○月○日
きょうもびょういんにいった。
せんせいとおはなししてるあいだ、ちゃんとまててえらいねって、ほめてもらえた。
みうには『おにいちゃん』がいて、びょういんにいるんだって。
でも、みうはまだあえないんだって。いつあえるのかな。
みうの『おにいちゃん』は、どんな『おにいちゃん』なのかな。
△月△日
きょうもびょういん。
おとうさんもおかあさんも、『おにいちゃん』のことばかり。
たいへんなの、しってるよ。だからみう、いいこにしてる。
いいこにしてたら、みうのこと、みてくれるから。
『おにいちゃん』のびょうきがなくなったら、みてくれる?
『おにいちゃん』がいなくなったら、みてくれる?
でもいなくなったら、おとうさんとおかあさんはきっとかなしい。
△月○日
いしはもうひろっちゃだめだって、おかあさんとやくそくした。
おかあさんのことなかせちゃったから、みうはちゃんと、やくそくをまもるの。
てをつないでくれるじかんが、いつもよりいっぱいでうれしかった。
おへやをおひっこししたからって、『おにいちゃん』とあえるようになった。
『おにいちゃん』は、おへやのなかでずっとずっとねてた。
おとうさんとおかあさんは、せんせいのところ。
だから『おにいちゃん』に、わたしのないしょをおしえてあげた。
ほんとうは『おにいちゃん』がいらないって。とってもどきどきした。
△月×日
ごめんねって、おにいちゃんがいった。
いっぱいないた。
おにいちゃんはいつもよりまっしろで、ほそくてちっちゃくて。
みうはよわいものいじめをしてしまった。
ぎゅってむねがいたくて、いっぱいないた。
おにいちゃんはみうより、ずっとさみしいんだってわかった。
×月○日
きょうはおにいちゃんと、しょうらいのおはなしをした。
おいしゃさんはとってもあたまがいいから、おにいちゃんのびょうきはきっとなおるんだって。
だから、ひゃくねんたったらふたりでなにをしようかって、おはなしをした。
ゆうえんちにいって、うみにいって、きゃんぷして、おつきさまにもいって。
いきたいところをいっぱいいって、ふたりでいっしょにいこうねって、ゆびきりをした。
◎月○日
お兄ちゃんとの約束を守るために、お母さんとの約束を、破る事を決めた。
私にどれだけの事が出来るかはわからないけれど、出来るだけの事をしたかった。
試しに病気の完治をお願いしてみたところ、石が割れた。
兄の病の重さを思い知らされたような気がする。次は、別のお願い事をしてみる。