
イバラシティに着いてから、私はあてもなく暮らしてきた。
定住する気も起きず、ホテルを転々として、道中に悪人がいれば制裁を加えて去っていく。そんな生活を意味もなくしてきた。
何度か死のうかと思った事もある。でも、それはご主人様の意に反する行為だと認識して、それだけは避けていた。
私が生きている意味なんてなかった。
私が生きる理由なんてなかった。
ただ、“死ぬ事は出来ない”から、意味もなく生きていた。
お金はある。
住民票も、義母様達の手回しで用意されていた。
恵まれているのだろう、私は。
そう理解する事は出来ても、だからと言って何かができるわけではなかった。
この場所で私が出来ることは何だろう。
この場所で私がすべきことは何だろう。
私が手に入れることができなかった物とは一体何なのだろう。
空っぽの私に何を手に入れることができるのだろう。
そんな事を考えて過ごしていると、ある日突然電話がかかってきた。見覚えのない電話番号。誰とも番号を交換した覚えはないし、誰ともそんな関係になったことはなかったのに。
少し考えて、私は電話に出た。電話の相手は、義母様だった。
『久しぶり、サニー。どうかしら、イバラシティでの暮らしは』
「……久し振りです、義母様。……どう、と言われましても……私には、何も。私が生きてきた世界に比べれば、とても平和だな……と思う位です」
『そう。……ねえ、やっぱり”命令されなければ“何も出来ない?』
「……」
その言葉に、私は否定することができなかった。
私は何をしたくて、何をするのか。自分でもよく分かっていなかった。ただ、自分がしてきた生き方を、ご主人様のいない今でも習慣のように続けようとしていた、くらいの意思でしかない。そしてそれも、積極的に、ではなく通りがかりで偶然に起きた場合のみしているだけで、例えば警官になろうだとか、国の防衛機構に加わるとか、そう言った意思はないと言ってよかった。
結局私は、トラウマを避けて通る以外の行動理念は何もなくて。他人に頼まれなければ行動を起こせない人間だった。
いや、人間かどうかも怪しい。言われたことだけやる機械だとか、指示を待ち続ける犬とか。そっちの方が近いかもしれない。
『そうね、じゃあ……そんな貴方のために指示を出してあげる』
「……はい」
『普通に生きなさい。今までの暮らしも全部過去の事にして、この街で暮らす”普通“になりなさい』
「普通……ですか」
『そう。何が”普通“なのかは……自分で考えて、自分で見つけなさい』
そう言われて、「もし定住地すら決めていないのだったら、それも指示してあげる」と住む場所も示されて。
私は答えを見つけられないまま、その命令を飲み込んだ。

[816 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[370 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[367 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[104 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[147 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
チャット画面にふたりの姿が映る。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
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白南海 「・・・怖いだろうがよ。」 |
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エディアン 「・・・勘弁してくれませんか。」 |
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白南海 「ナレハテってあの!アレだろォッ!!?ドッロドロしてんじゃねーっすか!! なんすかあれキッモいのッ!!うげぇぇぇぇうげえええぇぇぇ!!!!!!」 |
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エディアン 「私だって嫌ですよあんなの・・・・・ ・・・え、案内役って影響力どういう扱いに・・・??私達は関係ないですよね・・・????」 |
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白南海 「あんたアンジニティならそーゆーの平気じゃねーんすか? 何かアンジニティってそういう、変な、キモいの多いんじゃ?」 |
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エディアン 「こんな麗しき乙女を前に、ド偏見を撒き散らさないでくれます? 貴方こそ、アレな業界の人間なら似たようなの見慣れてるでしょうに。」 |
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白南海 「あいにくウチはキレイなお仕事しかしてないもんで。えぇ、本当にキレイなもんで。」 |
ドライバーさんから伝えられた内容に動揺している様子のふたり。
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白南海 「・・・っつーか、あれ本当にドライバーのオヤジっすか?何か雰囲気違くねぇ・・・??」 |
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エディアン 「まぁ別の何か、でしょうね。 雰囲気も言ってることも別人みたいでしたし。普通に、スワップ発動者さん?・・・うーん。」 |
ザザッ――
チャットに雑音が混じる・・・
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エディアン 「・・・・・?なんでしょう、何か変な雑音が。」 |
ザザッ――
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白南海 「ただの故障じゃねーっすか。」 |
ザザッ――
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声 「――・・・レーション、ヒノデコーポレーション。 襲撃に・・・・・・・・いる・・・ 大量・・・・・こ・・・・・・死体・・・・・・ゾ・・・・・・」 |
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声 「・・・・・ゾンビだッ!!!!助け――」 |
ザザッ――
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・・」 |
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白南海 「ホラーはぁぁ――ッ!!!!
やぁぁめろォォ―――ッ!!!!」 |
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エディアン 「勘弁してください勘弁してくださいマジ勘弁してください。 ホラーはプレイしないんですコメ付き実況でしか見れないんですやめてください。」 |
チャットが閉じられる――