ビシュクの一週間

「…短刀、直入。ですよ。
結構急いているのは分かってる。

まぁ、でも今だから言える。と、思う。

…ビシュク。やっぱ、貴方に惚れたっぽいようですね。

……いや。はや。じゃ。失礼。」

「ルドさんですか…そういえば、ロロちゃんのところで会った事があるような。」

「そう言えばビシュクさん、服飾直しのアトリエ開いていたんですね。…この世界でアトリエって聞くと壊しちゃいそうな印象を受けてしまいますけど；」

「おおう、いつぞやは工房でお世話になった狐様。」

「ビシュクさんね。私はルーネって言うんだ、改めて宜しくね。」

「ビシュクさんには特に剣の強化がすごいなぁと思ってたのでまたお願いしたい所だけど、中々いい剣が手に入らなくてねー…。今度手に入ったらまたお願いするよ。」

「ま、戦いばっかり仕事ばっかりじゃ疲れちゃうだろうしね…私でよかったら喜んで話し相手になるよ。」

「……え？でも、狐って二本足で歩いたり
言葉を喋ったりするようなものなのでしょうか？
確かに尻尾も耳もありますけど。」

「成程、すごく便利な能力ですね。
でも先ほど私の魂の色が少し違う、と仰られましたけど
一体……何か個性的なカラーリングでもしていたのでしょうか。」

「あ、はい、私がミコトで間違いないです。
　びしゅくさん……もしかして妖狐堂の嵋祝さんですか？
　は、初めましてっ、ご名声はききおよんでおります！」

「いえいえ申し訳ないだなんてそんな。
　こちらこそお茶の１つもお出しできなくて……
　あぁぁこないだ買った稲荷寿司も全滅したとき
　持ってかれちゃって……ほ、本当に何にもお出し
　できなくて、すみません」

「お話し相手……ゎ、私でよければ！
　ふつつつつかものなので大変恐縮ですがッ。
（なにやら眼が泳ぎ気味である）
（嵋祝のあまりの艶かしさにどぎまぎしているようだ！）」

「ぁ、はい、魂の方は紛れもなく人間なんですけど
　訳あってこの猫又の姿のまましばらく
　過ごすことになってしまいました。
　人間にはない力も当たり前のように使えて
　便利は便利なんですが……逆もまた然りというか
　魂とカラダの不一致に時々悩まされてます」

「びしゅくさんは、元の世界でも今と同じ姿だったんですか？
　依代の影響とかって受けたりします？」

「魂の色……もしかして、魂が見えるんですか……？
　（深い水底を覗き込むように
　　嵋祝の朧気な瞳の光をじっと見つめながら）」

「まだまだ、弱卒ですけども、ね。

英雄が集まる、というだけあって、練度が高いのには驚いた。果たして生き残れるのか、と心配になるな。



私の方こそ、これから何かとご教授願う事もあるかと思うが、その時は宜しく。

」

「
目のやり場に困ると思うのだが……特に男性は。

私も人のことは言えないしね、そういうものか……いや、遠慮しておこうかな。


私がそういう服を着ても似合わない。うん。

」

「
作業場では別の服……それもそうか。

作業場にその服で入るわけがないな、よく考えてみれば……いや、愚問だった。



焼くのも良いが、程ほどに、かな。鍛冶場の熱は肌を荒れさせる事だし。
」

「おや〜？ぽえぽえさんでしょうか〜？
こちらの世界では太陽が無いので霊力の温存のためにゆっくりさんになってるのかもしれませんね〜。」

「はい〜よろしくさんなのです〜（なでられ

主任は依代が無いので半透明さんなのです。
「依代なんざなくても実体化できるけど、まぁ」とか本人は言ってるのです。」