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Diary | ||
--------------------------------------- とかげは山猫でいちばん小さな猫だった。 おとなに面倒を見られるほどは小さくもなく、 ただちからったらずな仲間という立ち位置で、 いつも、なんでも、いちばん最後だったんだ。 けれど、負けん気が強くて、あいつの悔しそうな目ったら、一度射貫かれると忘れられない。 俺も一度ね、とかげににらまれて、夜ふるえたことがある。 でも現実には、あいつはひ弱な猫で、周囲のどいつでも容易にかみ殺せた はずだった、俺たちには想像のつかないことだけれど 成長?―進化?というの?あいつはひとりでに進化していったんだ。 生き物のありかたとして、不自然なくらいに。 とかげはいつの間にか毒を携帯するようになり、 喰いつ喰われつ、それでも飼いはじめやがった。 でも、やっぱり、とかげがひ弱で、いちばんこどもであることには変わりはない。 あの頃のとかげには、兄のようなやつがいてね。 そいつは立派な虎皮の毛並みがふさふさして、 爪も牙も俺たちより数段するどかった。 研ぎ方とか、訓練だとかじゃあなくて、 そいつだけが、きっすいの山猫だったんだ。 自然な姿なら、そいつが先頭を走ってるはずだけれど、 そいつはいちばん後ろからにばんめしか走らなかった。 ずーっとね…時には、いちばん最後にもなった。 ずっととかげのそばにいたんだ。 「その子、今は?」 (僕はこういった出来事を多く見てきたものだから、 すっとわるいしらせが思い浮かんで、身構える。 こどものころ、よっぽどしたっていた兄がいなくなったりしたら、 こころのバランスが崩れるのも解らないではないからだ。 もっとも、うまれつき性悪であったのも事実だろうが) 「元気さ。りっぱにやってる」 「えっ?そうなのか」 「サソリって言うんだ。けんじ知らない?」 「サソリ君!知っているよ。 でも、そしたらなんだか尚更わからないなあ。 僕はサソリ君とトカゲ君が一緒にいるところを見たことがない。」 (サソリ君は、のら猫の中でもかなり地位の高い子だ。 猫の中に地位があるのかは知らないけれど、それでもなんとはなし、 誰がえらくて誰がしたっぱかというのがある。 サソリ君は、あと二匹、ガゼル君とマンタ君と一緒に、 タカ君にぴったりつき従う親衛隊といったところだ。 寡黙で、望まれないようなそぶりだったから僕は話をなかったし、 ガゼル君・マンタ君とでも和やかな表情を見せたりはしていなかった。 僕の知る限りでは、忠実にタカ君の命令をこなす機械というのが彼の印象だった。 そのサソリ君が、秩序を嫌うトカゲ君とそりがあわないのは、想像に易い。 けれど昔は、そのトカゲ君を可愛がっていたというのだから、 なんだか僕は時と成長との密な関係を見せ付けられたようでゾッとする。) 「今から話すよ。それで―」 あるとき、山ににんげんが来た。おれ達みたいに正体を組んでね。 やつ等の目的っていうのは、何だか知らないけれど、 おおよその予想には食ったりでもするんじゃあないか、 おれ達を捕らえようとしたんだ。 勿論にんげんなんかにそう簡単につかまるわけがない、 ぴょこぴょこ姿をみせてみたり、ひっこんで、からかいながら おれ達はやつ等をまいた。地の利はおれ達にあるんだから… でも、そういうカンの鈍い奴っていうのはどこにでもいるだろ、 とかげはさあ、その頃はもう毒の吸いすぎで、鼻が効かなくなってたんだ。 だから、にんげんのにおいも探知できなくて、 罠にかかって、足も遅いし、逃げ遅れたんだな。 おれ達はギリギリのラインでにんげんをからかっていたのだから、 そこから少しでも下手をうつと、勝算がわからなくなる。 だから予定通りの行動しかしなかった。 そいで、逃げ切った。 それで、次の日いつもの集会所に行くとね、ひどいことになってた。 トカゲは結局からがら逃げ延びることができた、 でも、サソリの顔が無くなってたんだ。 苦しそうにうめいて、目だかなんだかわからない光が空を睨んでいるのが、 俺は今でも忘れられない。 俺が知っているトカゲの姿は、 「ここまで?」 「…いいや。後は、俺の見聞きしたことじゃあないんだけれど。 うわさに過ぎない、人づての話も聞いておきたいかい?」 「うん。ありがとう」 あの時、逃げ遅れたトカゲに付き合ったのは、やっぱりサソリだった。 もうみんな逃げた後の、にんげんのうろつく山の茂みを、 サソリはトカゲの逃げ道を作りなが走ったらしいんだ。 でも、トカゲは足をけがしていたから、まともに走れやしない。 めまいで前を行くサソリとの距離が広がっていく気がした、 トカゲは命の限りサソリに飛び掛り、二匹は崖を転がり落ちて、 その時にサソリは顔を切った。 きずはそんなに深くもなかったけれど、このあたりの血って止まりにくいから、 みるみるサソリの山色の毛皮が赤く染まった、とか言ってたかな。 結果的に致命傷もなく、崖をおちた二匹はにんげんの手から逃れられたんだ。 けれど― そのとき、トカゲはもう狂っていた。 サソリの顔に毒を塗りたくったんだ。 傷口から毒はむしばみ、サソリは顔を無くした。 トカゲも、ズタボロの足で毒をさわったんだから 足は三倍程にもふくれあがり、今でもそのまま。 こんなのはうわさばなし、そういう、誰かの悪意のつくった話かもしれないよ。 真偽を確かめる事ができないから、聞いた通りを伝えただけだ。 俺が怖かったのは、それでもトカゲとサソリが一緒にいたこと、 トカゲはただ少し気まずそうなだけでサソリにわびる事もなく、 サソリもそんなトカゲに怒りやしなかった。 二匹が会わなくなったのは、おれ達の山に街の猫がやってきて、 誘われるままにおれ達が山をおりてから、だと思う。 「ありがとう。」 「いいんだ。ずっと誰かに話したかったから」 「そうなの、どうして?」 「さっきの、人づての話だけれどね、あれを話してくれた猫はいなくなってしまった。 トカゲはそういう奴だからなあ。 真偽を確かめる事ができないのはな、 サソリの喉は顔に塗られた毒で焼かれて、だから話さなくなったってことと、 トカゲが極端に昔の話を蒸し返されるのをきらうからだ。 そりゃそうだろう、今はああしてひとりっきりの国の暴君みたいにふんぞり返っているトカゲが、 昔はみんなの足手まといだったなんて、知られたくないだろう。」 「…こんな話を僕にしてしまって、君の命が危ないんじゃあないの?」 「それでなくても、トカゲはきまぐれに俺をブッ殺すだろう。 まだね、この話がみんなの知るところになってしまえば 俺なんかどうでもよくなるだろう。 今までは誰もトカゲのうわさなんかどうでもよかったろうけど、ボスになるようなやつなら別さ。 現にこうして、けんじは俺にトカゲのことを聞きにきたんだし」 「なるほど、君もいろいろな事を考えるんだね」 「ブッ殺されたくないからにゃあ」 「…サソリ君はボスに立候補する?」 「いんや。あいつは、立候補しない。」 「それは、どうして?」 「あいつにとっては、ボスっていったらタカしかいないんだ。 信者だよ、シ・ン・ジャ」 (僕はヘビ君の湿度の高いねぐらを後見しながら、ぼんやりと思い出していた。) (『気が違ったの』) (『痺れの毒、麻酔だ麻酔。単なる痛み止め!』) --------------------------------------------- 僕は泣き出しそうな暗雲のもと、ぼんやりと雲とおんなじくらいにしか 明暗の無い本に目を凝らし読書をしていた時、 トカゲ君がボス候補11連勝して、いよいよみんなが閉口したという知らせと共に、 サソリ君がボスに立候補したというニュースを聞いた。 |
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今回の滞在 | ||||||
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攻略の時間になりました!! | ||||||||||||||
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