「おーう、いたいた。嬢ちゃんこんなトコまで来てたのかよ…だがまぁ、無事そうで何よりだ。
別れてからもう一月二月ぐれぇ経つが…嬢ちゃん、俺の事覚えてっか？
立ち話と手品のお披露目してくれたぐれぇだから忘れてっかね。胡散臭いオジサンだぜー」

「まぁ便りが無ぇのは元気な証拠っつうしな。いや、そもそも便りを出すほどでもねぇか。
俺の事なんざ忘れちまうぐれぇ、仲間と一緒によろしくやってたと思っておくぜ。
…どうだ、友達出来たか？楽しい事見つかったか？ヤケっぱちは起こしてねぇだろうな？」

「…一揆に決着が付いたのは、嬢ちゃんももう知ってると思う。
多分あと2、3日ぐれぇで一揆側か、王城の代表者から正式に声明がある。
…難しいか？まぁ、もうちょいで一揆もこっちの仕事も終わって、俺のいたトコに帰るってこった」

「…そんでだ、嬢ちゃん、俺と一緒に居たいっつったのは…覚えてっか？」

「俺ぁどうしてもこっちを離れなきゃならねぇし、次いつここに戻ってこれるって保証もねぇ。
そんでも、俺に着いてってでも一緒に居たい、ってんなら、面倒見てやるよ。俺が来いっつったワケだしな」

「勿論、友達と一緒なら父ちゃん母ちゃんいなくてもこっちで十分やっていけるぜーってんなら
それはそれで全然構わねぇんだ、嬢ちゃんが新しい道を見出せたって事だからよ。
むしろ心残りもなくなって安心して送り出せるってモンだぜ」

「…嬢ちゃんがどうしたいか、の問題だ。嬢ちゃんの好きな方を選びな。
だが…コイツぁ嬢ちゃんの今後を左右する、とても大事な事だ。よーく考えて決めてくれ」