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Diary | ||
前回の戦いで、召喚士がだいぶ無理をしたらしい。 召喚士への負担を減らすため、英霊の帰還や進軍の停止などが決まった。 私に使っていた幻素による強化も解くことになった。 ……本当は、師匠が凍結させられたと同時に消えるはずだった私。 今ここにいられるのは、私の存在を現世に留めてくれた、この「人間の魂」と ほかならぬ召喚士のおかげなんだよね。 今まで「使い魔」から一人前の「魔術師」になろうと頑張ってきたけど 私は結局、召喚士から幻素をもらい、その力で生き延びて、戦ってきた。 そういう意味では、ずっと「使い魔」のままだったんだよね。 召喚士の干渉をなくした今、私に施されていた生命力強化は消滅して、 普通の人たちと同じように、自分の生命力だけで現世にとどまることが 出来るようになった。 私は今度こそ、ただの「使い魔」から脱することができたんだ。 この依代の修復も済んだ頃だろうし、今度からちゃんとコンファインも 出来るだろうとのこと。 ……その代わり、強化の解除に伴って、 今まで強くなってきた魔力は全部霧散しちゃったけどね。 まぁ、読み解いた魔術は大体頭に残ってる。 すぐに取り戻して見せるさ! ついでに「最強のイメージ」を依代の欠片にするから言ってみろ、と 眼鏡かけた巫女ユミさんに詰め寄られたんで、 とりあえず「りっぱなまほうつかい」と答えておいた。 ……「師匠やサチ司書みたいな」とは、 さすがに恥ずかしくて言えなかったけどね。 メモ: ……みんなの見送りが済んだ。 さっきまでの喧騒が嘘のように、静かな夜。 芝生に大の字になりながら、眼を閉じる。 脳裏をよぎるのは、やっぱりみんなのことばかり。 元の世界に帰ったみんなは、向こうについたらまずなにをするんだろう。 家族とお喋りしたり、友達と騒いだりしてるのかな。 自分が今まで彼らと交わした言葉の数々を思い出しながら まだ見ぬ本当の彼らと、彼らの世界の光景を想像するのは とても楽しくて、面白くて……………… …………。 ……大丈夫、寂しくはない。 みんなのことは、しっかりこの魂に覚えさせておいたから。 まっくらな夜空。 風がそよぐ音だけが空気を震わす。 けれど私のまぶたのうらに映る景色はもっと明るくて、 耳の奥に聞こえる音は、もっともっと賑やかだった。 ……そこに、人の声が聞こえてきた。 自分に覚えさせた「彼らの声」じゃない、実在の、人の声。 カレイディアに残った、あの人の声だ。 私はてっきり、この世界に連れてこられた英雄たちは、 帰るチャンスが与えられれば、全員帰ってしまうものだとばかり 思っていたけど……実際はそうでもなかった。 元の世界に帰るのを見送ってカレイディアに残ることを選んだ人たちは 私が思っていた以上に多かった。 私が勝手に「帰ってしまうもの」だとばかり思い込んで、別れの挨拶をしたりして 恥ずかしい想いをしたりとかもしたけど…… けど今はただ、一緒にいられることが嬉しい。 起き上がって、声に応える。 召喚士が「お茶にでもしないか」と、ヒマな人を集めているらしい。 メイさんの作ったお菓子がたっぷりあるんだとか。 ……正直あんまり食べたいと思う代物ではなかったけど、 お腹もすいたし、行くことにする。 身体についた汚れもそのままに、あの人たちのもとに駆け出す。 戦いはまだ終わってはいないけど。 今はただ、ひとときの休息を。 元の世界に帰ったみんなとも、この世界に残ったみんなとも、世界の境界を越えて。 常闇のカレイディアで、明かりを探して一緒に戦った全ての人たちと、 分かち合えたらいいな、と思う。 |
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