ちぇる子の一週間

「汝は何を云っているのだ、アイデンティティなどと云うものは見てくれで定まるものではない、我は我であると我が認識しているからこそ我なのだ、この姿が白衣であろうと、たとえシャウト籤とやらが外れてカモノハシになっておろうと、我は我だ」

「（何だか屁理屈っぽい事を並べてくいっと眼鏡を指先で持ち上げ」

「普段の格好のままでは、この学び舎へ紛れ込むのに都合が悪いからな……とは云え結局皆悪目立ちしているようにも思えるが
（どう考えてもあちこちで見つかってはドンパチはじまっている周囲の戦況観て「何が悪かったのか」と眉顰め）
汝も着替えるか。……否その前に汝の後ろにいる依代の妙なかぶりものを何とかすべきかも知れぬな。」

「……ああ？捏造？（どうでもよさげと云うより面倒げに片目細め）」

「己の経歴を粉飾するなど小物のする事、我の生涯はそのまま壮大なサーガとして語り継がれるべきものよ、必要ない（言い切った）
せいぜい汝の心情をみっともなく思われぬ程度に飾り立てた伝承を残しておいては如何だ、実は下半身を丸出しにする以前から我に惚れ込んでいたのだとか、な。」

「ならばわざわざ下着を履かぬまま我にスカートをめくらせたのも、ちぇる子なりの愛のアプローチであったのかも知れぬ、と後世の歴史家達が好意的に分析もしてくれよう。」

「如何考えても、「ド変態妖精」だがな。」

「我は汝を落とすつもりで撫でているのではない、汝の心が既に我に落ちているからこそ特別に感じるだけなのだ、そうであろう

（低くひそめた声音はまるで催眠術か洗脳か。
　ちぇる子が自身を評する言葉に「何処が」と同じトーンで突っ込み）」

「我以上に汝の興味を惹く相手でも見つかれば、たぶらかしに参れば良かろう。

まあ、その相手に対しても初対面から猫を剥がされた挙句「こんなはずじゃなかった」と言い訳をするはめになると思うが。」

「（素を見せない事が自然体
──サラリと出た言葉に眼鏡の奥で目を細めた。
ちょっと格好良い事を言った風に仰々しいお辞儀をして見せる妖精の、またもや自分の言葉の意味に気付いていない様子を眺めた後、そうかそうかと頷いて見せ）」

「熱烈な告白、痛み入る。」

「愛はどうしようもない……詩人ですね（クスッ

最近の子供はグロ耐性もあるようですしよいこの味方のアンパン戦士は毎話自分の頭を勝ち割って中身をさらけ出してるから大丈夫だと思うんです。」

「いいか、俺がデレるのは人類限定だ。お前はnot人類だ、そもそも男にツンデレとかきめーよ畜生。」

「あれ、私のお友達は隙あらば攻撃してきますけど……私たちもそんな仲になって骨を奪い合いましょうよ、ね？（諭す感じで」

「酒…？旨いか？　頭がキーンと要らないわぁ」

「美味しくない…くわわっ？」
そう聞くや、なぜか串を取り出し、ちぇる子にむけて振りかぶる。

「料理ーーーっっ！？」

「変装、なあ。俺がどんな格好したって浮くだろうよ。
生徒の格好なんてもってのほかだ」

苦笑しながら答える。

「お前さんはそれでいいかもしれないが、人間社会じゃそうもいかないんでな。
好き勝手にやればやる程、いつか手痛いしっぺ返しを食らう。そうならないように自重するのが長く楽しむコツさ。きっとな」

「……俺からリアリティを全部取っ払えたとして、それがまだ俺であると思うか？」