［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

－－－－－【Side　イバラシティ】－－－－－

長雨がようやく立ち退き、……今年は特に酷かったこめかみの痛みが和らぐころ。
厚い雲は晴れて容赦ない日差しがアスファルトを、この身を焼く。
－－－夏だ。
借りているマンションから、職場までの移動距離でも。
どういうわけかエレベーターのついていない職場のビルの階段を登る時も。
空調が空気を調えるまでの数分間でも。
そこかしこで、これでもかと夏はその存在を私に示してくる。
何もしないでいても体から水分が奪われていくのを感じるし、なんなら暑さで心からも水分が失われていくようだ。
潤いだ。水分補給は当然として、心の潤いも必要である。
何でもない日常の中に潜む、少し笑える非日常、そういったささやかな心の動きを今求めている。
つい数日前まで、笑う気力がないくらい不調だったのも関係あるだろうか。

────


「七月ってどうですか？」
「……どう、とは？」

本日の仕事の目途が立とうというところに、素っ頓狂なことを尋ねられる。
意図を測りかね、コーヒーを啜る。嚥下と共に、質問が腑に落ちてくれればよかったのだが、どうにそうはいかず、質問をせざるを得ない。

「その、発言の意図が分からないのだけれど」
「七月じゃないですか。今日って。いや、今日だけが七月ってことじゃなくてですよ」

つまり、つまり？
思わずカレンダーをチラリと見やる。確かに七月だ。六月でも、八月でもない。七月。
……この助手は大丈夫だろうか。ここ数日、確かに此方の体調が芳しくなくて仕事を押し付けていた気もする。それが祟ったか、とうとう精神に変調きたしてしまったのだろうか。

「七月といえば、七夕じゃないですか」
「ええ。七夕ね。七月だもの」
「やりませんか？　七夕」
「え？」

七夕を、やる。
思えば、最後に七夕を正々と執り行ったのは何時だろうか。
十……二十……？いや、止そう。ドツボにはまりかねない。
しかし、記憶の限りで、自発的に七夕をやろうと思い、準備をし、執り行ったことはなかった。
そうして思案を巡らせていると、助手の男が窓を－－－空を指さす。

「見てください。夏の空です。夏の空といえば、なんですか？」
「ええと。入道雲？」
「惜しい！　いや、でもいいですよ。その調子でいきましょう」
「……答えは何となくわかったけれど、どうしてかしら。絶対に言いたくないのよね」
「絶対に言いたくないですか？　分かりました。では僕が言いましょう。天の川です」
「たまに思う時があるのよ。本当にあなたを部下として採用した自分の判断が、本当に正しかったのか……って」

そのやる気をもっとこう、別の方向に生かしてほしいのよね。と小声でつぶやき、此方の気持ちなどお構いなしに目の前に広げられていく道具、－－－七夕の道具を用意していたの？わざわざ？　を眺めていると。

「で、短冊買って来ました。そういうこともあるかなと思いまして」
「笹はどうするの？」
「かさばったのでやめました。裏にまだ門松が置きっぱなしなので、それで代用しましょう」
「季節感って知ってる？」
「だから七夕をやろうとしてるんじゃないですか」

竹と笹って結構違うと思うのだけど。そもそもあれは松だしという呟きは聞こえたか否か。年明け以来、あたかもそこを定位置として階段下に鎮座している物体を確認する。
ブルーシートを取り払うと、なるほど立派だ。だが、これを？運ぶの？上まで？と疑問符が脳裏に並ぶ。どうやら、彼も想定していたよりも門松が大きいことを認識したようで、短冊だけ書いて、吊るすことを提案してくる。
思わず少しだけ吹き出してしまう。ニヒルな笑いをこらえて、まあ、いいんじゃない？と答える。
笹の代役は見つかった。然らば、短冊を作らなくてはならない。願いを吊るすためにだ。執務室に戻り、渡された短冊を前に考える。願いを……待った、玄関に吊るすわけよね？これ
ふと顔を上げると、……きっと、私も同じような顔をしていたのであろう。助手と目が合う。

「いや、いざ願い事を書くとなると気恥ずかしいですね。だってこれ、笹子さんに見られるじゃないですか。下手なこと書けないですよ」
「同感ね。でももっと早く気づけなかったのかしら」
「かといって無難な無病息災とかっていうのも、なんか違う気がするんですよ」
「じゃあどうするのよ。折角ここまで御膳立てされたおかげで、ちょっと楽しくなってきたところなのに」
「うーん。願い事……書かずに短冊だけ吊るすってどうですか？」
「それ、意味あるのかしら」
「こういうのは気持ちの問題ですよ。どうせ願いが叶うわけじゃないですし」
「……うん。うん？　間違ったことは言ってないだけにたちが悪いわね……」



「これでよし、と。いいですね。かなり様に……なってる」
「そうね。竹に短冊を吊るした、という意味ではかなり七夕なんじゃないかしら」

竹と笹の違いについて自身の名前を交えた指摘をするべきか悩んだが、だからと言ってこれ以上階段下に鎮座する存在を増やしたところで何の得にもならないことは明らかであるので流しておく。
しかし……いや、妥協案として十分だ。何となくおめでたい感じも、そう悪くない。表に飾るわけでもなし、気持ちの問題だろう。


「ちなみに、三枚のうち一枚は『大願成就』と書こうとしてました。あとの二枚は秘密です」
「あら、ずるいわよ。私を聞きっぱなしにさせるつもり？」
「え、いやそんなつもりは──」
「『これからも楽しい日々が続きますように』。まあ、似たようなものかしら」

「これで一つやりたいことが終わりました。僕がやりたいことに付き合ってもらっちゃったので、今度は僕が笹子さんに付き合いますよ。何かありますか？　夏にやりたいこと」

そう言って笑顔を見せた助手である。
そうか今年の夏は、彼と少し笑える非日常を共に過ごすのも、悪くないのかもしれない。

－－－－－【Side　ハザマ】－－－－－


……そもそも私は、嘘をつくのは向いていない性格だと自分で思う。
だから、きっと、いつかばれる。
この嘘を貫き通せるほど私は嘘がうまくない。
……助手である彼は言っていた。『見えないものは、"""無い"""もの』だと。
ならば彼も、私も、まだ開けずに、見ていない『これ』について、今ならば無いものとして消し去ることができるのではないか。
物言わぬ『それ』を掌の上で睨み付ける。
当然、何も変わらない。
何故開けずにいたのか。
理由は色々思いつくが、どれも後付けだ。
ごちゃごちゃと思いつく言い訳を取り払って考える。
端的に、そう端的に。『これ』が存在することそれ自体、気味が悪かったからだ。
ならば、何故消し去らなかったのか。
出来るわけがない。そう、それはできるわけがないのだ。
『これ』は意味があってここに存在している。何も言わず、初めからそうである様に。
開かなくてはならない、何時だってそう感じていた。
しかし、……しかしこれは……。

ENo.77 偽黒初 とのやりとり

ItemNo.16 毛 を破棄しました。
ItemNo.17 毛 を破棄しました。

ItemNo.20 エナジー棒 を食べました！
　体調が 1 回復！（13⇒14）
　今回の全戦闘において 活力10 防御10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

フィーコちゃん(132) から 40 PS 受け取りました。

偽黒初(77) から エナジー棒 を受け取りました。

麺屋の龍人(1595) に ItemNo.26 牙 を送付しました。

命術LV を 5 DOWN。（LV25⇒20、+5CP、-5FP）
幻術LV を 5 DOWN。（LV25⇒20、+5CP、-5FP）

領域LV を 15 UP！（LV0⇒15、-15CP）
付加LV を 5 UP！（LV40⇒45、-5CP）

フィーコちゃん(132) の持つ ItemNo.21 枯樹の指輪 に ItemNo.18 浮草 を付加しました！

草原よもぎ(317) とカードを交換しました！

泥沼 （アイシクルランス）


フラッシュ を研究しました！（深度0⇒1）
フィアスファング を研究しました！（深度1⇒2）
アルヒェ を研究しました！（深度0⇒1）

ピュリフィケーション を習得！
パージ を習得！
ウィルスゾーン を習得！
ツインブラスト を習得！
治癒領域 を習得！
結界 を習得！
ディスインフェクト を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

偽黒初(77) は 人形 を入手！
Dr.笹子(831) は ビニール袋 を入手！
偽黒初(77) は 何かの骨 を入手！
Dr.笹子(831) は 紅小石 を入手！

偽黒初(77) がパーティから離脱しました！

現在のパーティから離脱しました！

リュウジン区 B-3（草原）に移動！（体調14⇒13）
リュウジン区 C-3（草原）に移動！（体調13⇒12）
リュウジン区 D-3（道路）に移動！（体調12⇒11）
リュウジン区 D-4（沼地）に移動！（体調11⇒10）
リュウジン区 D-5（沼地）に移動！（体調10⇒9）

偽黒初(77) からパーティに勧誘されました！

MISSION!!
リュウジン区 D-3：昇竜レジデンス が発生！
　　 - 偽黒初(77) が経由した リュウジン区 D-3：昇竜レジデンス
　　 - Dr.笹子(831) が経由した リュウジン区 D-3：昇竜レジデンス
　　 - 麺屋の龍人(1595) が経由した リュウジン区 D-3：昇竜レジデンス

［845 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［409 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［460 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［150 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［311 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［202 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［149 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［68 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　




　





不機嫌そうな表情。

　











首を傾げる白南海。

　





ポケットから黒いハンカチを取り出す。

それを手で握り、すぐ手を開く。

　

すると、ハンカチが可愛い黒兎の人形に変わっている。

　









眼鏡をクイッと少し押し上げる。






咄嗟に腕を組み、身構える。

　







そう言ってチャットから抜けるエディアン。

　




　

チャットが閉じられる――

聳え立つ巨大マンション、昇竜レジデンス。

　

その姿はハザマでも健在で、それを見上げると――

　




上空からふたつの巨体が迫り来る！




（初発生のイベント戦：異能FP+5！生産FP+5！）