スティアの一週間

「今回の攻略拠点は「常闇の祭祀殿-涸れる涙の道」ですね」

「時間になったら集まるのよ」

「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」

「……メッセージの送信ですね。承ります」

「メッセージは届いておりません」

「その腕章はサチ司書の……そう、話すなとは約束していたけれど。もう、話してもいい頃かしらね……」

「サチ司書は『彼女』がカレイディアを常闇に沈めた時、真っ先に戦った人だったの」

「この世界で最高の…『世界最強の大魔道士』と呼ばれた彼女だったけど、だめだったわ。『彼女』が掌握した王軍を蹴散らし、『彼女』を追い詰めていたけれど……彼女が扱うのはあくまで魔法。いくら強力でも、切り札として現れた──には敵わなかった」

「そして見せしめとして藍の魔宝を管理する学院も滅ぼされ、サチ司書は『封印』の柱にされてしまったわ」

「でも諦めなかった。殆どの魔力を奪われたけど、力の一部を分離して逃れ、最後の魔力を使って私に近づいたわ。そうすることは『彼女』を倒すことに繋がるから……」

「……でも、『彼女』を倒すには『封印』を破壊しなければいけない、どちらにしても、サチ司書は消滅する運命にあったの」

「……」

「アナタ、支援系の依代を使っているわよね……その依代を構成しているものは何だと思う？」

「答えは『学院の関係者』よ。『彼女』に滅ぼされた、学院の生き残り、もしくはその想い。彼女たちに縁がある者が核になっているの。縁はコンファインには重要なこと。アナタが受け取った腕章もそう」

「……あの子には、どう説明しようかしら……」

「そろそろ結果が出たようであると様子を見に来たが……ふむ、調べ疲れて寝てしまったようであるな」

「いいだろう。聞いているかどうか知らんが、情報をまとめてやろうではないか」

「テンコ主任のお墨付きとは！」

「分類はアビリティであるな」

「テンコ主任が認めた一人前工匠に与えられる称号で、強力な効果を持った専門工房の使用を許可されるぞ。これらは手数料がかなり高いのだが、装飾品などの他では行えないド級の強化が可能になるようである。」

「熟練度を上げても能力に変化はないが、上級の工房を使用するにはそれなりの熟練が必要だ、能力を単純に気にするなら、他のアビリティを優先した方がいいだろうな。このアビリティを身につけた時点で、既にカレイディアにおいては一級の工匠になっているはず。だがテンコ主任としては、この程度は通過点に過ぎないと不満のようだ。」

「彼女が工匠を集めているのは金儲けもあるが、別の何かを探している思惑もあるようだな……一体、何を探しているのであろうか」

「……ということだ。これからもしっかり励めよ」

「ムウだむー。おなかすいたむー。マセキマセキ！」

「ルシクロ・ウトクゾーイケ！」

「むー!?」

「しつこいヤツですわね。さあ、わたくしが抑えているうちに、先に行って下さいませ！」

「心配はございません。すぐに追いつきますわ」

「ひどいむー」

「……きゅう」

「マセキほしいむー」

「わーい」

「ウマーウマー」

「そろそろ時間よ。集まりなさい」

「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ！！」

「……落ち着きなさい」

「アナタは確か、私の護衛に志願してくれているようね」

「今回はアナタの出番よ。頼りにさせてもらうわね」

「やる気は十分のようね。頑張りなさい」