［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

　先のアンジニティとの遭遇は俺の中に蟠りを齎した。
　因幡うさ子はイバラシティを守ると決めた。だから？
　正義の味方の皮を被ったところで俺は結局、犯罪者に違いない。
　被害者と詐欺行為の後に対面したことなぞ、幸か不幸か一度もなかった。それがこんなところで直面することになって、先の出来事から注意を拭えずにいる。
　向こうは実は侵略者だったから許される、なんてことはない。イバラシティでは等しく人間として生きている。それに俺が悪事を為したのは今回だけじゃない。“こちら側”の人間だっていくら騙してきた？　いくつ嘘を吐いて、いくら大金を巻き上げた？
　今更になって重ねてきた罪の記憶が走馬灯のように押し寄せる。揺らぐつもりはなかった。きっと、今だって動揺しているだけだ。
　俺は汐見莉稲の幸福を作るためなら悪にも孤独にもなると決めたのだから。
　けれども、俺が卯島渉でなかったなら。因幡うさ子なら、正義の味方として手を伸ばせたなら。最初から道が違っていたのではないか。無意味な相反思考を反芻して、俺は悪でありたいのか、善でありたいのか。今になってそんなことをひたすらに考えている。


「うさ子ちゃん」


　莉稲の声がした。
　隣で、俺の手を引いて歩いていた。


「なにか、悩んでる？」


　どきりとした。顔に出ていたのだろうか。


「いいえ、ちょっと。知り合いと戦うことになッたらヤだな〜なンて思って」
「うさ子ちゃん、なにか隠してる？」


　莉稲の足が止まった。背を屈めた栗色の瞳が覗き込む。妙に鋭い指摘が胸を突いた。


「わーくんね、ちょっと誤魔化したいことがあるとき、喋りの癖が強くなるの」


　どうして、俺の話なんか。


「うさ子ちゃんも、そうなんじゃないかって思って」


　俺は言い訳と打算で混線した頭で聞き入っていた。そこに風穴を空けるように、莉稲はそっと俺を抱き寄せる。まるで自分の子どもみたいに。


「あのね。どうしても言えないことって、誰にでもあると思うんだ。でも、頑張り続けてるときに誰にも言えないのって、きっと、すごく、つらいとも思うの」


　だからね、と一旦呼吸を置いて心地良い温度が遠ざかる。
　莉稲と正面から向き合った。


「わたしはそういう人に、頑張ったねえって言ってあげたいんだ。うさ子ちゃんにも」


　莉稲が目を細める。ほっとする笑顔だった。


「……ありがとう、ございます」


　その言葉は、俺に向けられるべきものではないけれど。
　莉稲の微笑みはコーヒーに垂らされたミルクのように胸に溶け込む。
　けれど、その甘さが苦しい。


　もしも。莉稲は、俺が詐欺をしていると知ったらどうするだろう。
　俺が多くの人を不幸にして、時に人生を狂わせていたことを悲しんで。
　事情をすべて知ったのなら、自分のせいで俺が犯罪者になってしまったと悔やんで──それから。


　それから、どうするのだろう。


　いくら考えても、明るい光が差す想像はできない。
　取り返しのつかないことをした。もう戻れないところへ来てしまった。
　莉稲を幸せにするために罪を犯した俺は、果たしてこの後莉稲を幸せにできるだろうか。
　何でもいいから彼女を救いたいと手を伸ばした末路が、彼女の泣き顔だと気づかなかったわけではない。けれど、彼女の前から結局離れることができなかった。
　彼女を悲しませないためには、俺のことを忘れてもらうしかないのに。
　彼女の中から、消えてしまいたい。
　
　卯島渉という男など存在せず、最初から最後まで因幡うさ子であればよかったのに。


　両頬をはたく。決して許されない思考をした。
　これは逃避だ。因幡うさ子は、卯島渉の逃げ道にするための力ではない。
　莉稲に正面から手を伸ばし、莉稲を守るための力だ。


　俺は善なるものでありたかった。けれど、自身の生んだ悪を放棄してはならない。絶対に。悪に堕ちても構わないと決めたのは自分だ。
　そう、卯島渉は最早許されない。卯島渉が正義の味方になることはもうない。
　その俺に僅かに許された、俺が俺でなくなれる瞬間。俺という人間が許されないからこそ、善に徹する存在が因幡うさ子だ。
　腕っぷしが強くて、癒しの力で怪我も治せて、勇気に溢れていて、莉稲のように強い心を持つ少女。
　
　因幡うさ子は俺ではない。因幡うさ子は弱者を助け、脅威と戦うヒーローだ。俺の中に残った、叶えられない善性はそこに費やされる。そして卯島渉は許されないまま生きていく。それでいい。
　俺が卯島渉である限り、この罪を手放すことなど無いのだから。

ENo.153 十九号 とのやりとり


ENo.490 雛 とのやりとり


ENo.631 クロウラ とのやりとり


ENo.719 ケムルス とのやりとり


ENo.880 オバチャン とのやりとり

ItemNo.4 エナジー棒 を食べました！
　体調が 1 回復！（25⇒26）
　今回の全戦闘において 活力10 防御10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

自然LV を 10 UP！（LV5⇒15、-10CP）
料理LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）

サキ(768) により ItemNo.2 何かの歯 から装飾『解析レンズ』を作製してもらいました！
　⇒ 解析レンズ／装飾：強さ327／［効果1］器用35 ［効果2］－ ［効果3］－

ケムルス(719) により ItemNo.2 解析レンズ に ItemNo.10 何かの歯 を付加してもらいました！
　⇒ 解析レンズ／装飾：強さ327／［効果1］器用35 ［効果2］器用35 ［効果3］－

ヨシノ(147) とカードを交換しました！

おもち （クリエイト：キャノン）


ダークインパルス を研究しました！（深度0⇒1）
ダークインパルス を研究しました！（深度1⇒2）
コンフィデンス を研究しました！（深度0⇒1）

アースリボルト を習得！
グロウスルーツ を習得！
地の祝福 を習得！
イラプション を習得！
パワフルヒール を習得！
フォレストアーム を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

うさ子(266) は 曹灰長石 を入手！
ナキドリ(516) は 怨恨石 を入手！
ケムルス(719) は 曹灰長石 を入手！
サキ(768) は 怨恨石 を入手！
ナキドリ(516) は 橙色の果実 を入手！
サキ(768) は すごい石材 を入手！
ナキドリ(516) は 小判 を入手！
サキ(768) は 毒液 を入手！

カスミ区 E-5（草原）に移動！（体調26⇒25）
カスミ区 E-6（道路）に移動！（体調25⇒24）
カスミ区 E-7（沼地）に移動！（体調24⇒23）
カスミ区 E-8（沼地）に移動！（体調23⇒22）
カスミ区 E-9（沼地）に移動！（体調22⇒21）

［866 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［445 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［194 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［397 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［310 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［221 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［160 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［90 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［137 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［128 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［196 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［28 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［58 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［32 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［58 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［39 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［8 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

「うぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ！！！！」

　

　

　

「ひぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ！！！！」

　

　

　

　

　

　

突然の絶叫と共に、チャットが閉じられる――