うるさい ぐちゃぐちゃにかき回される
うるさい
かき乱される うるさい
無数の声が響き渡る うるさい
心に響き渡る
うるさい うるさい うるさい うるさい うるさい ―― !!!!
そうだ声は こんなにも うるさいものだ
酷い頭痛がした。けれど、それだけだった。疲労感と、頭痛と、それから途中で倒れたその程度で済んだ。常夜さんのおかげでこの程度で済んだのかもしれない。なずみのおかげでその後も殆ど困ることはなかった。
静寂の世界は、居心地が良すぎたのだと改めて実感する。聞こえなければ、心を乱されることもない。聞きたくもない心の声を聞かなくてもいい。聞くだけならまだしも、声に込められた感情は『自分に無条件で同調する』から扱いに困る。
―― 後悔しているか?この力を手にしたことを
―― 否 このくらいしなければ、人の心に歌を届けられない
人の心を語る以上、人の心を理解しなくては。
同情なんて生ぬるい。同調し、同じにならなくては。
「分かるよ」なんて、軽々しく言えないから。
だからこれからも声を聞き、語り、そして繋ぎ止める。
それが、ボクができることだから。
さあ、今日も記録を書こう。
親友を探すために。親友を止めるために。
全てを終わらせるために。
忘れてはいけない。そのために、今、ここにいる。
―― 2020.5.20
■検体Cの推測 狗神面の推測
検体Cは強い憎悪を抱くと性質が陽から陰へと変化する。例えば神が疫病神へと堕ちる、神としての二面性を表している。
これは恐らく、狗神の面が出ているものだと考えられる。狗神から神へと昇華したのならば、その逆を考えれば容易に想像できる。雪の手により検体Cの血肉からどちらの霊力も保有できた。最も、どちらも『振り切れた』力ではないため、本来の力の3割程度しか血肉には宿っていない。
■検体Cの身体の違和感
雪曰く、小型犬の身体は不具合が生じているらしい。
これに関しては完全に推測になるが、神を身に宿しているが故の再生能力のため、その再生能力がそもそも歪なのではないか。神は身が傷つけど霊体であるため、再生が可能である。しかし彼女の場合はあくまで人間である。故に歪な再生を繰り返し、身体に異常をきたしているのではないだろうか。
この点には、自分も違和感を感じるものがある。痛覚が、働いているのかどうか。刺された際に呻き声を上げていたので痛覚はあるのだろうが、本来は激痛が走るもの。あそこまで、平然とできるものだろうか。
これに関しては、自分で調べることができる。次に会ったときに詳しく調べることにする。
―― 『とある海巫女の手帳』より
著 ツワォツ・エトパァイエ
「……………」
『そっか、それなら……うん、大丈夫、だけどね。 本当につらくなったら……手伝う、から、ね?』
『あなたを守る。あなたを死なせる気はないから。』
『……いや、分かります。分かりますよ。鳴海さんがそんな事しない人だって。』
「…………ごめんね。」
―― 重荷が、増えてゆく
―― 全てを裏切っても、やらなくてはいけないことがある
―― たとえそれが、何人もの想いを裏切ることになっても
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ちわわ 「ここの土はあんまり美味しくない。」 |
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おいなり 「ここの土もあまり美味しくありません。」 |
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いたち 「……いや、何でそもそも土を食べてるの……?」 |
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ちわわ 「何を言うか。土はその土地がどんだけ肥えてっかを調べる万能アイテムなんだぞ。 喰ううだけであら不思議!その土地が豊かかどうかを調べることができるんだぜ!」 |
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おいなり 「なんといいますか、職業病と言いますか……天照大神様のお力が行き届いていないと思いますと心が痛くなりますね。やはりこんな禍々しい世界は神すらも見捨てたということなのでございましょうか。」 |
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いたち 「話聞いてた?ここイバラシティの人たちとアンジニティの人たちが殴り合うためだけに作られた会場だって。神様もへったくれも、汚いエゴによる創造みたいなものじゃない。」 |
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いたち 「……そもそも。」 |
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いたち 「食べなくても……地中の霊力の保有量で、分かるよね……」 |
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ちわわ 「おっとそれは言わねぇって話だぜ。」 |
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おいなり 「男は心で勝負なんですよ。ですから、わたくしたちは、」 |
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ちわわ 「土を、喰うしかねぇ!!」 |
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いたち 「私を含めないでくれる?私土を食べる趣味なんてないから。」 |
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ちわわ 「しゃーねぇ、あたし達がこんな食生活なのも全部イバラシティの奴らが悪いんだ。」 |
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おいなり 「絶対に許しませんよイバラシティ。その命に神の裁きが訪れることを覚悟していなさい。」 |
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いたち 「ねえ。なんでアンジニティ側じゃないの?」 |
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ちわわ 「花梨のために侵略を阻止してっから。」 |

[787 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[347 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[301 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[75 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
ザザッ――
画面の情報が揺らぎ消えたかと思うと突然チャットが開かれ、
時計台の前にいるドライバーさんが映し出された。
ドライバーさん
次元タクシーの運転手。
イメージされる「タクシー運転手」を合わせて整えたような容姿。初老くらいに見える。
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ドライバーさん 「・・・こんにちは皆さん。ハザマでの暮らしは充実していますか?」 |
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ドライバーさん 「私も今回の試合には大変愉しませていただいております。 こうして様子を見に来るくらいに・・・ですね。ありがとうございます。」 |
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ドライバーさん 「さて、皆さんに今後についてお伝えすることがございまして。 あとで驚かれてもと思い、参りました。」 |
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ドライバーさん 「まず、影響力の低い方々に向けて。 影響力が低い状態が続きますと、皆さんの形状に徐々に変化が現れます。」 |
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ドライバーさん 「ナレハテ――最初に皆さんが戦った相手ですね。 多くは最終的にはあのように、または別の形に変化する者もいるでしょう。」 |
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ドライバーさん 「そして試合に関しまして。 ある条件を満たすことで、決闘を避ける手段が一斉に失われます。避けている皆さんは、ご注意を。」 |
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ドライバーさん 「手短に、用件だけで申し訳ありませんが。皆さんに幸あらんことを――」 |
チャットが閉じられる――