白尾の一週間

「そうかしら？ 取り合えず褒め言葉として受け取っておくわね。

文書を出した理由…？ 刷り込みというより意趣返しみたいなものだったんだけど、趣味に合わなかったかしら…？」

「あなたも随分と変わっているわね。でも、そういったタイプのほうが、わたしとしては付き合い易いわ。

(示したマジシャンのタロットに自分自身が腑に落ちない表情を見せて)
たいした腕前ね、あなた。わたしにこのカードを引かせるだなんて…これはお返しをしないとね

(やっぱり一つとして色の合わない魔石を手に持ちながら)」

「こういった告白は初めてだわ。でも、ごめんなさい。
あなたをもふもふしたいとは思うけど、それは好意であって愛情とはまた違うものなの…。

(壮絶な勘違いをしながら、許されるならば、もふもふしようと近づいて)」

「……（状況把握中）……おぉ（理解）
いやいや、すまん。まとめて依頼に出してたものでな。
すっかりごっちゃになってしまっていた。いや、悪い」

「でも……あれだぞ。私は魔法とか、さっぱりだからな。
宝の持ち腐れも、ある意味で外れと言えないだろうか。
……駄目か？」

「まぁ、持ち物にあれこれと願をかけられて、
前よりも調子が上がってきたのは事実だ。
お前達の思いだか怨念だかが篭っているんだろうか」

「うむ。いい結果だけ貰って、悪い結果は用心の種としよう。
占いに振り回されすぎても本末転倒だしな。
よし、色々参考になった。では、またな。お前も励めよ」

「普通にしゃべる方が気楽なので助かります。人型でないと不便な事もあるのですね。でも、神通力で話せる方がすごいです。それにしても、見事なしっぽですね。」

「いえいえ、私はスイーツなんて作れません。あれは、輸送部隊にお願いして調達してきてもらったものです。ここの輸送部隊はなかなか優秀ですね。何を注文してもどこからか持ってきてくれます。」

「前回は鎧への付与、ありがとうございました。一番重要なアイテムに、一番欲しかった効果が付いて助かりました。これで、戦闘でももう少しお役に立てそうです。」

「アルカナ工房を調べている人に聞きました。白尾さんはアルカナ工房でトップの成功率のようですね。ほぼ100%の成功率だとか…。すごいですね。」

「次回から、アルカナ工房が変わるようですね。特殊効果を付与するのに加えて、アイテムを修理できるのは、かなり有効だと思います。今後、アルカナ工房のお客さんが増えそうです。白尾さんは成功率が高いので、人気が出そうですね。私にとっては、ライバルが増える事になるのですが…」

「しかし、残念ながらこの世界の限界が近いようです。やはり、人は常闇の中で長期間生活するのは難しいのですね。世界の限界が来る前に、この常闇を解決できると良いのですが。」