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Diary | ||
異次元の扉。 その境界を超えた瞬間に満天の星が降り注ぐ。 砂交じりの乾いた風に時折水と緑の香りが微かに揺れる。 アタシはその香りを頼りに数度目の訪問をした。 キラキラと輝く夜空に真白い御殿が優雅に佇んでいる。 華やかでありながら、それでいて静けさを纏った彼の屋敷は、月光を映して輝いていた。 いつものように霧となって、忍び込んだそこに、居る。 さらさらと、滑るように滑らかな純白の絹布の上に悠然と身を横たえて、持て余すように果実を弄っている。 その表情はどこかぼんやりと遠くを眺めていたけれど、アタシの姿を見るなり不機嫌そうに言った。 「また、汝か。我は幼女に興味は無いと言っておろう。」 半ばぴしゃりと言い退ける不機嫌さには訳があることをアタシは知っていた。 此処数日、時折彼を原因不明の頭痛と眩暈が襲うらしい。 何度かの経験から、それは一週間に一度の割合で訪れるのだと彼は言っていた。 そう、それは。 アタシが『食事』をした翌朝にあたる。 つまり、吸血によって急激に血が失われ、彼は貧血による頭痛と眩暈を起こしているのだけど、そんな事は 彼の知る由はなかった。 (何故ならアタシが打ち明けられなかったからで) 「子供が出歩く時間ではない、帰るが良……??」 深夜の訪問者を追い返そうと放った言葉を彼は息を呑んで摘むんだ。 「泣いて、おるのか…?」 そう、アタシは半泣きだった。 普段なら彼が就寝した後に音もなく訪れるところを今日、こうして彼が起きている間に訪れたのにもワケがあった。 「どうした、何故泣いている。」 ベッドの傍に佇んだままのアタシを抱き上げて絹のベッドに座らせた。 先程までのピリピリとした空気は最早纏っておらず、アタシを落ち着かせようと背中をゆっくりさすってくれた。 「泣いておるだけでは、判らぬ。訳を申してみよ。」 そう言われて、アタシは 手に持っていたポーチから魔石をバラバラとベッドの上にバラ巻いた。 白布の上で魔石がキラキラと光る。 王様は、怪訝そうにその魔石を眺めている。 「ねえ、王様……… コンファインって……… なに???」 「…………。」 暫しポカン、とアタシの顔を眺めていた王様は、ふっと小さく吹き出し、 「そのような事で 迷っておったのか。」 そう、アタシは『コンファイン』の存在をつい先程知ったのだ。 つまり、今のアタシの体はアタシ自身ではなく、依代に憑依している状態なのだと。 必要に応じて、依代を変える必要がある。 また、コンファインするには魔石が必要で、それ相応の魔石を消費しなければいけないのだという。 「ねえ、王様、コンファインって何。今のアタシはアタシじゃないの?じゃあ本当のアタシは何処にいるの?」 こちらに来てより、今の自分が自分ではないと、気付かなかったのだ。 当然のように、「アリス・ブラックマン」として存在しているのだと。 それでは本当の自分は何処にいるのだろう。 王様はゆっくりと魔石をかき集めながら、アタシの手元に戻した。 「心配せずとも汝は一人ではない。王である我とて、本当の自分等判らぬのだ。」 何度も何度も、やんわりとアタシの背中を撫でながら、コンファインについて教えてくれた。 アタシの持っている魔石の数や質を見定めて、今のアタシに一番合う道を選んでくれた。 その声は、低く優しく、徐々にアタシの不安も取り除かれていった。 「…アタシ、別の体になるんだったら、綺麗な大人の女の人がいいわ。」 「何故だ?」 特別、こう、と言う理由もないけれど。 王様がこんなに優しくしてくれるとアタシは罪悪感を感じないではいられなかった。 だって、アタシずっと嘘をついてるもの。 黙ってこっそり王様の血を吸っている。 その王様はアタシのせいで苦しい思いをしているのよ。 でも、アタシには何のお礼もできない。 それどころか本当の事すら言えないわ。 きっと本当の事を言ってしまったら、王様はアタシの事嫌いになってしまう。 それならせめて、こんな小さな子供じゃなくて、一緒にいる間だけでも王様が喜んでくれるような 綺麗な女性になれればいいのにって、 そう思ったの。 「いくら外見が綺麗でもそれに伴う心が身についていなければ、本当に美しい人間とは言えぬ。そなたはまだ幼い。無理に背伸び等せずとも良いのだ。」 そう言って王様は身を横たえた。 「明日は早い。汝ももう寝るが良い。」 「……うん……。」 そのままアタシは王様の隣で体を横にした。 月の光を浴びて魔石がキラリと光る。 とってもお腹が空いていたけれど、その日は王様の血を吸う気にはなれなかった。 そして、アタシの意識は途切れ また、夢を見た。 誰かを必死に呼んでいる。 見えたのは透き通るような 眩い 青の。 ああ、これは、さっきまで眺めていた王様の瞳だわ。 目が 覚めたら またきっと あの青い瞳が私を見ているの。 アタシが寝坊したせいで工房に行きそびれただとかなんだとか言いながら、それでも一緒に朝食を取って。 それから王様は部屋を出ていくの。 アタシは二度目のまどろみの中で、王様の背中を見送るのでしょう。 明日の朝は きっと 王様が 元気で居られますように。 ---------------------------------------------------------- (しかしそれと引き換えに、吸血をしなかったアリスはその後、極度の乾きから発熱をしたとかどうとか。) |
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今回の滞在 | ||||||
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召喚士におねがい | ||||||||||||||||||||||
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