今日はよろしくお願い致します。雰囲気も何もない場所で恐縮ですが。
……せっかく二人きりですし、尻尾はいかがですか？

……随分、まっさらな土地だね。

五感を惑わすあの感覚も、
あれだけ目一杯に広がってた華の一輪もない。
…………歩きやすいことこの上ないな。

アリス殿、ここまで案内してくれてありがとう。
視界は良いが、その分敵に見つかりやすいようだから……
貴殿を守る――といいたいけど、大丈夫そうかな？　あはは。

うん……それじゃ、行こうか。

目的？
……この世界の住人が、圧政を敷く王に抵抗する為の人手を求めていたからだ。
助けを求められれば手を差し伸べるのが、人として為すべきことだろう。

……言い方が悪かったね。「世間話の場でする話じゃない」。
知らないものへ関心を持つのは自然なことだろう。僕だってそうだ。
それでも、ただの興味本位で僕にとっても不愉快なことを訊かれても、それに答える理由が無い。

……通してくれ。