チェロの一週間

「借金を踏ミ倒ス……嗚呼、ナンて素晴らシイ響きナンでショウ！　」

「先陣を切るノは提案者の義務にシて誉れ！　ヤりなサイ、チェロ君28号！　コの冷血無道の極悪取立テ人をボてクリこかシテ借金地獄かラ脱出スルんデス！」

「……馬鹿が調子に乗るので悪魔の誘惑はご遠慮ください。ただでさえ不良債権が嵩んでいるんですから困ります」

「ああ、申し遅れました。私、鍋島金融で取立人を務める鍋島鼎と申します。御覧の通りの若輩者で至らぬ所も多々あると思いますが、宜しければ、この騒動が終わるまでどうぞお付き合いください」

「……尚、コレとは友達などでは断じてなく、債権者と債務者の関係に過ぎませんのでご理解、ご協力の程をお願いします」

「へ、変身ガ出来なイというコトはモしヤ合体も巨大化もデキなイのデスか！？　そうナルと……チェロ君は人間でハなかっタのデスね！？」

「私もできませんが」

「まサカ、チェロ君が借金取りの仲間ダったナンて！　裏切りまシタね！　私の気持チを裏切りまシタね！　藁人形さんト同ジに裏切っタんデス」

「……ネタが古いにも程があるでしょうに」

「宇宙恐怖的ナ力で統一シていルのデ内乱なンて起キまセンよ」

「……すみません。私の国は変態的生物に人権が認められてしまったディストピアなんです」

「借金取リを除けバ居心地がいイのデチェロ君も良かっタラ移住シまセンか？」

「すみません。こんな生物を蔓延らせてしまって本当にすみません。ホモ・サピエンスの一員として深くお詫び申し上げます」

「ウフフフフフフ……」

「すみません、すみません、すみません……」

「ティアリィアースさん、学問をなさる機会がなかったのでしたら一緒にお勉強しませんか？　学問を通じて互いのことを語らうのは交友を深める良い機会になると思います。
　無理にとは申しませんが、私もまだ修学中の身ですので復習をする必要がありますし、これまでティアリィアースさんがなさってきた経験から得た智慧も是非、教えていただきたいのです」

「あアーッ！　借金取りガ洗脳を施しテ手下を増やソウとシテいマス！　チェロ君、付いテ行っチャいケまセン！　じックり可愛がらレタ挙句、泣いタリ、笑っタリでキなくなりマスよ！」

「具体的に申しますと目を赤く発光させて威嚇する生物の締め方などを重点的に。可能なら実践形式でご教授していただけると助かります」

「……呼ばれました。入札内容を伺います」

「……藍色で16個で入札します。」

「……魔法騎士の盾＋１へ総魔石16個で受付ました……良い取引を」

「……青色で51個で入札します。」

「……防弾ヘルメットへ総魔石51個で受付ました……良い取引を」

「……赤色で187個で入札します。」

「……血塗られた鎧へ総魔石187個で受付ました……良い取引を」

「……残念ですが落札はできませんでした。開始10、入札3、終了300で荒御魂(E-No.224)が落札しました。出品者はネーヌ(E-No.321)でした」

「……残念ですが落札はできませんでした。開始10、入札5、終了300で黒後家蜘蛛(E-No.62)が落札しました。出品者はアズサク(E-No.429)でした」

「……残念ですが落札はできませんでした。開始10、入札6、終了200でルイジュ(E-No.29)が落札しました。出品者はボロ(E-No.106)でした」