがヤニ臭かったりしたけど、同時に夕飯を準備する匂いや洗濯洗剤の匂い、墨田のお母さんの匂いとか天日干ししたクッションの匂いとかが私は好きだった。

たぶんだけど、今思えばその日は墨田のお母さんの匂いはしていなかった。

墨田の部屋は一階の日陰にあり、そこでワイワイと騒ぐのが常だった。
しばらく遊んでいて、私はトイレに立ち、用を済ませて部屋に戻る時だった。

「トーコちゃん」

振り向くと、声の主の墨田のお兄ちゃんがいた。
それまで良いな、と思っていただけだったのに、先日の話を思い出して顔が少し赤くなるのを感じ、それが不思議だった。
墨田のお兄ちゃんの部屋は2階にあり、階段から降りてくるところだったらしく、ただでさえ高い背を見上げることになった。
相変わらずかっこよく見えた。

「いつもケンスケと遊んでくれてありがとう。
　そういえばさ、グラッドノットの新曲買ったんだけど聞いた？貸そうか？」

墨田のお兄ちゃんとは小学校からの付き合いで、墨田と一緒に一人っ子の私とよく遊んでくれた。
好きなアーティストや漫画も一緒で、よく貸してくれた。
私は久しぶりに声をかけられた気がしてちょっと嬉しくなったのと、シングルCDはアルバムが出るまで我慢していたので借りることにした。

墨田のお兄ちゃんは、CDを持ってくるんじゃなくて、私を部屋に招き入れた。


*


墨田のお兄ちゃんの部屋に入ったのは初めてだった。
ギター、アンプ、イヤホン、スピーカー、青年向け漫画、知らない洋楽のポスター、吊るされた学生服、なにかのケーブル、ベニヤ板のCDラック。へたれた布団。

そして、墨田の家の一階とは全く違う匂いだった。
お香のような香りと、土っぽい匂いと、嗅いだことのない匂い。

「はい、トーコちゃん」

テレビのヒットチャートで映されたのと同じジャケットのCDが手渡された。
私は両手で受け取り、ありがとうございますとお辞儀をした。
顔をあげると、顔を同じ高さにした墨田のお兄ちゃんの顔が間近にあった。

「トーコちゃん、俺のこと好きなんだって、聞いたよ」

私はぎょっとした。
ここがド田舎であること、狭いネットワークであること、いつもの仲良しグループではない子に話したこと、全てを悟り、呪った。

「俺も好きだよ」

墨田のお兄ちゃんの顔はどんどん近づいてくる。
いつの間にか私の肩に大きな手が乗っている。
その言葉が本当かどうか確かめる間もないままに、私は初めてのキスを唐突に済ませた。

正直に言えば嫌じゃなかったし、興味があった。
その先にも。


*



「生理って来てるの？」

へたれた布団の上で、上から落ちてきた唐突な質問に、私は首を横に振って答えた。
墨田のお兄ちゃんの表情は変わらなかった。

「じゃあ生でいいね」



*


私は大人になった気になっていた。
年上の彼氏、初めてのキス、初めての体験。
デートは彼の部屋でばかりだったけれど、噂話が怖かったのでそれでよかった。

けれど、付き合って数ヶ月でその日は唐突にやってきた。
私は初めて、自分の大量の鮮血を見た。


彼に報告すると、その時はいつもの温和な表情で笑ってくれた。

「おめでとう。じゃあ、これからはゴムつけないとね」

それから、彼から連絡がなくなった。
それまで、愛してる、好き、会いたいなどくだらないやり取りをしていたメールも来なくなった。
しびれを切らして連絡してみると、一日過ぎてから返信が来た。

『ごめん、他に好きな子ができた。
　別れよう』

流石に私はそこまでバカじゃなかったので、うすうす気付いていた事実を認めることにした。
不思議とショックじゃなかった。
返信はしなかった。


*

あの返信が来たのは下校時間近くで、学校にいるときだったと思う。
誰にも何も言わずに一人で帰った。
初めての時の痛みを思い出していた。
あの2階の布団に横たわっていると、ほとんど真下にある墨田の部屋の声が聞こえていたことを。

校庭を横切る時、自分の家とは反対の道へ帰る墨田とその友達の後ろ姿を見つけた。

そしてようやく、私が本当に好きだったのはお兄ちゃんじゃなくて墨田だったことに気付いた。
もう、あの家に行けなくなったことも。
処女膜なんかよりも大事なものを失ったんだってことに。

ENo.1230 士円 とのやりとり

ItemNo.4 ロータス・インセンス を使用しました！
　魔香のため、体調は回復しなかった。
　今回の全戦闘において 器用53 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

倒れた狐面の男女が消え去ると同時に、

小さな光の玉が出て空へと飛び去る。

　




そう言って、その場を去るひょっとこ。

　

　

　

その後、再び狐面が襲ってくることはなかった。

各々が街を愉しんでおり、居酒屋で酒に酔い大騒ぎする狐面までいる。

ただただ、賑やかな街だ。

　

　

突然チャットが開く。








チャットが閉じる。

　

　

　

･････身体の奥から、少し力が湧き出る感覚。


各CP･FPが2増加した！

明楽(303) から ビーフ を受け取りました。

明楽(303) から 腐肉 を受け取りました。

士円(1230) に ItemNo.12 腐肉+1 を送付しました。

士円(1230) から 角 を受け取りました。

命術LV を 5 UP！（LV15⇒20、-5CP）
合成LV を 5 UP！（LV29⇒34、-5CP）

唯(369) の持つ ItemNo.27 青色の果実 から魔香『オゾンノート』をつくりました！
　⇒ エルフのおまじない！［ 2 3 2 = 7 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
絶望の先触(1058) の持つ ItemNo.14 ふきのとう から魔香『生と死の幽香』をつくりました！
　⇒ エルフのおまじない！［ 4 5 3 = 12 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
ウィル(72) の持つ ItemNo.5 土筆 から魔香『Pure Incense』をつくりました！
　⇒ エルフのおまじない！［ 6 2 5 = 13 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！

スシキ(226) とカードを交換しました！

邪祓 （ヘルシャフト）


フレイムインパクト を研究しました！（深度0⇒1）
フレイムインパクト を研究しました！（深度1⇒2）
クリエイト：キャノン を研究しました！（深度1⇒2）

アイシクルランス を習得！
精神力 を習得！
ビッグウェイブ を習得！
再活性 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

明楽(303) は 角 を入手！
ウチモ(315) は ビーフ を入手！
明楽(303) は 不思議な布 を入手！
チャンディー(1321) は 角 を入手！
明楽(303) は ビーフ を入手！
ウチモ(315) は 不思議な布+1 を入手！
明楽(303) は ビーフ を入手！
ウチモ(315) は 小さな灯火+1 を入手！
ウチモ(315) は 小さな灯火 を入手！
明楽(303) は 小さな灯火 を入手！
チャンディー(1321) は 小さな灯火 を入手！
士円(1230) は 小判 を入手！
ウチモ(315) は 小判 を入手！
ウチモ(315) は 小判+1 を入手！
士円(1230) は 小判 を入手！

明楽(303) に移動を委ねました。

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - 明楽(303) の選択は チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》

MISSION!!
ミナト区 C-5：エンジョイ田本 を選択！
　　 - 明楽(303) の選択は ミナト区 C-5：エンジョイ田本

［866 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［445 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［194 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［397 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［310 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［221 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［160 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［90 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［137 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［128 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［196 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［28 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［58 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［32 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［58 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［39 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［8 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

「うぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ！！！！」

　

　

　

「ひぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ！！！！」

　

　

　

　

　

　

突然の絶叫と共に、チャットが閉じられる――

炎上しているエンジョイ田本。

併設されているファッションエリア以外、跡形もなくなっている。

　




その原因であろうものが、ゆっくりとこちらに迫ってくる･･･