［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

「……は？」

　何を言っているのだ、この男は。
　あの荒れ果てた暗い世界から出られるチャンスを、鼠森は熱望していた。当然、大曲晴人もそうだと思っていた。
　だから、何を言われたのか、一瞬わからなかった。

「あの世界はあたしが戻りたい場所じゃない。それより、アンジニティにいた方がよっぽど面白いものが見られそうだわ。あんたもそう思わない？」

　男の薄い唇が裂けるような笑みの形をつくるのを見て、ようやく得心がいった。

　――ああ、なるほど、そーいうことですか。


***


　鼠森と大曲は、元の世界では同じ大学に通っていた。
　二人が所属していたオカルト研究会は傍目にはただのオカルト好きの集まりで、実際部員の多くはちょっとオカルトが好きだったり、怖いもの見たさで集まったごく普通の学生達だった。兼部率も高く、二人もそれぞれ別のサークルと掛け持ちしていた。
　ただ、メンバーの中には『本気』の人間が何人かいて、活動内容を実質的に決めているのは彼らだった。
　その中心メンバーの中に、大曲晴人もいた。
　入部してすぐの頃、彼に対する印象は『面倒見のよさそうなちょっと変わったキャラの先輩』だった。
　……そんな印象はほどなくして崩れることになるのだが。

　鼠森がオカルト研究会に入った理由は怖いもの見たさが半分、後の半分は生まれ持った霊感だった。
　生きた人ではない何かの声を、意図せず時折拾ってしまう聴覚。
　鼠森の耳は、生まれながらにして異界の音を聴く耳だった。

　そんな聴覚を持つが故、鼠森は子供の頃から周りの人間に気味悪がられる存在だった。
　見えない何かの話をし、誰も聞こえていない音に反応する。それだけで、周囲は鼠森を遠ざけ、時には加害した。
　しかし、鼠森はただおとなしく虐められているような人間ではなかった。
　かと言って力が強いわけでも、特別頭がいいというわけでもない。それなら、自分にしか聴こえない声――恐らくは霊や狐狸妖怪の類であろうその声を利用して、自分を疎外したくだらない人間を陥れてやる。
　ずっとそれだけを考えていた鼠森は知識と手段を求め、オカルト研究会の門戸を叩いたのだ。


***


「…………」

　あんぐりと開けてしまっていた口を閉じて、普段通りの笑顔を作る。
　スカートの裾を直すふりをして、袖の中に隠し持っていた剃刀を掌に落とした。

「……先輩ってぇ、昔からちょっと変わった人でしたよね」
「そうかしら。そんなことより、さっさと行くわよ。あんまり時間もないみたいだし」

　大曲は肩を竦めて、背を向けてすたすたと歩き出した。

「……そ～ですねぇ」

　その細長い後ろ姿を見ながら、手の中の剃刀の手触りを確かめる。

　鼠森にとって大曲晴人は、頼りになるカードだった。
　頭が回るし、状況判断も早い。自分の得手不得手をよく理解していて、それを踏まえて上手く立ち回る。
　利害が一致するならば、そして自分達が戦わずとも侵略が成功すれば勝ちとなるならば、今後も行動を共にするつもりだった。

　だが、その前提は脆くも崩れた。
　その上、どうやら最初から利害すら一致していなかった。
　同じアンジニティに落とされた者だからといって、味方だと思い込んだのは迂闊だった。
　面倒見がよさそうだなどととんでもない。この男は自分のためにしか動かない。顔見知りだとか後輩だとか、そんなことは意にも介さない。
　それを承知した上で、逆に利用してやるつもりで近付いたのに。
　このまま同行していても、いいことなどひとつもない。

　手を切るなら、彼がまだこちらの敵意に気付いていない、今しかない。

　体温でぬるくなった刃をそっと撫でて。鼠森はその手を後ろに回し、大曲の隣に並んだ。

「せーんぱぁい」

　そこそこ男ウケのいい(と自負している)上目遣いが大曲に通用しないのはわかっている。しかし、鼠森の大曲に対する態度はいつもこうだ。
　普段通りの『かわいこぶって媚びてくるちょっと痛い後輩』に向けられるのは、呆れたような視線と――油断。

　影響度を上げるには、誰かを倒せばいい。
　その誰かとは、『アンジニティでありながらアンジニティ側に加担しようとしない者』でも構わないはずだ。

　鼠森かのんはアンジニティから来た侵略者だ。
　だからと言って、戦闘に積極的なわけではなかった。この瞬間までは。
　自分以外の誰かが頑張って侵略してくれればいいと思っていたし、普通に美味しいところだけいただいていくつもりだったのに、こんなランキング争いみたいなシステムだなんて聞いていない。最初からそう言われていたら、もう少し侵略に積極的な相手と手を組もうとしただろう。
　戦うのはイヤだが、アンジニティからは出たい。イバラシティにいたい。
　それが鼠森かのんの本音だ。

　――そして。
　例え戦闘能力がなくても。相手がこちらを見くびっていることがわかっていれば、隙を突くことくらいはできる。

　鼠森は指の間に挟んだ剃刀を振り上げて、大曲の白い喉元目掛けて切りつけた。


***


　　　　　　　　　　　　　　　　　　ピピストレル・ゴシップカノン
　イバラシティでの鼠森かのんの異能、"鳥無き空の追唱残響"は、幻聴を使って周囲の人間の行動を誘導するというものだ。効果はそれほど強くはない。鼠森自身が自分より格上と認識している相手、例えば先輩や上司にはほとんど効かない。それでも、この異能のおかげで鼠森の日常は随分と快適だった。

　『そうした方がいいよ』
　『みんなそうしてるよ』
　『ひとりだけ違うことするの？』
　『仲間はずれ、イヤじゃないの？』

　異能による幻聴を周囲の囁き、或いは自分の心の声と思い込んだ後輩や同期達は、ほぼ全員が鼠森の思い通りに動く。異能が効かない人間は、数の力で従わせる。
　社内の一部署の中という小さな世界で、鼠森は確かに"力"を持っていた。

　勿論、この異能は元の世界で持っていた"異界の音を聴く耳"が置き換わったものだ。
　入力と出力が入れ替わり、制御もできる。元の能力とはまるで違う力。
　イバラシティでは、異界の音は聴こえない。
　あの《響奏の世界》では、鼠森の周りには意のままに動く取り巻きがいる。
　元の世界で周囲への侮蔑と恨みを積み上げていた頃とは、まるで違う。

　だから、ハザマの世界で最初に気がついた時。
　元の世界の記憶と、イバラシティでの記憶の差を突きつけられた時。
　鼠森は思ったのだ。

　――あの世界での人生こそ、自分が求めていたものだ。

　どちらの世界にいたいか？　考えるまでもない。
　元々いたイバラシティの住人がどうなるのか？　知ったことじゃない。

　鼠森かのんは、あの輝かしい世界で人生をやり直したかった。

ENo.273 闇 とのやりとり


ENo.719 ケムルス とのやりとり

特に何もしませんでした。

守護者の姿が消え去った――

　

　

六角形の柱から天に向け、赤色の光柱が立つ。

どうやら次元タクシーで行けるようになったようだ。

すごい木材（400 PS）を購入しました。

幻術LV を 15 DOWN。（LV20⇒5、+15CP、-15FP）

魔術LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）
自然LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）
防具LV を 5 UP！（LV72⇒77、-5CP）

フォンティ(729) の持つ ItemNo.19 すごい木材 から法衣『永眠の木』を作製しました！
よもちゃん(1308) の持つ ItemNo.8 すごい木材 から法衣『すっごーい！よも衣』を作製しました！
ItemNo.1 浮草 から法衣『幻想藻の揺鬣』を作製しました！
　⇒ 幻想藻の揺鬣／法衣：強さ108／［効果1］水纏20 ［効果2］－ ［効果3］幸運15


よもちゃん(1308) により ItemNo.2 骨砕きの赫腕 に ItemNo.21 すごい木材 を付加してもらいました！
　⇒ 骨砕きの赫腕／武器：強さ192／［効果1］攻撃25 ［効果2］攻撃20 ［効果3］－【射程1】

リミュ(411) とカードを交換しました！

気功渦 （チャクラグラント）


パーシステンス を研究しました！（深度0⇒1）
パーシステンス を研究しました！（深度1⇒2）
パーシステンス を研究しました！（深度2⇒3）

ティンダー を習得！
ストーンブラスト を習得！
カームフレア を習得！
レッドアゲート を習得！
サンダーボルト を習得！
ダークフレア を習得！
リフレッシュ を習得！
アマゾナイト を習得！
フラワーバド を習得！
ファイアボルト を習得！
ブルーム を習得！
カタラクト を習得！
環境変調特性 を習得！
ワンオンキル を習得！
オートヒール を習得！
コロージョン を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

ナックラヴィー(502) は 蒼小石 を入手！
タウラシアス(173) は 蒼小石 を入手！
ナックラヴィー(502) は ぬめぬめ を入手！
タウラシアス(173) は ぬめぬめ を入手！

タウラシアス(173) に移動を委ねました。

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - タウラシアス(173) の選択は チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》

MISSION!!
ヒノデ区 M-11：チェックポイント《大通り》 を選択！
　　 - タウラシアス(173) の選択は ヒノデ区 M-11：チェックポイント《大通り》

［843 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［396 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［440 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［138 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［272 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［125 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［125 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［24 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　






　





　





ロストのふたりがチャットに入り込んできた。

　

　

　





　





　







軽蔑の眼差しを向けるエディアン。

　








ミヨチンを制止する。





　







フレディオの胸倉をつかみ強く睨みつける！

　

　

　




　

　

　　　――ザザッ

　

　

　

　

チャットが閉じられる――

チェックポイント。

仄かな光に包まれた六角形の柱が立っている。

　

･･･柱から滲み出るように、何かが生み出される。



　




それは言葉を発すると共に襲いかかる！