?? 「……それ以上進むと、貴方が"消える"」 |
ハイン 「君は……?」 |
?? 「自分で言うのも、酷く変な気分だけど…… ……神様、かな」 |
ハイン 「……ああ、そうか。 僕は……死んだのか」 |
女神 「そうだね。 ただ……あなたの場合は、その死に様が少しばかり問題でね。」 |
ハイン 「問題?」 |
女神 「あと、その生涯も。 具体的には……生前、あまりにも報われずに非業の死を遂げた者は、特例として蘇生を認められることがあるんだよ」 |
ハイン 「え……っ!?」 |
女神 「無条件に、とはいかないよ。 条件や制約、それに時流。色々な要素が関わるから…… 今だと、最近の流行……っていうのかな? 元の世界、及び近しい時空で蘇るのは、諦めてもらうしかないね」 |
女神 「今回は貴方からすれば遠い時空。 全く縁も縁も無い異世界へ、現状を維持しての転生って形になるんだけ、ど……」 |
ハイン 「え、えぇと?」 |
女神 「貴方、その耳……エルフ、だよね?」 |
ハイン 「そう、だけど……?」 |
女神 「え……? あれ、だって轢死って……」 |
ハイン 「……轢死、だったと思う」 |
女神 「…………」 |
女神 「……ハイン・シェルストレーム。 百十八歳、健康体、里での評価は落ちこぼれ。 筋骨隆々とした身体に憧れ、筋肉の付きづらいエルフでありながら弓の鍛錬を怠けて筋肉ばかり鍛えていた。勿論結果は伴ってない。 日課としてるミノタウロスの群れ観賞の際、発情期で気の立った彼らに跳ね飛ばされて呆気なく命を落とす」 |
ハイン 「……改めて並べられると、辛いなぁ」 |
女神 「ミノタウロス? トラックじゃなくて?」 |
ハイン 「……トラック?」 |
女神 「…………」 |
女神 「ああ、今のは別の世界での方言……みたいな? ミノタウロスのことを、トラックと、そう呼ぶ世界、がね」 |
ハイン 「……何故だろうな。 そのトラックとやらは分からないけど、君が嘘を言ってるのはすぐ分かった」 |
女神 「神は嘘をつきません。 そういう世界を作ります、作りました」 |
ハイン 「雑だな!?」 |
女神 「雑じゃない。神様はこうやって、ちょっとした手違いは力技で誤魔化すの。よろしい?」 |
ハイン 「て、手違い、って……僕は、手違いで死んだのか……」 |
女神 「いや、それはただの運命。 発情期を忘れてた貴方の自業自得」 |
ハイン 「…………」 |
女神 「ほんと、なんなの? ミノタウロスの群れに突っ込まれて轢死とか前代未聞だよ? 歴史上類を見ない轢死だよ?」 |
女神 「……今のは私の手違い」 |
ハイン 「だろうね」 |
女神 「と、ともかく! あなたは今からチート異世界転生をする。 それはもう確定事項だから、覆らないよ!」 |
ハイン 「あ、うん。もうそれでいいけど…… ま、まさか死んだ後までこう、碌な事にならないとは…… いや、そもそも死に様が禄でもないんだけど……」 |
女神 「……そう悲観することもないよ。 現状は最悪でも、転生した先……次の人生は、きっと謳歌できるはず」 |
ハイン 「……!?」 |
女神 「貴方がこれから転生するのは、"分割世界"と呼ばれる内の一つ。 私自身は知らない世界だけど……まあ、分割世界ならきっと根本は同じでしょう」 |
ハイン 「雑だ……」 |
女神 「雑じゃない。 彼の世界で暮らした人間は、少なくとも、私の世界から送り込まれた人は皆、何かを得た。 或いは英雄に、或いは長き道のりの果てに神へと至り、 8割の存在が、普通に生きていては辿り着けない未来を掴んだの」 |
ハイン 「なるほど、8割……」 |
女神 「あなたが、どのような生を過ごしたとしても、 そこで過ごす刹那の軌跡は、必ずあなたの宝物へと変わるはずよ」 |
ハイン 「2割は?」 |
女神 「…………」 |
ハイン 「あの、もう少し腹芸というか…… 都合の悪いことを聞かれたとすぐわかる反応は……不安が増す」 |
女神 「二割は……まあ、うん、色々…… 世界を生み出す神と成る予定が、立派な農婦になったり、とか……」 |
ハイン 「農婦」 |
女神 「だって……! まさか殆どの時間を農場で過ごすとか……思わないじゃない……!!」 |
ハイン 「僕に言われてもな……でも、少し安心はしたよ。 何も掴めなかったとしても、不幸になるわけではない、と……」 |
女神 「……ソウダネ」 |
ハイン 「……もっと、悪い状況も有り得る……と?」 |
女神 「…………」 |
ハイン 「質問を変えよう。 ……1番、最悪の事例を、頼む」 |
女神 「……げ、現状、最悪のケースは…… 過去に囚われてしまった、というのかな…… 結果として、未来へと進む意欲を根刮ぎ失った例が……」 |
ハイン 「なるほどよくわかった。 僕は恐らくそれを引く、転生は諦めよう、このまま普通に死ぬ」 |
女神 「…………」 |
女神 「……そろそろ、時間ね」 |
ハイン 「もう一度言うよ? 僕は普通に、このまま、死にたい」 |
女神 「大丈夫、あんなこと早々、いや万が一にも二度目はないから」 |
ハイン 「聞いてくれ、きっと僕はその万が一を引く。 いや本当に普通で……っ!?」 |
ハイン 「ちょっと!?」 |
女神 「これは、正真正銘の転生。 禁忌も期限もなく、何を成しても、神々はそれを受け入れる。 私が授けるのは無限の未来と自由。そして……ほんの少しだけの"チート"」 |
ハイン 「くっ、あくまで押し通す気か……!」 |
女神 「二度目の生……どう使うかは、貴方次第だよ。 精々、次は自業自得で死なないように」 |
ハイン 「いやだから、僕はそういう状況に弱いんだ。 絶対に碌な事をしない、断言できる!!」 |
女神 「……そんなに不安がるなら、そうだね。 女神として最後に一つアドバイス」 |
女神 「いいこと? ……知己と、模擬戦を行う際は短期決戦で。 間違っても溜めに溜めた必殺技とか撃たないように」 |
ハイン 「…………」 |
女神 「……これはあくまで女神としての助言であって、 傍で見ていた経験則とか、そういうのじゃないからね?」 |
ハイン 「いや、撃てと言われても撃たな――……」 |
ハイン 「っ、つつ……ぅ……ん?」 |
ハイン 「……懐かしい、な」 |
ハイン (……夢を、見た気がする。 ハザマへ飛ばされる前後は、寝ているようなものなのかな) |
ハイン 「(今は……この間の、続き。次の一時間、か。 あと一時間したら、イバラシティに戻って……ハザマの記憶は消える。 そしてまた、襲撃はいつ起こるんだってヤキモキする毎日に戻る)」 |
ハイン (なるほど……仕組みはわかった) |
――side [メタ] |
前回の日記ねー、最終版が文字数超過で弾かれて途中版だったんですよー! http://w-snow.sakura.ne.jp/ibara/nikki_01.html というわけで完全版なんですよねー! まさか初回からチキレ負けるとはねー!! |
――side [Hazama] |
ハイン 「…………」 |
――ナレハテと対峙し、タクシーに乗り込んだ所で意識が途切れた。 ハインは先のハザマを回想しながら、改めてハザマでの自分を、身体の動きを確かめようと手を握る。 |
特別、強さが増した自覚はなく。 彼が期待したよう、不思議な力が漲るようなことはない。 |
ハイン (……戦闘中も、思ったけど。 もしかして、戦闘に役立つようなチートは特に無い、とか……?) |
ハイン (いや、ベニーズのことを考えると『ちょっとした』所じゃないチートを受けてるけどさ……どちらかといえば、ここで役立つチートのほうが必要だった気がするな……) |
既に記憶の向こうへ追い遣られた転生直後。 女神の言葉を思い返そうと試みながら……一年近い月日にうろ覚えとなったそれの回想を諦め、小さく溜息。 |
ハイン (とりあえず、このよくわからない武器だと……色々辛いか) |
ハイン 「…………」 |
ハインは再認識した現状に、ひとまずは最低限の準備を、と。 手元にあったそれ――何が何だかよくわからない不思議な牙――を媒介に、【弓矢】を【具現化】する。 |
ハイン (……よかった。元々あった力は問題なく使える、と……) |
そうして、ごく当たり前のことを、ごく当たり前にこなしたかのよう弓を携えると、安堵した様子で溜息1つ。 |
――ハインの世界の話をしよう。 |
作製という手順を無視し、概念のみを操る一族がいた。 集落ごと滅んだとされる一族だが、僅かに生き残りが存在し、大陸各地へ散った彼らは、細々と各々の生を謳歌した。 |
ハインからすれば、神話の時代の物語。 同族と交わらぬ限り血と共に少しずつ薄れていく彼の能力も、本来なら消え去って然るべき年月が過ぎている。 |
今日では概念作製と呼ばれている、かつて人型作製師が駆使したそれ。 ――その、隔世遺伝。 |
【翠】に値する強度を持つ、純然たる血統能力。 該当異能における極地たる【銀】からすれば路肩の石程度のものに過ぎないが、それでも、彼の世界において最上位に位置する所謂異能。 |
本来なら、それを扱える段階で驚愕して然るべき異能であり、無論、その異能への知識が時を歴て薄れただとか、マイナーとかそういったわけでもない。 何故ハインがそれを知らないかと言えば…… |
何を隠そうこのハイン――生前はアホの子であった。 |
ハイン 「…………」 |
武器を手にし、ひとまずの安堵を得たハインは試しとばかりに掌を拡げ……その中心に小さなつむじ風を呼び起こす。 |
ハイン (魔術も、問題なく扱える、と……) |
――初級魔術の無詠唱行使。 彼は面倒だから省いているだけと思っているが、単一属性のみの行使ならまだしも、全属性の詠唱破棄など例え初級でも論外に過ぎる。 |
加えて、厳密に言えば彼のそれは魔術ですらない。 |
魔術という【概念】 それが産み出す【結果】 その2つを、一切の手順を省いての【作製】 【翠】の概念作製における特異性を最大限に活用した固有技術であり、だからこそ、行使できるのは彼自身が扱えると思い込める初級魔術のみに留まっている。 |
ハイン (この世界にも異能があるし、初級魔術だと……少々心許ないけど……) |
だが、もし彼に自信と、如何なる魔術も扱えるという思い込みさえあれば、より大規模な魔術の模倣を、無詠唱で行うことさえ容易なそれ。 |
それは、多少なりとも魔術に関する知見があれば気付いて然るべき異質さを孕み、ハインもまた、その知見を確かに宿しているはずなのだが…… |
何を隠そうこのハイン――アホの子である。 |
ハイン (……とりあえず、現状でも戦う手段には困らなそう、かな。 とはいえ戦うのも、あまり得意とは言えないし……やっぱり、分かりやすいチートが欲しいなあ) |
――ハインというエルフの話をしよう。 |
培った技能と生まれ持った異能。 それらにより、生前の彼は他に類を見ない存在へと化していた。 |
それを露呈させる機会こそ得なくとも、長命種たるエルフという身でそれらを宿した以上、運命が彼に死をもたらすのも謂わば必然と言えるほど。 ハインというエルフは、最早存在そのものが――所謂、チートと呼べる領域へと至っていた。 |
だが、異なる世界に来た以上、それらをチートだと認めてくれる人はもう居ない。 ハインは、自身にチートが授けられぬことに溜息を漏らしながら歩き出す。 自身の生涯がそれに彩られていたことは勿論―― |
ハイン (ないものねだりできる状況じゃないし、できることで何とかする他はない……か) |
――転生の際、授けられたソレがあることも知らぬまま。 |
それはさておき。 |
ハイン 「……ん?」 |
ハイン (いや、微かだけど……知らない能力が、芽生えているような……) |
ハイン (注意しないとわからないくらい微弱だけど、もしかしてこれが…… ハザマで戦う為のチート、とか……?) |
――具現LV を 20 UP!(LV0⇒20、-20CP) ――クリエイト:タライ を習得! |
ハイン 「……色々と試せるのは、単独行動の強みかもな」 |
リーヴェンデルテ 「ちょいちょいっと…うん?」 |
なゆた 「こんにちは! 若いのに店長さんをやってる凄い人だって聞いて、きっと大変だろうと思って特製ドリンクを作ってきました! アボカドにオクラとイモリとシソの葉とヒキガエ おっと、ふふ、これ以上は企業秘密でした!」 |
ノウレット 「おっくれまして―――ッ!!」 |
榊 「おやおや・・・、・・・おやおや。これはこれは。 ・・・いかにも面倒そうな。」 |
ノウレット 「はぁい!初めまして初めましてノウレットって言いまぁす!! ここCrossRoseの管・・・妖精ですよぉっ!!皆さんよろしくおねがいしまぁーっす!!」 |
榊 「ほほぉー・・・CrossRoseに管理者がいたんですか。これはこれは、いつもご苦労さまです。」 |
ノウレット 「はぁい!ありがとーございま―――っす!!」 |
榊 「・・・・・。先ほど次元タクシーのドライバーさんにもお会いしましたが、 貴方も彼らと同様、ハザマの機能の一部であり、中立ということですよね?」 |
ノウレット 「機能なんて言わないでください!妖精です!!妖精なんです!!」 |
榊 「・・・・・。妖精さんは中立なんですね?」 |
ノウレット 「はぁいモチロンです!私がどっちかに加勢したら圧勝ですよぉ!圧勝!!」 |
ノウレット 「――ぁ、そうだ。そういえば告知があって出演したんですよぉ!!」 |
榊 「告知・・・・・ですか?」 |
ノウレット 「はぁい!ここCrossRoseを舞台に、大大大大闘技大会をするのですっ!! 両陣営入り乱れてのハチャメチャトーナメントバトルですよぉ!!」 |
榊 「闘技大会・・・・・ハザマで常に戦っているのに、ですか?」 |
ノウレット 「はぁい!たまには娯楽もないと疲れちゃいますのでッ!!」 |
榊 「・・・・・常に戦っているのに闘技大会、ですか?」 |
ノウレット 「はぁい!!」 |
榊 「・・・・・」 |
ノウレット 「・・・え、なんかダメです?」 |
榊 「・・・いえいえ!個人的な意見はありますが、個人的な意見ですので。」 |
ノウレット 「あ!でもすぐじゃなくてですね!!まだ準備中なんです!! 賞品とかも考えなきゃいけませんしぃ!!」 |
ノウレット 「それでは!おったのしみにぃ――ッ!!!!」 |
榊 「・・・はぁい。」 |
No | アイテム名 | 種類 | 強さ | 効果等 |
1 | 不思議な武器 | 武器 | 10 | [効果1]- [効果2]- [効果3]-【射程1】 |
2 | 不思議な防具 | 防具 | 10 | [効果1]- [効果2]- [効果3]- |
3 | 不思議な装飾 | 装飾 | 10 | [効果1]- [効果2]- [効果3]- |
4 | 薄緑の短弓 | 武器 | 30 | [効果1]攻撃10 [効果2]- [効果3]-【射程2】 |
5 | Benny's社員証 | 装飾 | 30 | [効果1]幸運10 [効果2]- [効果3]- |
6 | 花びら | 素材 | 10 | [武器]地纏10(LV25)[防具]回復10(LV10)[装飾]祝福10(LV20) |
7 | ドロリ濃厚回復ドリンク(刺激臭) | 料理 | 33 | [効果1]治癒10 [効果2]活力10 [効果3]鎮痛10 |
8 | Benny's制服 | 防具 | 33 | [効果1]防御10 [効果2]- [効果3]- |
9 | 毛 | 素材 | 10 | [武器]束縛10(LV25)[防具]加速10(LV25)[装飾]敏捷10(LV10) |
名称 | LV | 説明 |
具現 | 23 | 創造/召喚 |
武器 | 23 | 武器作製に影響 |
被研究 | スキル名/元スキル | LV | EP | SP | 説明 |
ブレイク | 5 | 0 | 20 | 敵:攻撃 | |
ピンポイント | 6 | 0 | 20 | 敵:痛撃 | |
クイック | 5 | 0 | 20 | 敵2:攻撃 | |
ブラスト | 5 | 0 | 20 | 敵全:攻撃 | |
ヒール | 5 | 0 | 20 | 味傷:HP増 | |
クリエイト:タライ | 5 | 0 | 40 | 敵:攻撃&朦朧・混乱 |
被研究 | スキル名/元スキル | LV | EP | SP | 説明 |
攻撃 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:AT増 | |
防御 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:DF増 | |
器用 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:DX増 | |
敏捷 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:AG増 | |
回復 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:HL増 | |
活力 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:MHP増 | |
体力 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:MSP増 | |
治癒 | 5 | 5 | 0 | 【自分行動前】自:HP増 | |
鎮痛 | 5 | 5 | 0 | 【被攻撃命中後】自:HP増 | |
幸運 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:LK増 | |
召喚強化 | 5 | 2 | 0 | 【常時】異能『具現』のLVに応じて、自身の召喚するNPCが強化 |
[深度]スキル名 | [深度]スキル名 | [深度]スキル名 |
[ 3 ]エキサイト | [ 3 ]イレイザー |