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金色の系譜 - 敗走編 - Chapter 5 因果応報本能寺
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僕は瀬奈と喋るのが嫌だった。
口を開けば悪態ばかりなのもそうだけど
僕が瀬奈と一緒にいればいるほど、瀬奈は絵を描かなくなる。
瀬奈のSNS……
これまでの瀬奈の絵はすべてここに蓄積されている、らしい。
付き合い始めたときに教えてもらったのだけど、
ぶっちゃけその日以来"1度も更新されてない"。
あんなに毎日のように、熱心に制作に取り組んでたってのに。
まあ、付き合うとなったらそうなるのはわかっていた。
わかっていたけど
初デートで遊園地?瀬奈が?
隣に人がいようとおかまいなしに絵を描き続けるストイックなやつ……
口を開けば悪態ばかりだけど、絵にかける情熱とその姿勢は尊敬していた。
そんなやつが選んだ初デートの場所が……遊園地か。普通すぎる。
この時やっと、こいつは絵描きである以前に『普通の人間』なのだろうと思い始めた。
晴れない気持ちのまま迎えたデートの日。
瀬奈と行く遊園地は……
瀬奈の態度は相変わらずだったが、遊園地そのもののエンターテインメント性にめちゃくちゃ助けられたと思う。
むしろ、遊園地とか遊ぶためのスポットじゃなかったらただの地獄だっただろう。
これぐらいなら悪くないかもしれない……
なんて思いながら夜のパレードを終えて、なんとなく気分が良くなって……
そんな軽口まで叩いた。
つって、夜はハーシャッド教団もうろついてるかもしれないし多少はね?
家に引き込まれた途端、事態は急展開を極めたが、
どうやら瀬奈にとってはそこまで"急"な話ではなかったらしい。
いや知らねえし!!
幼い頃からずっと?僕のことが好きでした?嘘でしょ?
好きなら日頃もうちょっとマシな応対をしてほしかったし、突然変貌すんなと思う。
これが全裸の謀反人か。
これを世間は据え膳食わぬはナントカとか言うのか。
全力で否定したい。こんなのガヴァージュだガヴァージュ。僕の肝臓をフォアグラにする気か?
ぶっちゃけドン引きの比率が圧倒的に勝ってる。
とはいえ、僕にだって何かと願望はあるし、そういう行いそのものに興味あるかないかでいったら、ある。
正直、僕みたいな陰キャが今後カップルの真似ごとする機会とかある気がしないし。
少なくとも、この時は一生ないかもしれないと思っていた。
つーかここまで来てたら逃げ場なんてない。
周りは壁だらけだ。
哀れなガチョウ僕。
暴力振るうわけにもいかないし、
無理に逃げようとすれば今までの嘘がバレるし、
断れば何とやらと理不尽にブチ切れられるだろう。
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「も〜さっきから頭痛が痛いんだけど!気圧か〜」 |
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[843 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[396 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[440 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[138 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[272 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[125 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[125 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[24 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
―― Cross+Roseに映し出される。
フレディオ
碧眼、ロマンスグレーの短髪。
彫りが深く、男前な老翁。
黒のライダースジャケットを身に着けている。
ミヨチン
茶色の瞳、桜色のロング巻き髪。
ハイパーサイキックパワーJK。
着崩し制服コーデ。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
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フレディオ 「いよぉ!なるほどこう入んのか、ようやく使えそうだぜ。」 |
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ミヨチン 「にゃー!遊びに来たっすよぉ!!」 |
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エディアン 「にゃー!いらっしゃいませー!!」 |
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白南海 「毎度毎度うっせぇなぁ・・・いやこれ俺絶対この役向いてねぇわ。」 |
ロストのふたりがチャットに入り込んできた。
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ミヨチン 「・・・・・?おっさん誰?」 |
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フレディオ 「フレディオにゃー。ピッチピチ小娘も大好きにゃん!」 |
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ミヨチン 「・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・」 |
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フレディオ 「・・・いやジョークだろジョーク、そんな反応すんなっつーの。」 |
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ミヨチン 「大好きなのは嬉しーけど、そのナリでにゃんは痛いっすよぉ! なんすかそれ口癖っすかぁ??まじウケるんですけど。」 |
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フレディオ 「え、あぁそっち?・・・ジョークだジョーク。」 |
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エディアン 「私はそっちじゃないほうですね。顔がいいだけに残念です。」 |
軽蔑の眼差しを向けるエディアン。
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白南海 「・・・別にいいだろーよ。若い女が好きな男なんてむしろ普通だ普通。」 |
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フレディオ 「おうおうそうだそうだ!話の分かる兄ちゃんがいて助かるわッ」 |
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フレディオ 「・・・っつーわけで、みんなで初めましてのハグしようや!!!!」 |
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ミヨチン 「ハグハグー!!」 |
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エディアン 「ダメダメやめなさいミヨちゃん、確実にろくでもないおっさんですよあれ。」 |
ミヨチンを制止する。
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フレディオ 「・・・ハグしたがってる者を止める権利がお前にはあるのか?」 |
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エディアン 「真面目な顔して何言ってんですかフレディオさ・・・・・フレディオ。おい。」 |
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白南海 「お堅いねぇ。ハグぐらいしてやりゃえぇでしょうに。」 |
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フレディオ 「そうだそうだ!枯れたおっさんのちょっとした願望・・・・・」 |
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フレディオ 「・・・・・願望!?そうかその手が!!!!」 |
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エディアン 「ゼッッッッタイにやめてください。」 |
フレディオの胸倉をつかみ強く睨みつける!
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白南海 「そういえば聞きたかったんすけど、あんたらロストって一体どういう存在――」 |
――ザザッ
チャットが閉じられる――