鳴海っていう友達がいた。
そいつは昔の俺と同じ無能力者だった。
身体が弱くて、大人しくて、いつもおどおどしているような奴だった。
だから俺が守ってやらなきゃって思った。
そうすれば、鳴海も少しは気が楽になるから。
同じ無能力者なら、一緒に助け合っていけば、きっと大丈夫だと思っていた。
だけど、俺は鳴海を助けられなかった。
俺は鳴海の気持ちに気づけてなかった。
生きてりゃきっと、なんとかなると思っていた。
俺が一緒にいてやれば、鳴海が安心すると思っていた。
初めて友達ができたと思ったのに。
俺はそいつを守ってやれなかった。
俺は誰かを助けられる力が欲しかった。
でもこんな異能力を得て、また独りになってしまった。
そいつを守るという約束をしといて、何もできなかった。

だから、俺は変わりたい。
もう、誰かを傷つけたりしたくない。

獅童という同級生がいた。
あいつは俺と同じ無能力者のはずだった。
身体が丈夫で、気が強くて、いつも周りを威嚇しているような奴だった。
だから俺を守ろうとしていた。
そうすれば、獅童の気が楽になるから。
同じ無能力者のくせに、俺を助けることで、自分は大丈夫だと安心していた。
だから、獅童が俺のことを助けられるわけがなかった。
俺は獅童とはわかりあえないとわかった。
このまま生きていても、どうにもならないと知っていた。
獅童と一緒にいると、自分が惨めで仕方がなかった。
初めて対等な立場の人間を見つけたと思ったのに。
あいつは俺を守ってやるなんて抜かした。
俺は誰の助けも欲しくなかった。
同情されるくらいなら、独りのほうがマシだった。
あいつは俺の邪魔をしておいて、何でもないように過ごしてる。

でも、俺は変わる。
もう、誰かに傷けられてばかりじゃない。

▲	『あなたは、どうしてこっちがわに？』 仮初の大地に、貴方の鋭い爪が食い込んでいくのをじっと見ている。 「……ま、そりゃそうだよね～。」 しゃがんでいる膝のうえで腕を組み、貴方を笑顔で見上げる。その顔は紛れもなく、よく見る隣人のものだ。

	「んっと……理由はいっぱいあるけど、大きく分けると3つかな。 　ひとつ、アンジニティから出たいけど、関係のない人を大勢巻き込んでまでじゃないから。 　ふたつ、人に言われたとおりに動くのがイヤな性格だから。 　みっつ、アンジニティに送りたくない人がいるから」

	「かずくんとも仲良くなっちゃたしね。 　もちろん、こっち側につくって決めた時は、友達じゃなかったけど…… 　誰かを犠牲にして自分が別世界で自由を謳歌するって、できないんだわ～あたし。 　多分、毎日毎日後悔して、ヘコんで、しんどいと思う。この先何百年もだよ。 　だったら、誰も覚えてなくてもいいから、こっちについてさ。 　悔いのないようにしようって思ったの。 　あとマジで命令されるのイヤだし。 　まぁ100年くらいの寿命だったら、向こうについてたかもしんないけど～」 片手をひらひらさせて、アハハ、と笑い飛ばした。 「あと……アンジニティに送りたくない人、っていうのは。 　かずくんも勿論そうだけど。 　もともとイバラシティの住人でもなんでもない人のことなんだ。 　あたしのせいで"コレ"に巻き込んじゃって……」

	「ま、そんなかんじ。別に信用しなくてもいいよ、慣れてるから」 ちょっと困ったように笑いながら、ね、というように首を傾けた。

	「まっ、暗～い話や重～い話はおいといてぇ！レッツモフモフタイム！！！」 尻餅をつき、しっぽをぴん！と立てたままに目を閉じて身構える貴方に近づく。 その気配は貴方の前まで近づいてきた。 かとおもうと、あなたの背後に周り、背中にそっと何かがふれた。 「うわ～。もふもふだ……」 後ろに回り込んで膝をつき、あなたの背中に両手と頬をそっと埋めた。 もちろん、尻尾を踏まないように。 その太い体に周りきるかわからないが、手と思しき感覚がそっと抱きしめるように伸びた。

	「ごめんね、ありがと」 あなたが年頃の男で。 自分も向こうではそれなりの年齢で。 もしかしたら彼に好きな人でもいるかもしれなくて。 もちろん爪も牙もあるから、というのもあるけれど、 自分なりに計らって後ろにまわったつもりだ。 背中をとられるのは嫌だったかもしれないが、 大体の動物は、腹よりも背中を撫でたほうがよろこぶだろうと思って。 なお、気を使ってモフモフしないという選択肢はない。 それに――誰かに少し、触れたかった。 VR空間とのことだが、毛の肌触り、温かさ、呼吸のリズムが伝わってくる。 少しだけ、自分が落ち着く。 「ねえ、向こうでも――イバラでも、こうゆうふうになれるの？」

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ハザマに生きるもの オオヤマアラシ インテリモンキー ハニワ 歩行小岩

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415

232

決闘不成立！

対戦相手が見つけられなかった！

不戦勝扱いになります。

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TeamNo.202 ENo.202 黒須ミカ ENo.351 黒川逢佳 ENo.610 ユズル ENo.1248 リト

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