……………システム起動中……………
システム起動完了。
ACT―EG ツクシ 応答出来るか
繰り返す ACT―EG ツクシ 応答出来るならば応答せよ
応答せよ ツクシ 応答無しなら――――――――――
永い夢を見ていた。
それは平穏な一日を過ごしている自分を空から見守る夢。
本当にそれが夢だったかは煩い通信機のせいで思い返す事も出来ないが自分の置かれている状況と比べればそれはとても幸せだろう。
夢の中の私は『尽』と書いて『ジン』と名乗っていた。
このクソッタレな世界にいる私も『尽』と書いて『ツクシ』と呼ばれている。
どちらも手先が器用で、簡単なものならその場で治せる技術を持っていて。
違う事はそこに自分の意志が在るか無いで、私には見守っていながら無いと思った。
現にこのハザマという世界に命令があって来ている―――――彼らの言う、アンジニティという世界からの来訪者として。
しかし私はこの永い夢を永い期間見ていて思った。
夢の中の自分の幸せを奪って良いのか、と
それを夢の中で考えてからはもう『ジン』を放って置くことが出来なかった。
私はもうアンジニティとしてこの腕を振るう気にはなれなかった。
煩い通信機を壊す事なく機能停止させる。
工兵として動き続けている自分ならば簡単な事である。
この使えなくなった通信機は何れ活用出来るだろう。それまでは取っておく事にした
ACT―EG尽、なんて名前はない。
ツクシ。そう私はツクシだ。
消える定めにあろうともイバラシティに尽していこうと思う。
叶うならば再びどこかで幸せな夢を見る機会が欲しい。
今私がイバラシティ側として戦える燃料は夢、夢、夢。
ああ早く夢を見たい。自分を取り戻した兵士が、夢を見たい。
消える前も良い夢を見られるといいなぁ。