［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

こいこいとは！
分類は遊び方であるな。花札を用いた最もポピュラーな遊び方の一つである。
光札を集めたN光（N＝３～５）、猪鹿蝶、カスといった役を相手より早く揃え、持ち点の多い方が勝つ。
役が出来た瞬間にこい！とコールすることで、その後に役が完成すれば獲得点数がこいした数だけ倍になるぞ。
一攫千金を夢見るもよし、堅実に点を積むもよし。勝負所と頭の使い所が問われるゲームであるな。
なお、雨流れなしの一杯採用ルールは邪道である。

──検索魔法書架刊　『今夜勝ちたいこいこい攻略』　より引用




　決定的な勝利を味わったことがあるだろうか。
　勝負とは二分の一だ。どちらかが勝てばどちらかが負ける。太陽は月に勝ち、月は太陽に勝つ。ならば、昼には月の勝利に賭けろ──銃と誇りを胸に抱き、荒野を生きるガンマンの言葉だ。彼らは決闘を正義と悪の神聖な決着の場と見なす一方で、勝敗を決するのは実力ではなく運否天賦の大博打だと考えていた。状況が違えば決着も違う。熱と渇きが死を振りまく過酷な砂漠を歩く彼らにとっては、正義と悪に大した差などなかったのかもしれないが。
　紙一重の差に命を賭けるほどの価値を見出す者もいれば、そうでない者もいる。勝負の行方を左右する重大かつ致命的に不確定な要素に魅入られた者は、おおよそが前者だ。ひりつくように張り詰めた空気、その粒子すら感じるほどの、クスリでもやってるかのように高揚する神経。撃鉄が火薬を愛撫し、鉛玉は命を奪う愉悦に歓喜の声を上げる。沈む夕日に消えるガンマンの命の灯は、世代を超えて受け継がれている──

（勝った……勝ったぞ！　一杯なんか採用してっからだ！！　ざまあみろ！！！！）

　モニターに向かって小さくガッツポーズし、社会人としての良心を疑われるような快哉を叫ぶ。無論外に聞こえてはならないので胸中で。内心の自由は保障された権利の一つだ。誰も止めることは出来ない──最終月に初手で””花見に一杯””を完成させ、そのまま逃げ切り勝利を確定させることもだ。
　ひょんなことから始めた花札も、日々コツコツと勝利を積み重ねてきた結果、ついに世界ランク51位まで到達することになった。勝利とは最も原始的な成功体験である。あらゆる国、地域、果ては何度も同じ相手を叩き伏せることで、彼は花札星人になった。
　世界を代表する花札星人になるまで勝利してきた副作用として、勝利への執念が知らぬ間に肉体を蝕んでいた。荒野のガンマンと同じく、博打に勝つことの快楽が、脳を焼け焦がしている。
　無論、彼は気づかない。
　彼の気づかぬことを、彼の直感が彼に囁くことはないのだから。




「ば、馬鹿な……これまで誰にも負けたことのないこの私が！」

　例によって翌日のことである。例によって彼の手により持ち込まれた花札は、例によって昼の時間の休憩中、例によって上司との益体もない世間話に使われた後、例によって「じゃあちょっとやりましょうか」という彼の発言が引き金となり、心優しい上司は苦笑いしつつも戯れに付き合ってくれる運びとなった──のだが。

「今の、今のはちょっとおかしくないですか！？」

　立ち上がり、思わず抗議の声を上げる。イカサマの確固たる証拠を見抜いたわけでもなく、ただ抗議のために抗議するといった大人げない行為だが、荒野のガンマンは動じない。十二ヶ月中六ヶ月で持ち点すべてを奪われた──点数制を採用していた──事実にも、勝利者として見下すような上司の目線にも。砂漠には、あらゆる矛盾が内包される。
　勝ち誇った表情を変えぬまま、デスクを挟んで対面の上司は、これ見よがしに足を組み替えた。

「運が良かっただけよ。手札も良かったし、運も実力のうちって言うでしょ？」
「いやだって、僕が”””花見で一杯”””を完成させた直後に笹子さんが場に捨てた詩人のオッサンを次の山札から引いた柳のタンで嶺上開花して雨流れになったのはあまりにも出来すぎてませんか？！」
「読めている狙いを潰すのは、そう難しいことではないわ。少なくとも……この私にとっては」

　勝ち誇った表情を変えぬまま、勝利の美酒を──マグカップから──あおる。勝負中は放置されていたため、冷めてしまったのだろう。余裕をたっぷり漂わせた眼差しが一瞬曇ったのを、彼は見逃さなかった。続けて発せられた「ぬる」という謎の言葉も。
　集中は出来ていたはずだった。相手の反応は小さなものも全て感知出来ているのは、神経が研ぎ澄まされている証拠だ。それなのに負けたのだから、これはもう判定をジャッジに委ねるしかないというものだろう。彼は盤外戦術も得意だった。今日を生き残るためには何でもやるのが砂漠を生きるコツだ。

「そんな、読めているなんて。まるで僕の全てを読んでいるかのようじゃないですか。まるで僕の……すべてを」
「なんか……分かりやすいのよね。正確には、何となく読めるっていうか、その程度なのだけれども」

　打ち筋を研究する暇は与えなかったはずだ。上司とこいこいをプレイしたのは初めてなのだから、読まれる道理は全くない。だが、英雄とは往々にして思いもよらぬような死に方をするものだ。砂漠では大地ですら足元をすくおうとしてくる。何が起こっても不自然ではない。起こったのなら、それは自然だ。
　美酒の味に満足できなかったらしく、上司は電子ケトルで湯を再加熱しながら種明かしを続けた。

「定石通り猪鹿蝶を狙ったかと思えば、三光にタッチしようとして、結局役が付かなくて私のタネだのカスに負ける、みたいなの。多かったと思わないかしら？」
「確かに……なんか、三回くらいあったような……」
「あと、場に光札が出ると最優先でそれを狙うわよね。それで短冊を失った。私の手元に短冊が四枚あるのに」
「画面を見ていなくて……」
「あと一枚でタンが揃う私を前に、こいこいをかけたりとか」
「うう……」
「やっぱりアレかしら。長いこと過ごしてると、何となく分かるようになるのかもしれないわね」

　と言うと、上司は数呼吸の間を置いた。耳を傾けるのを待つように、あるいは打ちひしがれてうなだれた助手が、顔を上げるまでの時間を与えるかのように。沈黙は受け手の解釈に強く作用し、大抵の場合それは自責や疑念など心の隙から這い出た負の感情を増幅させる。それを意図したのかどうか考えていると、不意に上司の唇が動いた。

「さっき言った通りで、これは本当に私の……そうね、あなた風に言うならば””直感””なんだけれども」
「おっと！　それは不許可ですよ笹子さん！」

　先ほどまでのしょんぼりを即座に脱し、握りこぶしを高らかに掲げ、再び抗議の声を上げる。

「直感は僕の専売特許、それを奪われちゃあ男の名折れってもんですよ」
「あら。それじゃあ……どう？　もう一勝負」
「いいですね。つけましょう。決着を……僕と笹子さんの、どちらがこいこい星人にふさわしいのかを」
「……もうちょっと詳しく聞いてから返事をしてもいいかしら」




　アンジニティの空は距離感を狂わせる。電線をはじめとする人工物も、高いビルも見えない空は、眺めているだけで不安に駆られる──既に人間は文明によって距離感を狂わされてしまっているともいえるか。ただ広い空間は、巨大な自由と裁量を絶え間なく与えてくる。どこまでも続く砂漠に置き去りにされでもすれば、こんな気持ちになるだろうか。いかなる物差しにも決して測られないという強い主張を前に、人は怯え、足踏みしてしまう。
　マップを確認する。女子高生と組んで以降、ひたすら東を目指してきた。現在地からの最寄は、イバラシティでいえば昇竜レジデンスの座標だった。このまま東進して駅を通過すれば、このルートはアライ区に抜ける。その前に巨大な柱を解放したり、キャンプに戻ったりするわけだが。

（職場、通りたくないな。働きたくないとかじゃなくて）

　偽りの活動拠点たる第三湖東ビルは、ルート上に無いと言えないこともない位置にある。アンジニティは荒廃した世界だ。廃墟になっている可能性もあれば、そもそも存在しない可能性もある。それでも、探索を進めていけば、もしかするとビルの姿を目にすることになるかもしれない。

（それは、違う）

　出来ればあまり似ていない方が良いな、と思った。
　景色が似ていれば、否応なしにそこに暮らす者の姿を思い浮かべてしまうだろう。それは、ぞっとしない話だった。

ENo.564 PSY.B.峰子 とのやりとり


ENo.831 Dr.笹子 とのやりとり

Dr.笹子(831) に ItemNo.20 エナジー棒 を手渡ししました。

ItemNo.15 すごいパンの耳 を食べました！
　体調が 2 回復！（9⇒11）
　今回の全戦闘において 体力13 幸運13 活力13 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

Dr.笹子(831) に ItemNo.18 葵 を送付しました。
Dr.笹子(831) に ItemNo.21 何かの骨 を送付しました。

Dr.笹子(831) から ビニール袋 を受け取りました。

Dr.笹子(831) から 牙 を受け取りました。

変化LV を 5 UP！（LV15⇒20、-5CP）
合成LV を 5 UP！（LV30⇒35、-5CP）

イデオローグ(474) により ItemNo.15 ビニール袋 から射程1の呪器『硬質ワイヤー"Spells Ⅲ"』を作製してもらいました！
　⇒ 硬質ワイヤー"Spells Ⅲ"／呪器：強さ415／［効果1］器用25 ［効果2］－ ［効果3］自滅17【射程1】

Dr.笹子(831) により ItemNo.15 硬質ワイヤー"Spells Ⅲ" に ItemNo.24 何か固い物体 を付加してもらいました！
　⇒ 硬質ワイヤー"Spells Ⅲ"／呪器：強さ415／［効果1］器用25 ［効果2］攻撃10 ［効果3］自滅17【射程1】

棗(694) とカードを交換しました！

変化/散布：治療液（致命傷特化） （リザレクション）


ムーンサルトプレス を研究しました！（深度0⇒1）
剛健 を研究しました！（深度0⇒1）
ディクリースアイズ を研究しました！（深度0⇒1）

ブレイドフォーム を習得！
オーバーウェルム を習得！
旋風 を習得！
超音波 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

偽黒初(77) は ビニール袋 を入手！
Dr.笹子(831) は 人形 を入手！
麺屋の龍人(1595) は 人形 を入手！
Dr.笹子(831) は どろどろ を入手！
Dr.笹子(831) は ぬめぬめ を入手！
麺屋の龍人(1595) は どろどろ を入手！

現在のパーティから離脱しました！

リュウジン区 E-5（森林）に移動！（体調11⇒10）
リュウジン区 F-5（森林）に移動！（体調10⇒9）
リュウジン区 G-5（森林）に移動！（体調9⇒8）
リュウジン区 H-5（森林）に移動！（体調8⇒7）
リュウジン区 I-5（森林）に移動！（体調7⇒6）

Dr.笹子(831) をパーティに勧誘しました！

［844 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［412 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［464 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［156 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［340 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［237 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［160 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［97 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［41 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［17 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破



　

　

　

　　　ぽつ･･･

　

　

　

　　　　　　　　　ぽつ･･･

　

　

　



　




　

　

　

　　　　　　サァ･･･――

　

　

　

雨が降る。

　

　

　

　

　

　




よく見ると雨は赤黒く、やや重い。

　




急いで雨宿り先を探す白南海。

　

　

しかし服は色付かず、雨は物に当たると同時に赤い煙となり消える。

地面にも雨は溜まらず、赤い薄煙がゆらゆらと舞っている。

　

　




　

　

　

チャットが閉じられる――