よほどツボにはまったのか。あはははは！とさらにひとしきり笑った後、目に少し涙を浮かべつつ

あーおかしい。と一区切り。

のろけ話に関しては、ふんふんと興味深げに頷く。
嬉しそうなアムルの様子に、こちらも笑顔

あらかた話が終われば、「さて」と衣服をはたいて帰りの支度。

お別れの握手。

存外の反応におどかした本人がびっくりしつつ、少し申し訳なくなってくるのでした。

おそらくは、銃器などによる長距離からの狙撃のことでしょう。

　　突然の物音に警戒してそちらを振り向いたが
　　見知った顔だったので、お久しぶりですと穏やかに返事をした

　　そう言うと、貴方の話している様子をしばし見て
　　以前とは雰囲気の違う貴方を感じて、口元に手を当てる

　　少しの間会わなかった事で余計に変化を感じた事だろう
　　

　　返し、貴方の言葉に耳を傾ける
　　

　　敷き布を用意されると、ゆっくりと正座で座り込む
　　傍らには手に持っていた武器が置かれている

　　以前と全く同じような動作で少しおかしく感じられるかもしれない

　　当然そうに会えるかもわからない、というがそれを悲しんでいる様子もない
　　今までの経験から、一期一会とはそういうものだと理解したのだろう
　　しかしその言葉に対して何かをいう余裕も与えず、そのかわり…と言葉を続ける

　　嬉しそうに話を促している
　　元々こういう話の方が好きなのだろう
　　今までで一番元気に感じられるかもしれない……

おいしい料理の匂いに誘われて妖精たちも騒ぎ始める。
しかしいざ扉をあけて顔を合わすと動揺しているアムル。

ナイスキャッチ！

・・・

そして妖精さんとピッツァを食べながらも夜会話モードである。

恋話大好き。
ただ、茶化すよりは素直にアムルちゃんの恋が進展しているのを喜んでる感じであった。

恋は知らずともなんかそういう話は食いつきやすい妖精達である。

当初は、リータとの関係もあまりよくはなかったが…
アムルのこれまでの行動を見る限りでは、そこまで警戒するほどのものではないと思うようになりました。
今なら、事情を話してくれるでしょう。

・・・

　エシャロットとリータは、アムルにすべてを話した。
エシャロットがきた世界は、悪魔達に滅ぼされてしまったことを。
その滅ぼされてしまった世界を救い、世界を再生することが目的であることも。
　エシャロットは、最初は植物の種の成長を少し早める程度の能力しかないエルフの種族であった。
色んな血の入り混じった、混血なる混沌な世界ながらも、平和を感じるその世界で生きていた、だが…。

そう言いながら、エシャロットは手の平に置かれた種を、瞬時に成長させ…一輪の花を作り上げた。
それはやがて小さな木となり、木の実を実らせるのである。

・・・

そんなエシャロットの力に、人々は希望を抱いた。
悪魔達に侵食されていく世界。無数の強大な力に、人々は死んでゆく。
だが、それでも…一つの希望を信じて、エシャロットは護られ続けた。

実際に、どうすることもできなかった。
だがそこで、天使の軍勢が現れたのである。悪魔達を浄化し、世界を救う天使たちが現れたのだ。

荒廃して、ほとんどの生物が生き残る環境を保てない中、エシャロットは生きていた。
リータはそんなエシャロットに興味を持った…。
話してみれば、そのエシャロットの能力は豊穣の天使に近い能力であることが判明したのだ。

・・・

天使は、悪魔狩りを得意とする種族。その聖なる力で幾度なく悪魔を葬ってきた。
しかし…悪魔達はその天使の聖なる力を無効化する儀式を完成させていたのである。

そうしてたどりついた世界はアンジニティ。
そこでイグニと出会い、熱い友情関係を築きながらも、エシャロットは記憶を取り戻していく。

イグニとめちゃくちゃ仲がいいのはそのせいらしい。

エシャロットが持っているその鎌は、リータが託してくれた豊穣の天使の神器。
その時は、悪魔に対抗しうるものがそれしかなかった。

・・・

そんな感じで、だいぶはしょってまとめたが、そういう経緯でメルンテーゼにきたということを
エシャロットとリータは話したのであった。

長々と話したが…ようするに『滅ぼされた世界を救う』という大きな目的があるのである。
そのため、この世界に留まってもいられないのだ。

エシャロットのその思い…
それは、行方不明となっている友人がまだ生きているかもしれないというわずかな希望があってこそだった。
大好きな世界、大好きな友達の場所。このまま、悪魔に奪われたままではいられないのだ。

エルフから天使になったけど、何も変わらない。
リータは、その言葉にだけは、どこか思い悩む表情をしていた…。

訪問者たる少女に対し慣れた雰囲気で対応するムイ。
椅子から立ち上がって伸びをするとカーテンの隙間から外を見て
眩しそうに目を細めます。

そういって腕を回したり首を鳴らしたりしながら道すがら
ソファで寝ているコハクをぽんぽんと叩いて起します。

テーブルに頬杖をついてせかせかと動き回る少女を見つめていると
思わずふふ、と笑いが漏れます。

そうこうしているうち、準備が済み、いつの間にかもそもそと
起きてきたコハクも席について目を輝かせています。

＊＊＊＊＊

改まった態度でハナシが始まると手にもった食べ物は一旦おいて
同じく視線をまっすぐと

湯屋のことに触れられると苦笑し、いいよいいよという動作を手でしつつ

おおきな声でお願いされると、キョトン、として。

その後はしばらく、黙って少女の説明するひとつひとつを聞きます。
ふむ、なるほど、と相槌を打ちつつもすべてを聞き終えると少し考え込んだのち

そのまま黙り込んで思案するムイ、しばらくして

どうやら心配していたのは引越しの段取りだった様子。

そういうと震える手を握ってあげるのでした。