スティアの一週間

「今回の攻略拠点は「常闇の祭祀殿-交信の門」ですね」

「時間になったら集まるのよ」

「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」

「メッセージは届いておりません」

「エクステンションが希望なのね？」

「儀式の実行には魔石が必要よ。魔石の準備は出来ているかしら？」

「併せて3000個ね。充分よ」

「……」

「…」

「こんな所かしら」

「アナタ、『情報検索サービス』を利用していたようね」

「でもサチ司書はもう、あなたに会いに来ることはないわ。アナタの識っている彼女は、役目を終えてこの世から去ったの」

「サチ司書はずっと前に亡き人になっていて、身体はとうに滅んでいたわ。『彼女』によって学院ごと『封印』の一部にされることで、生きながらえていたのよ」

「だから私たちが『自制なき学院』を攻略し、『封印』を破壊したことで、学院と一緒に滅んだわ……だから彼処にはもう何も残っていない」

「……」

「でも彼女が管理していた魔法書架は別の空間に存在し続けているわ。だから、サチ司書が遺した力を借りることは不可能じゃないわね」

「『情報検索サービス』をパラダイムシフトさせているアナタなら、彼女が居た空間への扉が開くことができるはずよ」

「わざわざこの空間に足を運ぶとは酔狂な奴であるな……それほど、知識に飢えているか」

「まあよかろう。この書架には、貴様の知識欲を満たす助けになる物があるはずである。調べ物をすることを許してやろう」

「ムウだむー。おなかすいたむー。マセキマセキ！」

「ルシクロ・ウトクゾーイケ！」

「むー!?」

「みみが痛いむー!?」

「ふっ。駄天使殺しの古代呪文ルシクロ・ウトクゾーイケ。聞いた相手は死ぬ！」

「ひどいむー。いじわるむー」

「──はずだったのですが、伝承間違いだったようですわ。ルシミコ・キカンバジーイケの方が良かったでしょうか」

「わたくしもしばらく前から取り憑かれておりまして、退治する方法を調べていたのですが、だめですわね」

「あっ、まーしゃるさんが２人になったむー。マセキマセキ！」

「やはり正攻法として、なにか食べさせて黙らせるしかありませんか……。しかしわたくしは、魔石なんて俗物的な持ち合わせておりませんし……」

「あっ。ひらめ缶食べます？」

「マズー」

「不評ですわね」

「マズーマズーマズー！」

「なにしてくれてやがりますか！」

「マセキほしいむー」

「わーい」

「ウマーウマー」

「そろそろ時間よ。集まりなさい」

「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ！！」

「……落ち着きなさい」

「アナタは確か、私の護衛に志願してくれているようね」

「今回はアナタの出番よ。頼りにさせてもらうわね」