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傷だらけのレオくんが子猫をくわえてやってきた。 そこらはすこしざわついて、 お嬢さんの猫たちは血を見てすっかりおびえてしまっている。 食べかけのクレープがほったらかされ、猫たちはどこかこちらからは見えないところに隠れてしまった。 レオ君はわりと、猫の国でも有名な猫だ。 かわいいから。 産まれ付きが人間の手の元で、代々続く良い血統を守って、 何不自由なく人間に飼われていたのだけれど、 家出をしてのらごっこをしている、と聞く。 確かに、怪我をして、荒れている今でも、毛の質のよさを感じるし、声もかわいい。 「はい、おわり」 「もう?」 「切り傷ならいちばんらくになおせるよ。ハゲはなおせないけれど…」 「ありがとう。…あいつは?」 「ああ、あの子猫さん? 毛や皮が柔らかいから余計に血がでてしまったけれど、あの子も外傷だから。 内出血…あざとかもあるけれどね、つまり内臓や奥の方の神経にきずがないなら、一緒のことなんだ」 レオ君はいかにもわからないという様子で首を伸ばす。 それを引っ込めたとおもうと、全身をひとなみブルルっとふるって、背を向けてしまった。 「けんじのいうことはオレ、よくわからない。 つまり、大丈夫ならいいんだ。あいつ」 「もう行くの?」 クレープを食べていかない? あの子どうするの? 「もう行くの。」 レオ君が広場から出たところを見て、隠れていたマリーさんがひょっこり現れる。 食べかけのクレープを齧って、冷めた様子で話しはじめた。 「むりしちゃって、あの子ばかよね」 ミケくんの耳がちょうど雨粒をはじくように、ピクっとはねる。 イチゴのへたを採っていた手が止まる。 「ばか」 「そう、おばか。 あの子、わたしたちと一緒よ。ニンゲンと生きてきたのよ。 のらはね、ニンゲンをばかにして、ニンゲンと生きるわたしたちをばかにするけれども、 他の種と共に生きてみせることを知らないあいつらのほうがばかなのよ」 「ばか、ばかって、言うなよ。みじめだ」 「みじめ?なにがみじめだっていうの?」 「… …」 「言ってみなさいよ、ほら、言えないんでしょう」 ---------------------------------------- 「レオくん」 「ついてくるなよ」 「ついていきやしないよ。」 「それじゃあ、なんだよ」 「クレープ、食べていかないの」 「ふぬけの猫のものなんか、受け取らない。」 「それは、どうして?」 「のらの皆ならそうするだろうからさ。 ふぬけはふぬけだ、あいつらが餓えて死にかけているならぼく―オレ達、きっと、食べ物くらいはやるよ。 けれど、ふぬけの猫からほどこしを受けるなんて、絶対しやしない」 「それは、与えられるより、与える方が、その子にとってたやすいことだからだ。 ”傲慢”というのは、ある世界では罪の一つなんだよ」 「つみ?」 「罪、知っている?」 「つみとばつ。しっているよ―”成り代わり”もつみ?」 「”成り代わり”?」 「べつのものに、成り代わる。なにか自分がそうありたいとおもった時、 あるいは、だれかに、べつのものの役割をまかされる時」 「レオ君は、なぜそれを罪だとおもう?」 「タカ様がつぼねこのなまえを奪ったとき、つぼねこはたくさん泣いたよ。いまだって、つぼからでてこない」 「だれかのものや、こころを、奪ったら、だれかが泣くんだ。 成り代わるということは、だれかの、存在を奪ってしまうこと、じゃあないか。けんじ」 風が吹く。 僕はふと思った。 「レオ君はやさしい猫だねえ」 レオ君は、誰かが泣くのが辛いのだろう。 「やさしい?」 「やさしくされて育ってきたからだろうか。」 「やめてくれよ、やさしい猫なんてうれしくない。また馬鹿にされちゃうよ」 「だれに?」 「ネズミやミミズや―ほかののらさ」 「彼らもういない」 「いなければ、何だというの?ぼくの記憶するのらのみんななら、 ぼくがふぬけの猫と仲良くしたり、やさしい猫だなんて言われたら、馬鹿にするだろう。 思い出がぼくを責めるんだから、けんじとも仲良くする気はないんだ」 「そうかあ。それなら、悪かったね。」 「けんじが悪いんじゃない。ただぼくは、立派なのらに成りたいだけなんだ」 「君にとってニンゲンの世界は、辛いものだったの?」 「世界が悪いんじゃない。 ただ、いつまでも成長しない赤んぼってなまりでできた足枷と何も変わらない。 ママがおもてを歩くなら、ぼくがひざに乗ってちゃいけないんだから。 それにぼく、ニンゲンが好きでニンゲンの世界にいたんじゃない。」 「ママ、さん?」 「…ぼくは、こんな風に、やさしい猫だとか、かわいい猫だとか、 言われるのがいちばんきらいなんだ。 ふぬけとかかわっていると、ぼくはいやな思いをするばっかりだ。」 のらはぼくを、馬鹿にする。 ぼくが、駄目なやつでいることを、ゆるさない。 どんなにきれいにみがかれていたって、たんなる塊にどんな価値があるんだ。 ぼくは、ほんとうは、もっと、むかしに、ううん、はじめから、成長しなければいけなかった。 「自分や他人をやさしくゆるすなら、けんじ、この世は住みやすいなんて、ほんとのうそだ」 ぼくは狩りができない。 子猫の面倒も見れない。 かわいくなくとか、おなかを見せることで、生きてきた。 ママに甘えて生きてきた―のらになってからはネズミやミミズに甘えて生きてきた やつら、かえって、 死んでよかったさ。 僕は涙が出た。 子猫の助けを呼ぶ声を思い出した。 僕だって泣きたい、と思ったことを思い出した。 思い出はけっしてぼくをゆるさない。 ぼくが弱くあることをゆるさない。 レオ君は行ってしまった。 物忘れの激しい、物事を余り知らない、そんな猫でも、そのこころは深い。 僕には想像もつかないことで、レオ君はレオ君なりの価値観のもとへと向ってしまう。 広場へ戻ると、数匹の猫がレオ君の連れてきた子猫をかこんでなんだか話している。 「この子、ちっとも食べないね」 「クレープきらいなのかな」 「にぼしは?ミケが持っていたやつ」 「食べないみたいだよ」 「きみ、何だったら食べたい?」 僕がちらと覗き見ると、子猫のほうもこちらを見ていて、 目が合ったのでどきっとした。 ----------------------------------------- 「けんじ、オイラ、マリーとけんかしちゃったよ」 「それは、さみしいね。」 「情けないのは、オイラはいつも色んなことを考えるのに、 冷たい物言いをされると胸がつまって、何も言い返せないことだ」 「落ち込むかい。レモンティー入れようか。 けれど、どうしてけんかになってしまったの?」 「ありがとう、けんじ。マリーは、ばかって言葉を、簡単につかう。 オイラはそれが、みじめなんだよ」 「みじめ?」 「うん。オイラたちはばかなんだ。 ニンゲンの知恵や文化を知れば知るほど、オイラたちがばかなんだと、身に染みるよ。 ばかな種の中で、だれがよりばかか、なんて、どんなにみじめか知れない。 まして、マリーは自分がばかの一片だとは考えもしないみたいなんだ」 「ミケ君は自分をばかだと思うのかい?」 「オイラは猫だ。」 「一緒のことだと言うの?」 「さあ、いまは、気分が沈むんだ。いじけるのがいちばん良くないよ。どうせあしたはまた勉強がしたくなる」 ミケ君はあくびをして、体を丸めた。 僕は、胸がつまって、何も言えなかったけれど、ミケ君に自分を馬鹿だなんて思ってほしくない、と思った。 と、ミケくんが急に毛をさかだてて上半身を塔みたいに真っ直ぐ立てた 「だいたいばかなんてね!」 「はい!」 「三日三晩、それがばかなものか、ばかなものじゃないか、じっくり考えて考えて考えて、 それでようやくどうしようもなく、否定しなきゃいけないって達して、 それでもこころのどっかには、それがほんとうは価値のあるもので、 オイラの目が曇ってるだけかもしれないーってイーッてなりながら、やっとばかだといえるんだ! 口をついてばかなんてことばが出てしまう時は、こころやあたまがゴミで汚れてしまってる時だな!」 ミケ君のひげがきれいな放射線状にひろがっていた。 僕は笑った。 ミケ君も笑った。 「それ、マリーさんに言ってみようよ。」 「マリーはこういうこときっとどうでもいいんだぜ。オイラだって自分が変なやつだってことくらいわかってるよ」 「僕、ミケ君の考え、ちっとも変だと思わない」 「けんじも変なやつだもん」 「ええ?」 「うん」 「そうかな?」 「そうだよ」 |
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