――――記憶が、混ざる。
思ったより、理性的に話ができている気がする。
理性的に話ができている、というだけかもしれないけれど。
もう、イバラシティで何が起ころうとも、どうせハザマでの出来事が終われば、全てが無に帰るのだ。
だから、何があっても、関係ない。そういう考えだ。
すぐに沸騰するような感情の部分が整理できれば、後は義務感と、情と、好奇心だけが残る。
騒いで、喚いて、落ち着いて、考えて、後悔する――――、今まで、何度も繰り返して来たことだ。
目的は1つだ。侵略を阻止すること。家を、家族を、"数少ない本来の友人"を守るために。だけど。
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舞華 「向こうに付くような人もいる。どうせ、勝って終わっても、皆いない――――。」 |
残った好奇心から行き着く思考は、そんな事を考えてしまう
もし相手が元々イバラシティの住人だったら。……もし相手が、知り合いか、友達だったなら、残った情と好奇心が沸き立つだろう。
どうして侵略者側に付いたのか。それを聞いてみたいとは思っている。
……どうせ回答は、決まっているのだろうけれど。
また、拠点へと戻ってきた。
同じタイミングで拠点に戻ってくる人や、そもそも拠点から出ようとしない人。様々ではあるものの、ここにいるということは、街の防衛側だと言うことだ。
久しぶりに息を付いて安心する。こちらで過ごす時間としてはわずかだが、休息時間があるというだけで、随分心持ちが違う気がする。
そしてふと、「前」の事を思い出す。
前の自分は異能なんて持っていなかったから、火薬と、単発銃だけを武器としていた。
だけどそれは、異能以上に確実で、人はそれで撃てば死ぬし、大型の怪物だって、倒すことができる、暴力の塊だった。
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翔華 「……銃、なんて多分手に入らないし、手に入ったとしても扱えるか分かんないしなあ。」 |
もちろん、今までに作ってもらった武器がある。だけど、それは異能を強化するタイプのものだ。だから、異能が届かなかったり、そもそも炎熱に耐性を持っていると、通用しない可能性がある。
多少の濡れや、石ならば蒸発させ、赤熱させられる自信はある。だけど、氷の塊となれば、どうだろう。出会ってないので分からないけれど。
だから、1つ。人が多いこの場所で、頼み込んで、新しい装備を作ってもらった。
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翔華 「うん、良いかもしれない。」 |
それは、一見タダの棒だった。その実も、タダの棒だ。
だけど、これには熱を込めることができる。端を持って、もう片方の端を異能で熱すれば、破壊力と熱の力を同時に相手に叩き込むことができる武器になる。
物騒だ。だけど、物騒な武器が、必要だ。
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翔華 「……相手に火傷、作っちゃうな。」 |
殺し、殺されの間柄だ。だけど、自分と同じような傷を相手に自らがつけるという事に、抵抗が無いといえば、嘘になる。
だけど。
そう、だけど。
この暴力装置を、どこか心の奥で、待ち望んでいた自分がいるのも事実だ。
この暴力性が、「前」か、「昔」の自分から来るものか、「今」の自分から来る物かは分からないけれど。
己の内の暴力性が、少しずつ鞘から解き放たれていくのを感じる。
ただ、今この環境においては、それをぶつける相手がいる。それはある意味で、こちらの環境が合っている、ということなのかもしれない。

[816 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[370 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[367 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[104 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[147 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
チャット画面にふたりの姿が映る。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
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白南海 「・・・怖いだろうがよ。」 |
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エディアン 「・・・勘弁してくれませんか。」 |
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白南海 「ナレハテってあの!アレだろォッ!!?ドッロドロしてんじゃねーっすか!! なんすかあれキッモいのッ!!うげぇぇぇぇうげえええぇぇぇ!!!!!!」 |
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エディアン 「私だって嫌ですよあんなの・・・・・ ・・・え、案内役って影響力どういう扱いに・・・??私達は関係ないですよね・・・????」 |
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白南海 「あんたアンジニティならそーゆーの平気じゃねーんすか? 何かアンジニティってそういう、変な、キモいの多いんじゃ?」 |
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エディアン 「こんな麗しき乙女を前に、ド偏見を撒き散らさないでくれます? 貴方こそ、アレな業界の人間なら似たようなの見慣れてるでしょうに。」 |
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白南海 「あいにくウチはキレイなお仕事しかしてないもんで。えぇ、本当にキレイなもんで。」 |
ドライバーさんから伝えられた内容に動揺している様子のふたり。
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白南海 「・・・っつーか、あれ本当にドライバーのオヤジっすか?何か雰囲気違くねぇ・・・??」 |
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エディアン 「まぁ別の何か、でしょうね。 雰囲気も言ってることも別人みたいでしたし。普通に、スワップ発動者さん?・・・うーん。」 |
ザザッ――
チャットに雑音が混じる・・・
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エディアン 「・・・・・?なんでしょう、何か変な雑音が。」 |
ザザッ――
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白南海 「ただの故障じゃねーっすか。」 |
ザザッ――
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声 「――・・・レーション、ヒノデコーポレーション。 襲撃に・・・・・・・・いる・・・ 大量・・・・・こ・・・・・・死体・・・・・・ゾ・・・・・・」 |
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声 「・・・・・ゾンビだッ!!!!助け――」 |
ザザッ――
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・・」 |
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白南海 「ホラーはぁぁ――ッ!!!!
やぁぁめろォォ―――ッ!!!!」 |
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エディアン 「勘弁してください勘弁してくださいマジ勘弁してください。 ホラーはプレイしないんですコメ付き実況でしか見れないんですやめてください。」 |
チャットが閉じられる――