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〜Another of Chaos 本部-空家〜 誰もいないはずの空家から、かちゃかちゃと機械をいじるような金属音が聞こえる。時折混じる押し殺した笑い声が、常なる闇によって煽られた不気味さをさらに増幅させていた。 「……何をしているんですか」 ばたん、と乱暴に扉を開けたのは、水色髪のメイド――取引メイだった。その眠そうな半開きの瞳からは、彼女が何を考えているのかを読み取ることができない。 召喚士に付き従う彼女の名を知らぬ異邦人はおそらく存在しないだろう。こと輸送系に限るならば、ある意味召喚士をも凌ぐ神のような存在だ。英雄達の装備品の流通を、マーケットで一手に管理する手腕。戦闘には直接参加しないものの、身に付けた幾多の装備品は彼女が決して平坦な人生を歩んできたわけではないことを証明している。そして何より、装備者の運動能力を知らぬうちに鍛える特注カート(自爆機能付き)、さらに先日学院で召喚士達の前に立ちふさがった『幻創戦騎カレイデオン』も彼女が製造したという。メイドというにはかなりのオーバースペックである。 そんな彼女に惹かれる英雄も少なくはなかった。コンファインにより姿形を似せる者もいれば、うわごとのように彼女の名前を呼び続けるものもいる。室井もまた、その魅力にやられた一人だ。 「ああ、君がメイちゃんか。こうして直に話すのは初めてやなあ――おっと、申し遅れました。ボクの名前は長月 宗一、しがない技術屋や」 よれよれの白衣にらくだ色の腹巻きを巻いた中年の男が、首を後ろに倒してメイを見る。丸縁眼鏡の向こうには、年に似合わぬ人懐っこい笑みを浮かべていた。 「――いやいや、しかしこのカート、実際に見てみるとやっぱりとんでもないブツやなあ……とは言っても、まだ解析に成功したのはほんの一部なんやけど。何せ、ここに来るまでは只の人間やった室井君をあそこまで鍛え上げる『英雄養成ギプス』や。ぜひその中身を知りたいもんやが、キー無しでアクセスするためには二重三重のプロテクトを破るのが不可欠。付け焼刃のボクの知識では歯が立たん」 「その一端を見られただけでも大したものです。迂闊に触ろうものなら、即座に爆発していたでしょうから」 「……やっぱそーいう罠やったんやね。無茶せんでよかったわ」 長月はその場にあぐらをかき、メイの居る方向へ身体を向ける。 「なあ、どうやろ。ボクにこのカートの管理者権限、譲ってもらえんやろか」 「無理です。どこの誰とも知れない部外者に、この子達を預けるわけにはいきません」 「そか。ならここから交渉の始まりやな――管理者権限、寄越しや。もし応じひんっちゅうなら、今から輸送クラスの英雄当たって、片っ端からカートをスクラップにしたるわ」 脅迫だった。長月の眼は、もはや笑ってはいない。 「一介のカレイディアンであるあなたがエトランジェを敵に回す、と?」 「カレイディアンでもモノが違うで? 察しの良い君なら気づいとるかもしれへんが、ボクの身体もかなりディープにナノマシンに侵されとる。自分の身体で色々無茶苦茶やって、何だかんだでもう200年程になるんかなぁ……」 一見貧弱に見えるその身体は、ひとたび格闘戦となれば速さ・重さ・堅さ、全てにおいて英雄トップクラスのそれと肩を並べる。耐魔能力を除けば、英雄達を駆逐するに十分な能力だ。 「それにな、別にボクかて君らに楯突くつもりでこんなこと言うてるわけやない。むしろ協力したいと思うとるんや」 「どの口が言いますか。先程の自分の言葉をもう忘れてしまったようですね、治療が必要ですか?」 「うんゴメン流石にさっきのはボクが悪かったです。でもほら、やっぱり初っ端のインパクトって大事やん? 一応実年齢は250超でも気持ちはまだいきがりたい年頃っていうか? ……もしボクの精一杯の謝罪の気持ちが伝わったなら、今すぐ背後のドリルをしまってもらえんやろか」 さっきまでの覇気はどこへやら。ひたすら謝り倒す長月を見て、メイはモーターの駆動を止めた。音が止んだのを確認し、ほっと一息ついてから長月は再び口を開いた。 「とりあえず、ボクの目的を最初に話しとこか。当座のところ、ボクは室井君に付いて自分の開発した幻子兵装を運用してみるつもりや。色々と開発したのはええが、実際に使う機会がなかなか無くて埋もれてたのがウチにはぎょうさん溢れよるからな。正直ピンキリなのは否めんが、戦力の底上げにはなるはずや」 「……それが、あなたの目的ですか?」 「現時点ではな。勿論、これはあくまで手段――本当の目的は別にあるが、今はまだ話せへん」 表も裏も隠さない長月の言動。それだけに、そこに嘘が介在する余地は無い。 「ま、さっきは脅迫めいたことも言うたけどな。君ならおそらくボクを止めることくらい容易いやろ? 結局、全ての決定権は君にあるわけやが、どや」 メイは眼を瞑り、思案する。最初にあれだけのことを言ってのけたのだ、このまま拒否を続けても長月側から折れることは無いだろう。また、彼が実力行使に出たとして、果たして本当にメイは彼を抑えることができるのだろうか。 「……いいでしょう。武装の追加は認めます――が、管理者権限の付与は認めません。彼のカートのみ、あなたがある程度自由にいじれるようカスタマイズしておきますが、そこまでです。それ以上の事を望むのであれば、今までのように解析を続ければよいでしょう。爆死の危険は伴いますが、仮にも技術屋を名乗るなら――」 やってみろ。 彼女の眼は、そう言っていた。と、長月は思い込んでみることにした。 「オーケー、互いに妥協ラインはそんなとこやろ。となると、いよいよ本格的にラボを移さなならんな……メイちゃん、よかったら僕にもカート貸してくれへんかな」 「構いませんが。ただし、一度つけたらそう簡単には外せませんよ? あと、それを装着するということは私に命を握られていることと同義ですが」 「ごめんなさい。魔石払うから、ちょっと遠出して手伝ってくれへんかな。古代遺跡の方からやねんけど」 ========== 〜カレイディア-召喚士の住処〜 「あんたが召喚士か。少し頼みがある」 その男は、全身黒ずくめだった。黒のロングコートに黒のジーンズ、黒のインナー。伸ばしたままの黒髪と目深に被った黒のキャップが、視線を悟らせない。 「……あら、珍しいわね。見たところあなたはカレイディアンのようだけど、私があなたにできることはあったかしら」 「『カレイディアン』というのか、この世界の住人は。まあ、そんな呼称はどうでもいい。俺の頼みは一つだ」 カレイディアンでありながら、異邦人。彼もまた、室井に接触しようとするうちの一人だった。 「俺を依代として使えるようにしてくれ。クラスは輸送系だ、よろしく頼む」 大和 半月。新たな命を得た『黒豹』は、闇に紛れ、闇を狩る。 |
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今回の滞在 | ||||||
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Message(Personal) | ||||||
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Message(Linkage) | ||
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Ability Setting | ||
アビリティを装備します。
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Item Trade | ||||||||||
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Item Setting | ||
装備品を整えます。
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Skill Setting | ||
スキルを装備します。
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Schedule | ||
1日目……
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Grow | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
依代の浸透……
レベルアップしました(EXP-140)
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Event | ||
『常闇の祭祀殿』に張られた結界が魔石を霧散させます……。
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攻略の時間になりました!! | ||||||||||||
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