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"この世界"に来るのも5回以上。状況には大分慣れた。

安否確認の連絡もほとんどの方から返信を頂き、
皆無事であることを確認出来てひとまずは安心だ。




安心、なのだけれど。






返ってきたチャットは、パターンが分かれていた。





皆無事であることは変わりない。

変わりないのだが、その中で「いつも通りである者」と、
「いつも通りでない者」がいたのだ。


その「いつも通りでない者」の中に
自らアンジニティと名乗ったのが2名。





2名、どちらも、クラスメイトだ。





仲良くしてくれたクラスメイトが敵だったなんて。
自分のこんな近くに敵がいたなんて。

教室で共に楽しく過ごしたあの日々は嘘だったのだろうか。
裏切られたというのか。





残りの何か雰囲気に違和感のある方々も
もしかしたらアンジニティかもしれない。





何人か返信で言われた。
「信用できる人と一緒に」と。










ここまで来たらどれが本当で
どれが嘘なのかわからなくなってきた。




「いつも通り」の見た目だからといって、
実はなんてこともあるかもしれない。




嘘を吐いているかもしれない。






今までと同じじゃないか。



仲間のフリしておいて、裏切られる。



何も信じられない。





何を信じたらいいのだろう。

信じきれないのが怖い。

信じてあげられないのが苦しい。

疑う事しかできないのが辛い。

勝てない。

守れない。

守り方がわからない。

守りたい人が敵だったら。

その人を守ることで他の人がいなくなってしまったら。

どうしたらいいんだろう。

何が最善なんだろう。

わからない。

伝えられる言葉に言い返す言葉が浮かばなくなる。

闘いたくない。

闘わなきゃ。

闘いたくない。

闘わなきゃ。

ぼくにできることを。

ぼくにできること？

ぼくはどうしたらいい？

誰の味方をすればいい？






ぼくは






ぼくは、どうすれば。















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▲	瑠奈 「ああ、知らないんだね……無理もない」 これも想定していた返答だ。 自分だってそう思っていたかもしれない。 「イバラシティに送られた私達アンジニティの住人は、 　アンジニティ住人としての記憶は何も持っていないんだ。 　どっちの陣営につくかに関わらず、 　自分が歪んだ存在であることも、この"侵略"の真偽さえも。 　……理由は知らない。私が知りたいぐらいだよ」

	瑠奈 「信じてもらえないなら、もう、仕方ないけど……でも。 　何を言われようと、私はあの街を、みんなを守るから」

▲	シェリル 「……いえ、あなたは十分にわたくしの問いたかったことに答えてくださってますよ？」 ですからその点は大丈夫、と加え。 「しかし……両者とも守るというのは、もちろん大変なことです。 　単純に守るものが増えるということもそうですし、今あなたが仰ったような悩ましい問題も発生しかねません」

	シェリル 「それに対する先生の答えを──あくまで一意見に過ぎませんが、お伝えしましょう。 　──闘う以外に変えられないのであれば、闘ってしまえばよいのです」 これは、ばっさりとそう言い切った。 「闘いたくないという気持ちは分かります。闘いの過程や結果で、 　思い出や過ごした街を壊してしまうことになるかもしれないというのも、仰る通りです」

	シェリル 「しかしながら、闘ってみてはじめて分かることや見いだせることもまた、あるはずです。 　闘う前からそれを諦めてしまうというのは、少々勿体ないのではないでしょうか？」 「大切な繋がりや思い出、そして過ごした街というのは、実のところ案外頑丈だったりするのです。 　安居院さんの築いたそれらの要素は……ちょっとした闘いのみで崩れ去ることはないと、先生は思いますよ？」

	シェリル 「まあ、もちろん闘わないで済む選択肢というのも、わたくし達が気づいていないのみで案外転がっていたりはするのかもしれないですけれど、現状において闘うという選択肢しか残されていないのであれば、いっそのことそれを選んでしまう踏ん切りというのも、先生は重要であると思います」 ましてや、戦争という瞬時の判断が未来を変える場においては──と、付け加えた。 「……どうでしょう？わたくしの意見に対するお考え、ございますか？」

▲	「知ってる―♪」 意地悪と言われれば、そりゃそうだと笑う。 そんなことは百も承知で、意地悪しているのだ。故意であるのがよくわかる。 「んー？　アタシは別に何も変わらないかな。アンジニティっていうのが話がわかるなら、お話でお茶濁し。そうじゃないなら、戦って殺すだけ」 さらりと、そも最初からそうであったように。 「アタシはそう決めてる。自己中心的に――キミも、そうしたら？　そんな変なこと頭回してないで、ワガママ、口にしたら良いと思うよ」 だってそも、ここはそういう場所だと言いたげだった

▲	桜子 「あんまむずかしい事考えん方が良かよ。 　誰もかしこも事情はあるけんね。 　ボクらが騙されとったとしてもさ……」

	桜子 「結局んところ、ルールは一個だけ。 　今ここで、敵か、味方か。そんだけよ。 　シンプルに考えれば良かとよ 　あっちん事は一旦忘れてさ」

	桜子 「なに、ねるちゃんには困った時の相棒、桜子ちゃんがついとーけん 　相談窓口はこちらってね！どう？頼りになるやろ～」

▲	あの子の記憶─── 群条エナの記憶でみ"安居院ねる"とはまるで違う気配。 ゆっくりと、言葉を選ぶ……。

	『……彼女は、今は訳あって会話することは難しい。 　けれど、確かに私の傍らに──エナさんは居りますよ』 『私は本来、貴方達《協奏の世界》に対しての 　侵略者……アンジニティです。 　ですが今は、貴方達と共に戦う者であると……約束致しましょう』

▲	「…」 沈黙。 できない、と口にしようとしたが。 何も知らないならそれでもいい、彼女が傷つくことがないならば、そのほうがいいのかもしれない。 「…う　ん」 きっと果たされることはないだろうと、自分でもそう思いながらも肯定をする。 …大嘘つきだ、罪悪感が圧し掛かる。 「…どう　か　きを　つけ　て この　ば　しょ　は　あぶ　な　い　から」

▲	「僕は向こうには何の干渉もできない。彼女は自分が何者かなんて疑問さえ抱かずに、雪国からの留学生として過ごしてる。そういう意味では間違いなく『本物』だよ。イバラシティに紛れ込む為に捏造された身の上ではあるが……過酷な戦いに生きた彼女にとって、初めての平穏な時間のはずだ。そういう、当たり前な日常を、彼女は許されなかったから」 「僕が知ってるカルセドニアは、気高く美しく……そして苛烈な英雄だった。僕を滅ぼし、仲間を救うために、自分の身も心も何もかも全てを擲つ程に。だから、もし彼女であれば……友達の為に戦う道を選ぶんじゃないかな。君も、そう思わない？」

	「僕の願いは……英雄として死を迎えた彼女が、その後の世界でどんな風に伝えられたか知ることだ。僕の中に溶けて、もう何処にもいない彼女の為に、僕ができる弔いなんて……他に何もないからね」 「その為に僕はアンジニティを脱出し、故郷の世界に帰りたい。たとえ正体不明の侵略者の手先として……君たちを地獄へ落とす結果になろうとも」

▲	緋墨 「そうか、……本当によかった……。 ……ちょっとでも疲れがあるなら無理するなよ、少しの疲れが後々響いてくることもある」 ほうっと安心したように息を深く吐き出した。 怪我もなさそうで本当によかった。 緋墨 「そう、か……？ けど、あー……1人だと考え込みすぎることもあるから……繰り返すようになるが、無理するなよ？」 フードごしに頭をかいて、少し考えてから紡がれた声は心配そうなものだった。 自分が心配しすぎなだけのような気もするけれど。 緋墨 「そっちこそ、どうか無事でいてくれ。 ……俺も、何かできることがあれば協力するから、気軽に声をかけてほしい」

▲	ミロスラヴァ 「うん……必ず、また」

	ミロスラヴァ 「…無事でいてね」

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1人の声だけが響いています。

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