マーヤの一週間

「今回の攻略拠点は「自制なき学院-気鋭の門」ですね」

「時間になったら集まるのよ」

「あら」

「そろそろ依代の限界が近いわね。これ以上はアナタの成長に耐えられないということよ。限界に達するとレベルアップできなくなるわ。その前にコンファインに来なさい」

「特例措置として存在の修正が可能ですけど、どうやら希望のようですね？」

「依代のクラスをノーヴィスから変えたいんですか？」

「分かりました。えーと……志望はアイドルですね？」

「ふむふむ、ちょっと待っていてくださいね」

「1番目のアビリティ「無垢なるアビリティ」を「RESゲイン」に変更したいんですか？」

「ふむふむ、ちょっと待っていてくださいね」

「2番目のアビリティ「無垢なるアビリティ」を「星図魔法歌スキル修練」に変更したいんですか？」

「ふむふむ、ちょっと待っていてくださいね」

「3番目のアビリティ「無垢なるアビリティ」を「星図魔法スキル修練」に変更したいんですか？」

「ふむふむ、ちょっと待っていてくださいね」

「4番目のアビリティ「無垢なるアビリティ」を「まもってお願い」に変更したいんですか？」

「ふむふむ、ちょっと待っていてくださいね」

「以下のスキルが法則の変化により使用不可能になります。過去に遡り、その「もしスキル研究をしていたならトレーニングに当てていた」ということにしましょう」

「EXPが獲得できるかもしれませんね」

「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」

「メッセージは届いておりません」

「待ちなさい」

「私は歌姫カナデ。星図魔法のレギュレーションを担当しているわ」

「あなた、これから星図魔法を使うようね。どの系統を憶えていくかはどうでも良いけど、忠告だけはしておくわ」

「星図魔法を閃いたら必ず名前を変更しなさい。星図魔法は自分だけの名前を付けることで真価を発揮するの。名前は独自のものよ、他人と被っていたら効果が半減するわ」

「技の効果は変動しやすいわ。数更新ごとに確実に変化するけど、熟練度が高ければどうなっても役立つはずよ。せいぜい技を磨くことね」

「まだスキルを閃いていないようね」

「ムウだむー。おなかすいたむー。マセキマセキ！」

「ルシクロ・ウトクゾーイケ！」

「むー!?」

「みみが痛いむー!?」

「ふっ。駄天使殺しの古代呪文ルシクロ・ウトクゾーイケ。聞いた相手は死ぬ！」

「ひどいむー。いじわるむー」

「──はずだったのですが、伝承間違いだったようですわ。ルシミコ・キカンバジーイケの方が良かったでしょうか」

「わたくしもしばらく前から取り憑かれておりまして、退治する方法を調べていたのですが、だめですわね」

「あっ、まーしゃるさんが２人になったむー。マセキマセキ！」

「やはり正攻法として、なにか食べさせて黙らせるしかありませんか……。しかしわたくしは、魔石なんて俗物的な持ち合わせておりませんし……」

「あっ。ひらめ缶食べます？」

「マズー」

「不評ですわね」

「マズーマズーマズー！」

「なにしてくれてやがりますか！」

「マセキほしいむー」

「わーい」

「ウマーウマー」

「そろそろ時間よ。集まりなさい」

「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ！！」

「……落ち着きなさい」