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少女が鞄から取り出した、小さな手帳。草染めだろうか、落ち着いた色目の布が張られたそれを開く。 流れるような、それでいて几帳面な文字が綴られている。文面を眺め、しばし思案。最後に書かれたページから更に一枚捲る。
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こちらに召喚されてからどれだけ経っただろう。 不便を感じる事は殆ど無いが、最大の違和感と言えば……これが自分の身体ではないということだろうか。幸い(元々の持ち主には悪いが)、なんら不都合は無いレベルで掌握出来ている。それなのに違和感というのも奇妙な話だが――自分の身体ではないのだから当然なのだろうか。 兎も角、現状からどうすることも思いつかないのだから、暫くはあの召喚士の言う通りにしているのも手なのだろう。 あの子たちはちゃんと目的地まで行けたろうか。普段が普段だけに、私が居なくともどうにかなっていると良いのだが……
***少女が鞄から取り出した、小さな手帳。草染めだろうか、落ち着いた色目の布が張られたそれを開く。 流れるような、それでいて几帳面な文字が綴られている。文面を眺め、しばし思案。最後に書かれたページか…
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