［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

アレから更に数時間。夕闇が迫る時刻になっても何も起こらなかった。

「…やはり逃げたのではないでしょうか」

「…………」

本日4度目の問いかけ。
3度目までは否定していた俺も、今度ばかりは言葉に詰まった。
仲間の死体を前に、敵の縄張りでただひたすらどこにいるかもわからない獣を、身じろぎ一つせずに警戒し続ける事にいい加減疲れてしまったのもあるだろう。
俺自身も、つい先程まで燃えていた相打ちになっても殺してやるという決意が時間が経過するごとに徐々に萎んでいき、このまま死体と車を回収して立ち去った方が良いのではないかという考えがじわじわと思考を塗り潰していくのを感じる。


「ターゲットは幼い少女です。正当防衛とはいえ、殺人の事実を明らかにしたくないのは向こうも同じでしょう。
　このまま逃げ帰り、隠蔽するつもりなのでは…？」

「そうです。ターゲットにとっては突然の事でしょうし、混乱して合理的な行動をとれなかった可能性もあります。
　逃げずにこちらに襲い掛かったといっても、必ずしも我々を狩る気とは限らないのでは…？」


畳みかけるように告げられる言葉。顔は見えないが、部下達の心は一つであるらしい。
彼らの言う事はもっともであり、彼らを抑え込めるだけの説得力のある発言はできそうになかった。
それでも、彼らはプロだ。俺が一言「ダメだ」と言えば、渋々ながらも納得してくれるだろうが――

「…そうだな。姿は見えないが、もう夕刻だ。
　ターゲットがまだここに残っているのなら――あるいは襲われたと報告されたのなら、誰かがこの山に入ってきていてもおかしくない。
　この山に慣れてるのはターゲットくらいだろうからな。暗い山に入りはしないだろう」

「では…」

あからさまに嬉しそうな声を出す部下の発言を遮り、命令を下す。

「今から5分後に出発だ。固まって山を下りる。
　途中、人の気配を感じるか…あるいは何か異変があった場合はその時点で散って個々の判断で帰還しろ」

先程よりも肩の力が抜けた声で了解、という返答があった。
俺もこのプレッシャーから解放されると思うと、正直なところホッとする。
先程は脳内麻薬で美しく見えた狩人の誇りに満ちた死も、ただの自己満足にすぎないと冷静に判断できた。
ゴミのような生！　けっこうな事じゃないか。これだけの事をやらかしておきながら生還できるのは奇跡だ。


残り3分
バレている前提で動くため、死体と車の処理については諦める事にした。
沢野家だけでなく依頼主も敵に回す事になるが、そっちは前金を残して行けばいくらかマシになるだろう。

残り2分
部下達は時折、こちらに視線を向けて今か今かと待ち望んでいる。
闇に包まれた森は、時折鳥が鳴く以外はいやに静かだ。

残り1分
寸前程危ないものはない。周囲を警戒し、部下達にも注意を促す。

30秒…
15秒…
5秒…
3…2…1…

「よし。では、移ど――」


草むらの中から、こちらに向かって何かが飛び出してくる。
全員が合図に意識を集中させた、1秒にも満たない一瞬の隙。
反応は致命的に遅かった。

急いで銃を向けるも、間に合わない。
俺の視界は、沈みゆく太陽を背にした黒い影に覆われていき――がさっ、という葉擦れの音とともに俺の身体に絡みつく。

「なんだこりゃあ、木の枝か…！？」

反応が遅ければ判断も遅くなる。
虚を突かれた事で、それが極めて単純で原始的な陽動だという分かり切った事実に考えが至るのにタイムラグが生じた。
そしてその可能性が頭に浮かび、警戒の声を出そうとするその瞬間。
断末魔の叫びが響き渡った。

「クソ！！　こんな手に…！！」

片手を振って絡みつく枝を振り払う。
開かれた視界に映ったのは4人の死体と、距離を取ろうとする3人の部下。そして今まさに5人目を仕留めようとしている獣だった。

その目を見て、思い出した。
どうして俺がこの幼い少女を獣であると認識したのか。


本能だ。


血筋に刻まれた恐怖という名の情報(ほんのう)が、少女を捕食者であると認識し、警鐘を鳴らしていたんだ。
こいつがお嬢様で、幼い子供で、逃げた方が得で、なんてのはあくまで人間の思考だ。
この獣が思考する事はただひとつ。


逃がしてはならない獲物がいたから、全員狩ろう


ああ、わかるぜ。お前の考えている事が手に取るようにわかる。
部下達はわからなかったみたいだが。獣同士のシンパシーとでも言うのか。
それともこいつは俺の妄想に過ぎないのか。すべてはどうでもいい。

人の理性によって萎まされていた決意が、獣の本能によって再び呼び覚まされる。
俺も同じだ。こいつは逃げられない獲物だ。だから狩らなければならない――


決意と同時に引き金を引く。
9mm弾丸は6人目へと襲い掛かる獣に向けてまっすぐに放たれる。

先程と同様に銃弾は弾かれ、6人目が仕留められる。
予想通り、逃げる獲物ではなく反撃をする獲物へと。すなわち俺を次の狙いに定める獣。

「撃て！」という言葉とともに地を蹴る。
声に反応して、最後の部下がスタンガンの引き金を引く。
最大威力で放たれた青白い電流は、まるで稲妻のように獣の背に迫り――それを見る事無く大きく跳躍してかわす。

《危険察知》の異能。
そうだ、お前はそれを避けるために跳び上がるしかない。

そしてその僅かな隙に、落ちているスタンガンを拾い上げて、跳躍しながらもこちらへ迫る獣へスタンガンの先端を向ける。
怒りも悲しみもない、殺意に満ちた瞳。きっと今の俺も、こんな瞳をしているのだろう。
空中でこの距離ならばスタンガンは確実に当たるだろう。だが、獣の一撃もまた避けられない。

1秒後の死を前に、生存本能が回避を命じるよりもなお早く。俺は引き金を引いた。

バヂリ、という耳障りな音。
電撃が獣の身体を貫き、獣は大鎌のような腕を振り下ろす。
電撃を放ちながらスタンガンは真っ二つに叩き切られ、同じように役目を終えた俺の両手も切り飛ばされる。
直後、どさりと地面に落下する獣。

…周囲には何かが焼けたような臭い。小さな異形の身体には、今なお電流がバチバチと弾けている。
戦いは終わったのだと理解して、俺はささやかな満足感とともに深く溜息を吐き出す。

獣の手元が狂ったのか、どうやら即死は免れたらしいが手首からの流血が止まらない。
どうやら俺の残り時間はあまり長くはなさそうだったが、奇妙に落ち着いていた。

「副隊長！」

駆け寄ってくる最後の部下。
治療をしようとしているのだろうが、生憎と治療系の異能持ちではない。俺は首を横に振る。

「いらねえ。それより頼みがある」

「……何なりと」

聞き分けの良い部下だ。
クソのような人生だと思ったが、仲間には恵まれていたらしい。胸ポケットを見ながら

「タバコを吸わせてくれ」

部下は無言でタバコを取り出し、口に咥えさせてもらう。
宵闇の森の中に、ライターの火が灯った。
うっすらと照らされる視界には、少しぼやけた部下のクソ真面目な表情。涙ひとつも見せやがらねえ。
せっかくだ。何か名言でも遺して泣かせてやろうかと、ぼーっとしてきた頭を巡らせようとしたところで、獣の死骸が目に入る。

あれから数分は経っているというのに、獣の死骸にはいまだ青白い電流が弾け続けている。
電流ってそんなに残るもんだっけか？

「おい――」

何かがおかしい。
異変を伝えようとしたまさにその時、電流が一層激しく、ばぢばぢと音を立てて。

バヂッ、という、つい先程聞いた音が宵闇の森に響く。

「…………」

どさりと重い何かが倒れる音。肉の焼けたような臭いが周囲に充満する中、獣がゆっくりと立ち上がった。
そうして全身に青白い電流を走らせながら、鋭い槍のようになった腕を俺に向ける。
槍の先端に電気が収束し、青白く輝き始める。
…ぬか喜びかよ、とか。最後に煙草が吸えて良かった、とか。あのまま死んでれば満足したまま死ねたのに、とか。色々な言葉が頭をよぎったが。
敗者の最期のセリフは、これこそが相応しいだろう。

俺は獣を睨みつけ、きっと引きつったような笑みを浮かべながら、苦渋に満ちた顔で言ってやった。

「……畜生め」


バヂヂヂッ！


最期に俺の視界に映ったのは激しい閃光。
そして、消し炭になったタバコが地面に落ちる瞬間だった。


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ENo.103 悪意の魔女 とのやりとり


ENo.195 天使様 とのやりとり


ENo.450 菫 とのやりとり

シルバーキャット(748) に ItemNo.19 新品のドッグタグ を手渡ししました。

守護者の姿が消え去った――

　

　

六角形の柱から天に向け、赤色の光柱が立つ。

どうやら次元タクシーで行けるようになったようだ。

にわとり(353) から 80 PS 受け取りました。
源五郎(1464) に 40 PS 送付しました。

シルバーキャット(748) に ItemNo.4 不思議な牙 を送付しようとしましたが、特殊アイテムのため渡せませんでした。

制約LV を 5 UP！（LV10⇒15、-5CP）
装飾LV を 5 UP！（LV75⇒80、-5CP）

にわとり(353) の持つ ItemNo.21 すごい石材 から装飾『そこそこ不思議な装飾』を作製しました！
結(1510) の持つ ItemNo.22 すごい木材 から装飾『大樹の首飾り』を作製しました！

結(1510) により ItemNo.6 不思議な食材 から料理『サンドウィッチ（仮）』をつくってもらいました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 5 5 2 = 12 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
　⇒ 技巧料理！［ 6 2 3 = 11 ］成功！料理の強さが増加！
　⇒ サンドウィッチ（仮）／料理：強さ144／［効果1］器用14 ［効果2］敏捷14 ［効果3］耐疫14／特殊アイテム

源五郎(1464) により ItemNo.27 死獣輝石 に ItemNo.28 翠小石 を付加してもらいました！
　⇒ 死獣輝石／装飾：強さ240／［効果1］攻撃20 ［効果2］風柳20 ［効果3］－

千尋(1348) とカードを交換しました！

四辺伍臨 （エアスラッシュ）


チャクラグラント を研究しました！（深度1⇒2）
パワフルヒール を研究しました！（深度0⇒1）
デスペラート を研究しました！（深度0⇒1）

ピットトラップ を習得！
阿修羅 を習得！
フレアトラップ を習得！
背水 を習得！
ディクリースアイズ を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

結(1510) は 蒼小石 を入手！
シルバーキャット(748) は 翠小石 を入手！
結(1510) は 翠小石 を入手！
結(1510) は 毛 を入手！
シルバーキャット(748) は 毛 を入手！
玲子(813) は 毛 を入手！

次元タクシーに乗り カミセイ区 F-11：チェックポイント《商店街》 に転送されました！


シルバーキャット(748) に移動を委ねました。

カミセイ区 E-11（道路）に移動！（体調30⇒29）
カミセイ区 E-12（森林）に移動！（体調29⇒28）
カミセイ区 E-13（森林）に移動！（体調28⇒27）
カミセイ区 E-14（道路）に移動！（体調27⇒26）
カミセイ区 E-15（道路）に移動！（体調26⇒25）

［845 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［409 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［460 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［150 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［311 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［202 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［149 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［68 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　




　





不機嫌そうな表情。

　











首を傾げる白南海。

　





ポケットから黒いハンカチを取り出す。

それを手で握り、すぐ手を開く。

　

すると、ハンカチが可愛い黒兎の人形に変わっている。

　









眼鏡をクイッと少し押し上げる。






咄嗟に腕を組み、身構える。

　







そう言ってチャットから抜けるエディアン。

　




　

チャットが閉じられる――